クルマのガラスにとって、一番の大敵は油膜です。油膜は、泥やホコリのような汚れとは異なり、カーシャンプーでもなかなか取れない厄介者。雨天時の夜間走行では光が油膜に乱反射し、視界を極端に妨げて重大な事故につながることもあります。そんな、ガラスに付着した油膜には、どう対処すればよいのか、詳しくご紹介します。
しつこいギラギラ油膜『ゴースト汚れ』が事故の原因に
クルマのガラスに大敵の油膜汚れは、『ゴースト汚れ』と呼ばれ、昼間には見えなくても夜になると窓ガラスの汚れが目立ち、極端に視界が悪くなるという現象がおこります。
特に、雨天時は屋外の灯りが乱反射して局所的に周りがぼやけてしまい、事故を引き起こす原因になる事も。
ワイパーを動かして水滴を取り払っても、油膜残ってしまうので視界の妨げや光の乱反射は防げません。
そんな油膜による視界不良は夜間、暗くなってから現れる現象であることから、”ゴースト(幽霊)”と呼ばれるようになりました。
油膜を放っておくと汚れがこびりついてドンドンひどくなり、洗車だけではなかなか落ちません。
事故抑制のためにも、油膜の落とし方や汚れを防止する方法など、正しい知識をつけてガラスを常に綺麗にし、安全なドライビング環境を保ちたいものです。
油膜汚れの正体は?
油膜の正体は、名前の通り油の付着による汚れです。
大気中には極微量の油分が含まれており、自然界においては植物のもつバイオマスから微生物による酵素反応を利用して生成されるバイオマスエタノール、ある種の植物が種子中に蓄積する油脂から生産されるバイオディーゼルなどがあります。
しかし、油膜の汚れは自然界に存在する油でなく、ほとんどがクルマから出される排気ガスに含まれる油分。
さらにはクルマのワックス成分が流れてガラスに付着したり、走行中に道路に溜まった油分を含んだ水をかぶってしまったり、他にも大気汚染により油分を含んだ雨を浴びる事や、道路上で飛散したタイヤカスやブレーキダストの付着などがガラスの油膜の原因とされています。
また、マフラーから出される排気ガスには、不完全燃焼で残ったガソリンやエンジンオイル、PM(粒子化合物)に付着するオイルといった油分が多く含まれ、油分の主成分であるシリコンがなかなか取れない汚れになる事も。
フロントガラスに付着した油膜は肉眼での視界を妨げるほか、衝突被害軽減ブレーキの誤作動の原因になるとも指摘されており、ルームミラーの裏側に取り付けられている単眼カメラが油膜によってクルマや歩行者を識別しにくくなることもあるため、油膜は無視できない汚れなのです。
ウーロン茶でも油膜は取れる!?
とりあえず、お金を掛けない方法として、油を分解するとされるウーロン茶をタオルにしみこませて磨く方法や、台所食器用洗剤を水に薄めてスポンジで擦れば、ガラスから油膜を取り除けれる場合があります。
新聞紙も有効なアイテムで、新聞紙の繊維とインクに油膜を落とす効果があり、新聞紙を水に浸してから軽くガラスを吹き、さらに乾いた新聞紙で拭きあげ、仕上げにウエスでから拭きをすると効果的です。
その他にも、家の掃除で使うガラス洗浄スプレーがあれば、それを使って磨いてみるのも有効です。
それでも油膜が落ちない場合は、クルマ専用の油膜除去剤を使います。
この油膜除去剤には研磨剤も含まれているため、油を分解して溶かすだけでなく、削り落とす作用もあります。
このように、油膜除去には様々な方法がありますが、一度の拭き取りで落ちる汚れではないため、落ちるまで磨き続けることが必要です。
しかし、磨きすぎると逆にガラスに傷をつけることもあるため、専用のウエスや柔らかいタオルを、水で良く濡らしてから使いましょう。
最終手段はポリッシャーもしくはお店頼み
油膜を数年間も放っておけば上記の方法でも落とせないことがあり、そんなときの最終手段は油膜除去剤とダブルアクションポリッシャーを使って磨く方法があります。
ダブルアクションポリッシャーは家庭用のもので、相場は約10,000円。
安いもので約3,000円から購入可能です。
また、専門のショップで油膜取りのみを依頼する事も可能です。
カーコーティングと洗車を専門にする『KeePer(キーパー)』では、油膜取りサービスを用意しており、ワゴンRなどの小さなクルマでは1,540円(税込)。
ノアやハイエースなどワンボックスは5,350円(税込)で、ガラス全体の油膜を取り除いてくれます。
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仕上げの撥水コーティングもお忘れなく
油膜が取れたら、最後に撥水コーティングを行うことをおすすめします。
撥水コーティング剤は、油膜を除去した直後のきれいな状態で施工してください。
固形ワックスであれば価格が安く、スプレータイプのワックスなら簡単に施工できますが、ワックスは撥水コーティングの持続性が低く、撥水性に欠けることや流れ落ちるとワックスが油膜汚れの原因になるため、こまめなメンテナンスが必要となるので要注意です。
まとめ
油膜汚れを防ぐ最大の対策は、定期的に汚れを落とし撥水コーティングを行うこと!
撥水コーティングの持続期間は約3ヵ月から長いもので半年とされていますが、実際はその半分程度だったという声も耳にします。
コーティングが剥がれると油が付着し、再び油膜になってしまうため、クリアな視界を維持するためにもガラスの洗浄とコーティングはとても重要です。
また、忘れがちなのがワイパーで、ワイパーにも油膜の原因となる油が付着しており、拭き取れば落ちると思われますが、ワイパーゴムは意外に弱く、拭き取った時の力でゴム部分が剥がれてしまう場合もあります。
そのため、ワイパーゴムも定期的に交換すると、さらにワンランク上の油膜対策となるでしょう。
安全運転のために、ギラギラ油膜を無くして、常にクリアな視界を維持しするためにも、ガラスのメンテナンスは手を抜かない事をオススメします。
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