社会の秩序維持に、必要不可欠なパトカー。1980年代までの日本のパトカーは、セダンが多用されていましたが、280PS規制によりスポーツカーベースのパトカーも増えました。一方で、海外ではどのような車種がパトカーに使用されているのでしょうか。
日本のパトカーに使用される車種の条件とは!
日本のパトカーは、高速機動隊にGT-R、NSX、マークX TRDver など高性能車が配備されていますが、その数はわずか。
日本国内に配備されているおよそ8,000台のパトカーのうち、ほとんどは市街地をパトロールする警ら用です。
また、公安委員会が定めている警ら用パトカーの車種の条件とは、2,500ccクラスのセダンであり、床面がフラットなトランクルーム(容量450リッター以上)を備え、トランクに常時60kgを積載しつつ昇降機構付き警光灯を搭載した状態での20万km走行に耐えうるサスペンションを搭載していること。
警ら用パトカーは、一見普通のセダンに見えますが、中身は市販車とは別物なのです。
日本でクラウンが多用される理由
そんな警ら用パトカーで多く採用される車種は、トヨタ クラウンです。
かつては日産 セドリック/グロリアやスカイラインなども採用されていましたが、最近では見かけなくなりました。
セドグロや、スカイラインのパトカーを見かけなくなり、なぜクラウンだけが残ったのか?
その理由は、クラウンにはパトカー用グレードが存在し、スカイラインには存在しないから。
先述したように、パトカーには厳しい車両条件が求められます。
そのためクラウンはメーカーが開発段階から、パトカー用車両も市販車と併せて開発しているのですが、スカイラインは、日産がゴーン体制下になってから公的車両の開発から手を引き、コストカットを推進してきました。
そうなると市販車を改造せずとも、パトカーとして開発された専用車を販売している国産メーカーはトヨタのみとなり、結果的にクラウンのパトカーを多く見かける状況となったのです。
海外のパトカーの代表的車種は?
海外のパトカーに使用される車種は、日本とは法規が異なるためか、様々です。
アメリカの場合
アメリカのパトカーは州や市、郡ごとに異なります。
それは各地方自治体で独立した警察機構となっているからです。
そんな事情のなかでも、アメリカのパトカーのシェア7割を占めるのが、フォードです。
フォードにはパトカー専用車「ポリスインターセプター」があり、現行モデルはトーラス、先代モデルはクラウンビクトリアをベースににしていました。
ドイツの場合
ドイツの警察機構は、各州に権限が移譲されています。
しかし、パトカーのカラーリングは統一されており、2002年までは白地に緑、2002年以降は銀地に青へと変更されました。
またパトカーの車種も、各州によって様々ですが、メジャーどころはフォルクスワーゲン パサート、ゴルフ、BMW 3シリーズ、メルセデス ベンツ Bクラス/Cクラスなどです。
イタリアの場合
イタリアの警察は、大別して国家警察と地方自治体警察に分けられます。
地方自治警察のパトカーのカラーリングは各自治体により変わりますが、国家警察は白と青のカラーリングで、車体サイドに「POLIZIA」と書かれます。
また、国家警察のパトカーに多く採用されているのがフィアット車で、パンダやプントなどの小型車が多いとのこと。
ほぼ市販車に近い状態だそうですが、一部には高速用に改造されたパンダやプントも存在するそうで、アウトストラーダの取締りにランボルギーニ ウラカンが配備されているのは有名ですが、小型ハッチバックのパトカーも油断なりません。
オーストラリアの場合
オーストラリアの警察機構は、国家レベルのオーストラリア連邦警察と、各州や準州が運営する地方警察に大別されます。
それぞれの警察組織で様々な車種のパトカーが採用されていますが、基本的には豪州フォードとホールデンの2大豪州メーカー車を長らく採用してきました。
現在のところオーストラリアのパトカーの主流はフォード ファルコンとホールデン コモドアですが、豪州フォード、ホールデンともすでに豪州工場の操業を停止しています。
また、どちらの豪州自動車メーカーも自車製品として輸入車を販売しており、次世代のパトカーにはどんな車種が採用されるのか、現地では注目されています。
まとめ
警ら用のパトカーは、どの国でもパトカーの多数を占めており、いわばその国を代表する自動車メーカーが採用されていると言っても過言ではありません。
しかし最近の自動車メーカーの勢力図の大激変で、オーストラリアのように自動車メーカーが撤退する国もあり、そもそも自動車を大量生産できていない国も存在します。
そのような国にパトカーとして採用されているのは、日本車が多いのも事実!
今後はパトカーが自国の自動車産業の代表車とは、言えなくなる日が確実に迫ってくることでしょう。
Motorzではメールマガジンを配信しています。
編集部の裏話が聞けたり、最新の自動車パーツ情報が入手できるかも!?
配信を希望する方は、Motorz記事「メールマガジン「MotorzNews」はじめました。」をお読みください!