自動車を維持していく上で、どうしても無視できず、出費をケチることができないのが整備費用や工賃です。なぜ整備工場の工賃は、量販店と比較して割高なのでしょうか。工賃設定のからくりをご紹介します。

出典:写真AC

工賃決定のメカニズム

出典:写真AC

ディーラーや量販店、民間認証/指定工場などで自動車の整備を受けると、整備費や工賃が必要となります。

そんな整備費や工賃は、自動車整備業に必要な設備投資や人件費などを元に算出されることがほとんどです。

例えば郊外に200坪のロードサイド型自動車整備工場を新規開業するには、およそ1億1,000万円が必要とされます。

その内訳は工場建設費や設備投資に1億700万円、人件費・販促費・消耗品費などに300万円です。

また、土地取得費用はシミュレーションには入っていないので、別途必要となります。

社員6名、アルバイト3名、平日1日閉店、週の来店客数を48に設定した収支モデルの場合、年間売上を8,700万円、仕入れ材料費を2,600万円、営業経費を5,700万円とすると営業利益は400万円。

客単価はおよそ65,000円となり、これが工賃算定の根拠となります。

しかし道路運送車両法では、周辺の同業の工賃と著しく違わないことを求めており、ここまでご紹介した経営の実情とは関係なく、地域最安値の工賃に合わせる整備工場が多いのが現状です。

タイヤ交換費用、DIYと整備工場のどちらがお得?

出典: https://www.youtube.com/

整備工場の工賃が割高なのは、設備投資や運転資金が割高で、利益率が低いことが原因です。

この状況を打破するため、アクセサリーやチューニングパーツなどを併売し、利益保確に努めている整備工場は多数あります。

とはいえ、消費者の立場としては、出費はなるべく抑えたいもの。

そこで、タイヤをアルミホイールに組込んで交換するところまでを、整備工場とDIYで行う場合で比較してみます。

タイヤ交換に最低限必要な費用は、アルミホイール組込工賃、バランス取り工賃、タイヤ取付け工賃、廃タイヤ処分費用です。

整備工場(大手量販店)の場合

©️Motorz

ピット(整備工場)が併設されている大手カー用品店のアルミホイール組込工賃は、1台分で4,000円程度が相場。

バランス取り、タイヤ取付工賃も同額です。

廃タイヤの処分費用は1台分で、1,000円。

以上、合計で1万3,000円ほどになります。(消費税別)

DIYの場合

ジャッキアップ DIY タイヤ交換

Photo by chappy 出典元:https://www.photo-ac.com/profile/748114

DIYの場合、必要な工具類を自分で用意し、作業も自分で行わなければなりません。

アルミホイール組込

アルミホイール組込に必要な工具類は、タイヤレバー、ビードクリーム、軍手です。

大手量販店ではタイヤレバーは700円から、ビードクリームは450円から、軍手は100円で購入できます。

工具類は1,300円ほどで購入でき、金銭面でお得です。

タイヤバランス取り

次にタイヤバランスをDIYでは、取れません。

なぜなら、タイヤバランサーという装置が必要で、個人でDIYタイヤ交換のために購入出来る代物ではありません。

タイヤ取付け

タイヤ取付けは、運転免許をお持ちの方なら、誰でもできるはずです。

工具の車載道具だけでできるので、こちらも無料です。

廃タイヤ処分

廃タイヤはタイヤを購入した店舗や、近所のガソリンスタンドで引き取ってくれる場合があります。

引取料の相場は、1本300円、1台分で1,200円程度です。

DIYタイヤ交換のメリット・デメリット

DIYでタイヤ交換する場合の工賃は無料、工具類の購入は1,300円、廃タイヤの処分料が1,200円。

合計で2,400円で、消費税を入れても3,000円でお釣りが来ます。

この低費用は、DIYタイヤ交換の大きなメリットです。

しかし、DIYタイヤ交換のデメリットは、以下が考えられます。

●古タイヤを新しいタイヤに交換するには、ホイールから外さなくてはならず、このときにホイールを傷つける可能性があります。

●タイヤをホイールから外したり、組み込む作業には体力と時間が必要で、1~2日は見ておきましょう。

●タイヤとホイールの知識も必要で、タイヤレバーやビードクリームの使い方も事前に調べる必要があります。

●個人でタイヤのバランス取りは出来ません。バランスの取れていないタイヤを装着して高速走行しようものなら、車両全体に振動が響き、運転がまともに出来ないケースもあります。

まとめ

タイヤ交換の費用をDIYと工場で比べた場合、圧倒的にDIYの方が安く、10分の1の費用で済みます。

ただし安全性も工場で装着した場合と比べて、10分の1以下。

今回は、タイヤ交換を例に出しましたが、工場の工賃が割高に感じられても、プロの仕事ならではの品質・信頼・安全が付加価値として付いています。

DIYではとても、真似できることではありません。

Motorzではメールマガジンを配信しています。

編集部の裏話が聞けたり、最新の自動車パーツ情報が入手できるかも!?

配信を希望する方は、Motorz記事「メールマガジン「MotorzNews」はじめました。」をお読みください!