今話題の自動運転は、『自動運転レベル〇』と自動運転の性能を段階的に表されています。そんな日進月歩で進む自動運転技術への理解を深めるために、それぞれの自動運転レベルについて解説します。
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自動運転技術は6段階で定義される
現在自動運転は、その性能をレベル0からレベル5までの6段階に分類されています。
このレベルは、自動運転システムの介入が全くない『レベル0』から、最終的にクルマが全て運転操作を担う『レベル5』まで、段階的に定義されています。
自動運転化で交通事故・渋滞緩和・物流効率性が改善
現在、クルマの安全性能が非常に重要視されており、各自動車メーカーは高度な予防安全性能と衝突安全性能の開発に力を入れています。
これに自動運転化の技術が進み普及すれば、人為的な操作ミスによる事故が無くなるためで、交通事故を大幅に削減できます。
また、不適切な車間距離や加減速が渋滞の発生原因の1つでもあるので、自動運転化されることにより、渋滞の減少も期待できます。
さらに、運送業のドライバー不足や地方の路線バスの運行回数が減っていることによる交通難民が増加している問題なども、自動運転が大きな解決策になるかもしれません。
自動運転における課題
自動運転をレベル5まで実現させるためには、まだまだ多くの課題を抱えています。
まずひとつに、自動運転が満たすべき技術基準や事故が起こってしまった時の賠償ルールが定まっていないこと。
自動運転は他のクルマと同等の規格のもとで開発しなければ、自動運転車同士での事故が発生する可能性が高くなってしまうのです。
二つ目に、事故をしたときにドライバー、自動車メーカーのどちらが責任を負うのか、賠償の内訳をどうするのかを法律で定めなければなりません。
そして三つ目は、自動運転の安全性や信頼性等がまだ十分認知されていないことです。
ニュースでは、グーグルの自動運転テスト車両やテスラの車両が自動運転時に死亡事故を起こしたことが大々的に報道され、多くの方が自動運転の信頼性はまだ乏しいとの印象を持っているのが現状です。
自動運転により事故が無くなる望みはありますが、それは自動運転が完璧に近い完成度に達していることが前提となります。
また、法の整備や技術信頼度以外に、自動運転車両はクルマ同士や公道を管轄する機関が双方に通信して作動しているため、不正アクセス防止のためのサイバーセキュリティも必要不可欠となってきます。
自動運転レベルのうちわけ
自動運転レベルは日本だけの定義ではなく、アメリカの非営利団体SAE(InternationalはSociety of Automotive Engineers)が定めたもので、全世界の自動車メーカー共通の定義です。
なお、本来はレベル0からレベル5までのうち、正式な自動運転と呼べるのはレベル3からレベル5まで。
レベル1とレベル2は、『運転支援』に分類されます。
また、現状では日本の公道を走ることができるのはレベル2までとされ、レベル3以上を許可する法改正が必要となっているのです。
レベル0[運転自動化なし]
レベル0は、ほぼ自動運転システムが介入せず「ドライバーがすべての運転タスクを実行すること」とされます。
しかし、若干の予防安全システムによって支援されている場合も含まれます。
レベル1[運転支援]
レベル1は『運転支援』とされ、システムが前後・左右のいずれかの車両運動制御を限定領域で実行します。
クルマの前後移動操作となるアクセルとブレーキ、左右移動操作となるハンドルのどちらかを、クルマが監視すると同時に動作させ、ドライバーが安全に運転操作をするためのアシストをしてくれるのです。
具体例として、前方に車両や障害物、人が存在した時に自動で止まる『自動(被害軽減)ブレーキ』、前方を走るクルマに追従して走行する『ACC(Adaptive Cruise Control)』、走行車線からはみ出さないための『LKAS(Lane Keep Assist System)』がレベル1に該当します。
レベル2[部分運転自動化]
レベル2は『部分運転自動化』とされ、運転の主体はドライバーですが、特定の条件下では自動運転機能によりドライバーの負担を軽減させてくれるシステムが組み込まれます。
先進運転支援システム『ADAS(Advanced driver-assistance systems)』とも呼ばれ、特定の場所・条件であれば限りなく自動運転に近い状態で運転操作をクルマが担います。
例として、高速道路や自動車専用道でアクセル、ブレーキ、ステアリング操作を行う日産の『プロパイロット』や、スバルの『アイサイト・ツーリングアシスト』がレベル2に該当します。
レベル3[条件付運転自動化]
レベル3になると自動運転は主にクルマ側に移り、『条件付運転自動化』とされます。
これは、自動運転システムが全ての運転動作を特定の場において持続的に担い、緊急時にはドライバーが運転操作を担うことが条件となっています。
そのため、クルマ側の自動運転から即座にドライバーが運転操作を代われる状況にあるか監視する、『ドライバーモニタリング技術』も必要とされ、ドライバーをAIがモニタリングする技術の重要度が増す仕組みです。
レベル4[高度運転自動化]
レベル4は『高度運転自動化』とされ、運転すべてをクルマ側の自動運転システムが担い、レベル3のようにドライバーが運転を代われる状況を必要としません。
ただし、一定の路線や自動車専用道路、空港の敷地内など『限定エリア内』において運転動作すべてをクルマ側が担いますが、エリア外であればドライバーが運転操作をしなければなりません。
レベル5[完全運転自動化]
レベル5はレベル4のようにエリアが限定されず、どんな場所の道路でもクルマ側が運転を担う『完全運転自動化』となります。
すなわち、どういった状況にも左右されずクルマが勝手に目的地まで移動してくれるため、ドライバーを必要としません。
そのため運転席を必要とせず、車内空間デザインの自由度が増すため、レベル5が実現されれば、公共交通機関の車両等には非常に有利で、従来のクルマの概念は変わり、自家用車も必要なくなるとされています。
まとめ
政府は2020年までに高速道路や自動車専用道で自動運転レベル3、過疎地など限定された地域で自動運転レベル4の実用化を目指しています。
国土交通省から発表された『官民ITS構想・ロードマップ2016』では2025年目途でレベル5の実用化を示唆しており、「自動運転はSF映画の世界だけ」ではない未来がそこまできているのです。
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