17年ぶりの復活に、多くの自動車ファンが熱狂しているトヨタ スープラ。新型となるA90型スープラも、BMW製ながら伝統の直列6気筒エンジンが搭載されました。しかしトヨタでは2019年7月現在、直列6気筒エンジンは製造されておらず、最後のトヨタの”直6″は80スープラにも搭載されたJZ型エンジンとなっています。
JZ型エンジンとは?
1990年8月、トヨタは新たな直6スポーツツインカムエンジン『1JZ型』を発表しました。
JZ型には、2.5リッターと3.0リッターがラインナップされ、1JZ型は2.5リッターでした。
(ちなみに3.0リッターは、2JZ型です。)
そんなJZ型のルーツを辿ると、1980年発表でソアラやマークⅡなど、当時のハイソカーに多く搭載されたG型や、1965年から1993年まで製造され、トヨタ 2000GTにも搭載されたことで有名なM型エンジンから続く、直列6気筒の系譜であると言えます。
ちなみに、JZ型の最小排気量が2.5リッターであったのは、1989年の自動車税改正で3ナンバー車の自動車税が細分化されたことが理由の1つでした。
2.5リッター車の自動車税は、従来の81,500円より、45,000円まで軽減されたのです。
(ちなみに令和元年10月1日以降新規登録車は、自動車税が現行制度よりさらに軽減されます。)
また、1JZ型には基本となるスポーツツインカムの1JZ-GE型、ツインカムツインターボの1JZ-GTE型、ハイメカツインカムで直噴の1JZ-FSE型があります。
1JZ型の主要スペック
1JZ型エンジンは、内径×行程が86.0×71.5(mm)のショートストローク型で、高回転まで回りやすい性質を持つエンジンです。
最高出力と最大トルクは、1JZ-GE型が147kW(200PS)/6,000rpm、255Nm(26.0kgm)/4,000rpm。
1JZ-GTEの後期型(VVT-i付きシングルターボ)が、206kW(280PS)/6,200rpm、378Nm(38.5kgm)/2,400rpmで、現在のダウンサイジングターボと比較しても低回転から最大トルクを発揮しており、中低速域でも扱いやすいスポーツエンジンでした。
また、環境対策エンジンの初期型となる1JZ-FSE型は、147kW(200PS)/6,000rpm、250Nm(25.5kg・m)/3,800rpmで、スポーツツインカムの1JZ-GE型と比較してもスペックはほぼ同等でいて、燃費で勝っていました。
JZ型エンジンのエピソード
その1:マークII3兄弟のツアラーVが大人気に!
1JZ-GTE型ツインターボが初めて搭載されたのは、1990年8月。
初搭載車はX80系マークII3兄弟と、A70型スープラでした。
マークII3兄弟には4AT、スープラには5MTと4ATが組み合わせられていました。
そのため、1JZ-GTE型ツインターボにマニュアルで乗るためにはスープラを購入するしかなく、家族持ちのお父さんはさぞかし不満だったことでしょう。
そのためか、X90系にモデルチェンジして初の3ナンバーボディ専用車となったマークII3兄弟の1JZ-GTE型ツインターボ搭載車には、従来の4ATに加えて、5MTも選択できるように。
グレード名も従来の「GTツインターボ」から「ツアラーV」に変更され、一躍スポーツサルーンとしてもマークII3兄弟は人気車となります。
その2:1JZ-GTE型ツインターボを開発したのは実は……
トヨタのスポーツエンジン開発に欠かせないのは、ヤマハ発動機の開発力です。
古い話では、トヨタ 2000GTの3M型のブロックヘッドを改良してDOHC化したのはヤマハ発動機でした。
また1G-GEU型スポーツツインカムや、7M-GTEU型ツインカムターボの開発にも、ヤマハ発動機が関わっています。
そして1JZ-GTE型もまた、ヤマハ発動機の開発でした。
従来の2.0リッターツインカムツインターボの1G-GTE型の後継機種開発を、トヨタがヤマハ発動機に依頼した成果なのです。
まとめ
今なお人気の高い1JZ型エンジン。
このエンジンが搭載されているのは、自動制御が今よりも少なく、運転者がより積極的にドライビングを楽しめる車です。
国内では中古車も少なくなっているので、今のうちに1JZ型とMTの組み合わせで、Fan to Driveを楽しみましょう!
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