カイエンやマカン、パナメーラやケイマンといった多彩なラインナップで好調な売り上げをキープし続ける最近のポルシェですが、かつては経営難に苦しんだ時期もありました。当時、クセの強いRRレイアウトの911に代わり、次世代の稼ぎ頭になることを期待して作られたシリーズが、FRレイアウトのポルシェです。
掲載日:2019.10/15
FRポルシェの御先祖様・ポルシェ914
ワーゲンポルシェというニックネームを持つ914は、1969年にポルシェとフォルクスワーゲンの協業によって産まれたモデルです。
高価な911には手が出せないユーザー向けに、入門モデル的な役割を担い、ポルシェというブランドの間口を広げるために開発された1台でした。
こちらはFRではなくミッドシップですが、後のFRポルシェに繋がる存在で、キャラクターを決定づけたモデルであると言えます。
ポルシェ924
1976年にデビューした924は、実質的な914の後継モデルです。
レイアウトはポルシェにとって初の取り組みとなるFR方式で、エンジンはアウディ100に用いられていた水冷直列4気筒をベースに、排気量をアップした1.8リッターを採用しています。
空力を重視したスタイリングで、リトラクタブルヘッドライトや曲面ガラスで構成されたリアハッチゲート等は、当時としても非常に斬新なデザインでした。
このデザインは後に、様々なスポーツカーのスタイリングに影響を与え、サバンナRX-7等が類似デザインとしてたびたび名前を挙げられます。
後年は924ターボや924Sといった追加仕様を加えつつ、順調なセールスを記録し、ビジネス的にも成功したモデルでもありました。
ポルシェ928
1977年にデビューした、ラグジュアリー性の強い当時のフラッグシップモデルが928です。
4447mm×1836mmとかなり大柄な車体で、当時のジャガーEタイプやBMWの6シリーズ、メルセデス ベンツのSLクラス等の高級スポーツモデルをターゲットに開発されました。
エンジンは4.5リッターの水冷V8で、ほぼ全ての部品が専用設計など、豪華な作りでしたが、その後の経営難が影響し、後継車は発表されていません。
ポルシェ・944
フラッグシップでサイズも大きい928と924の間を埋めるべく開発された924の後継モデルが944です。
1983年に生産が開始され、当時は911の後継車という位置付けでした。
1986年に登場した944ターボは、「世界一ハンドリングが良い自動車」との高い評価を受け、当時のスポーツカー開発におけるベンチマークとして参考にされた程です。
ポルシェ968
1991年から1995年まで製造された、水冷FRレイアウトの最後のモデルが968です。
先代にあたる944が好調な売り上げを記録する中、てこ入れとしてかつて924のデザインを担当したハーム・ラガーイを起用し、モデルチェンジが施されました。
そのためデザインはかなり944と類似したものとなっていますが、新規開発された部品が多くを占めていることが当時はあまり伝わらず、「944の焼き増し」との評価も多々見られます。
まとめ
とりわけ911のイメージが強いポルシェですが、ラインナップ全体で見た時には特別RRにこだわっていたのではなく、常に時代に合わせて合理的なクルマ作りをしてきたことがわかります。
968を最後にFRレイアウトを用いたポルシェの生産は途絶えていますが、SUVから電動スーパーカーまでをラインナップする現在のポルシェなら、復活も期待できるかもしれません。
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