オービスにはレーダー式、ループコイル式など、さまざまな種類があります。年々高性能化している上に、可搬式や半可搬式なども登場し、誰も把握できないような場所で神出鬼没にスピード超過を見張っていたりもします。そんなオービスの種類や最新型機種まで解説し、対策方法もご紹介します。
掲載日:2019.11/7
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年々進化するオービス
オービス(ORBIS)は、ラテン語で『眼』を意味し、ボーイング社が開発したものを日本の東京航空計器株式会社がパテント生産したループコイル式自動速度取締機の商品名です。
機器自体の正式名称は『速度違反自動取締装置』で、『ネズミ捕り機』とも呼ばれています。
日本で初めて導入されたのは、1976年にアメリカのオービスⅢが警視庁に持ち込まれた『東京航空計器』で、それ以外にも三菱電機、パナソニックが生産。
導入当時は高速道路や幹線道路の車線頭上に装着されたストロボタイプが主流でしたが、ループコイル式や海外製のレーダー式デジタル高性能機が導入され、小型化も進んだことから、可搬式やオービスを搭載したレーザー&レーダーパトカーも増えています。
Nシステム&Tシステムとオービスの違いは
オービスは道路の頭上に設置されている四角いカメラというイメージがありますが、そのなかには実際は速度を測定する装置がない『Nシステム』と『Tシステム』が存在します。
そのため、たとえ法定速度をオーバーしても、NシステムやTシステムの下では速度違反による検挙の心配はありません。
オービスが装置されている場合は、『速度自動取締機設置路線』、『速度自動監視』などといった警告する標識が約1~3km前に設置されています。
とはいっても、オービスが設置されている場所を事前に警告表記をする法令はなく、必ず設置されているとは言い切れません。
可搬式や半可搬式での取り締まりは、何の警告も無く行われている場合がほとんどです。
いくらNシステムやTシステムが速度を計測しないとしても、元気よく駆け抜けていくと、パトカーや覆面パトカーが待ち受けていたという声もよく聞かれるため、基本的には速度に注意してクルマを運転することが大切です。
Nシステムとは
Nシステムは『自動車ナンバー自動読み取り装置』といわれ、道路の頭上に取り付けられる撮影端末でクルマのフロントナンバーを撮影します。
画像に記録されたナンバーは自動的にコンピューターで読み取られ、ナンバー番号、車両形状、色などの補助情報と共に、中央のホストコンピューターに送られます。
そして主に、犯罪捜査やスピード違反車両のナンバープレートを撮影し、証拠として使用されます。
Tシステムとは
Tシステムは『旅行時間測定システム』と呼ばれ、道路上の混雑状況を把握するために用いられています。
また、ナンバープレート犯罪車両の追跡や事後的な行動把握など、Nシステムと同じ役割も!!
装置構成は、小型カメラ1機、赤外線ストロボ1機、AVIセンサー1機の計3機で構成されています。
特徴と見分け方
Nシステム | Tシステム | オービス | |
---|---|---|---|
役割 | ・自動車ナンバー自動読取装置 ・車のナンバーを読み取る ・手配車両などの確認 |
・旅行時間測定システム ・通過車両を撮影 ・渋滞情報や通過情報に活用 ・手配車両の確認 |
・自動速度違反取締装置 ・クルマのナンバーと運転手を撮影 ・後日出頭通知が届く |
設置場所 | ・国道や高速道路 ・IC出入口付近 ・県境周辺道路 ・重要施設周辺 |
・国道や高速道路 | ・国道や高速道路 ・事故多発区間 ・速度超過多発区間 |
特徴 | ランプのついた小さな箱と、カメラとフラッシュが備え付けられている | カメラが常に赤く光っていて、アームの支柱に建設省の表記がある | カメラにより通過した車のナンバーを読み取り、車が通過するとカメラが赤く光る |
オービスの種類
レーダー式オービス
吉備SA横のレーダー式オービス。 pic.twitter.com/JRHWPhvD9c
— 人生にマイとケルを (@s_inaba187) January 18, 2015
レーダー式オービスは、レーダーを照射して反射した電波から速度を計測します。
常に電波を照射するため、レーダー探知機で検知可能ですが、旧式となるため近年は減少傾向にあります。
Hシステム
オービスで最も多く設置されているのがHシステムです。
正式名称は『高速走行抑止システム』で、”H”は”High Speed”の頭文字をとっています。
白い四角形のレーダーアンテナで赤外線レーダーを発して反射した電波で速度を測定し、デジタルカメラで撮影したデータを優先通信回線により管理センターへ伝送。
レーダー式オービスと異なり、照射パターンを変えて、レーダー探知機で検知されにくく改良されています。
また、フラッシュの光り方は他の機種より強く、頭上で光ることが特徴です。
ループコイル式オービス
新東名 長泉町に入った先にあるLHシステム。
情報板じゃなくてオービスw pic.twitter.com/q8YmYalD4h— T (@pc_pb_MPD) March 24, 2016
LHシステムは『ループコイル式高速走行抑止システム』といい、ループコイル式とHシステムを組み合わせたオービスです。
地中に埋められたループコイルで速度を測定するため、レーダーを備えていません。
Hシステムと区別が難しいのですが、カメラ付近の車線上に撮影位置を示す白いマーカーが表示されています。
とはいっても、走行時に白いマーカーを見つけることは難しく、『Nシステム』と形状が類似しているため、目視では発見できないかもしれません。
LHシステム
ついでに名神高速に新しく登場したループコイル式オービスも確認、あと一仕事残っているので詳細は後日サイト&アプリに登録します pic.twitter.com/0p3B9FFbf5
— オービスガイド全国調査員 (@8833jp) March 17, 2019
LHシステムの正式名称は『ループコイル式高速走行抑止システム』で、地中に埋められたループコイルで車速を測定します。
ループコイルは磁場を発生させるループコイル装置を6.9m間隔で3本路面に埋め込み、1つめと2つめ、2つめと3つめの2回、通過にかかる時間を計測し、両方とも速度超過だった場合は、その先のカメラで撮影を行います。
レーダーは照射しないので、レーダー探知機では検知できません。
センシス・速度警告安全システム
センシス 速度警告安全システムは、スウェーデンのSensys Gatso Group社製『SENSYS SSS(Speed warning Safety System)』のことで、1機で複数車線が同時に計測できる新世代のオービスです。
小型のため、Hシステムやループコイル式などの大掛かりな設置工事を必要とせず、スペースの確保が困難な道でも設置可能。
レーダー探知機はSSSから照射される電波に反応しますが、どこにカメラが仕掛けられているかを見つけるのは困難です。
可搬式
175号線で移動オービス…
初めて見ました。超危険ですね〜#移動オービス #国道175号線 pic.twitter.com/DIDmf7aV6c— あっきー (@akio2700jp) October 31, 2019
可搬式は2016年4月に導入され、その名の通り持ち運び可能なオービスです。
電源が取れる場所であれば、三脚の上に速度測定装置とデジタルカメラを設置するだけでよく、速度違反車両を記録して後日、運転手の元に速度違反の通知を送ります。
レーザー式とレーダー式があり、レーダー式は操作のために無線従事者の資格が必要です。
半可搬式
レーザーで車速測定する半可搬式の新型オービス https://t.co/NY9BCihZXm pic.twitter.com/gtuf1hbwvk
— 三才ブックス (@sansaibooks) June 24, 2018
半可搬式は、固定式の台座の上に取り付けるもので、人員を配備しなくてもバッテリー駆動で一定期間の取り締まりが可能です。
トラックやバンを使って定期的に移動させることができるため、多くの場合、予告なしでいつのまにか設置されています。
まとめ
オービスの対策といえば、やはりレーダー探知機を付けることが一番です。
最新式のGPSレーダー探知機であればオービス設置情報により、レーダー照射のないオービスでも近くを走行した際は知らせてくれます。
さらに最近ではオービスの設置やネズミ捕りが行われている場所を知らせてくれるスマートフォンアプリも登場!!
しかし、過剰な速度オーバーでの運転はとても危険で重大事故を起こす原因になるため、一番のオービス対策は言うまでもなく普段から規定速度を守った安全運転につきることは言うまでもありません。
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