映画「フォードvsフェラーリ」でも話題となっていますが、フォードが打倒フェラーリを掲げ、威信を賭けて作ったクルマがGT40です。60年代を代表する伝説のレーシングカーとも呼べるこのクルマは、何故それほどまでの価値があるのでしょうか?

GT40

出典:https://www.mailexperiences.co.uk/ford-gt40-blast-sp1

闘うために生まれた生粋のレーシングカー

GT40

出典:https://www.supercars.net/blog/1964-ford-gt40-prototype/

1960年代、車メーカーのイメージ向上にとって最も重要だったのが、レースにおける活躍でした。

中でもル・マン24時間レースにおけるタイトル獲得は特別な価値を持ち、当時、覇権を誇っていたのがスクーデリア・フェラーリです。

フォードはスクーデリア・フェラーリそのものの買収を持ち掛けますが、交渉は決裂。

これに業を煮やしたフォードは、打倒フェラーリを掲げ、ル・マンで勝つ為のマシン作りに着手します。

驚異的なトップスピードを見せつけた「マーク1」

出典:https://www.mecum.com/lots/CA0816-244573/1966-ford-gt40-mki/

出典:https://www.mecum.com/lots/CA0816-244573/1966-ford-gt40-mki/

自社エンジンを提供していたローラ・カーズのマーク6をベース車両とし、新たにイギリスに設立したフォード・アドバンスド・ビークル社を拠点として、開発はスタートしました。

スチール製モノコックシャーシ+ファイバー製ボディに4.7リッターのV8エンジンを搭載したこの仕様はマーク1と名付けられ、1964年に発表されます。

そして1964年のル・マンに3台のマーク3が出走するも、全車リタイアという結果に終わります。

しかし、ル・マン初の最高速度300km/h越えを記録し、並居るライバル達の中で早くも存在感を示し始めていました。

ちなみに名前の由来は車高が40インチであることからきていますが、フォードは同車を「フォード・GT」と呼んでおり、「GT40」という名称は、メーカーとしての正式な名前ではありません。

堂々の表彰台独占!「マーク2」

出典:https://www.hemmings.com/blog/2015/01/27/the-ford-gt40-mk-ii-that-shouldnt-have-won-le-mans-in-1966-heads-for-restoration/

Ford GT40 race car in 1966 Le Mans winning colours. (07/03/06)

「フォードvsフェラーリ」の劇中でも活躍する車両がマーク2です。

マーク1のシャシーを強化し、エンジンを4.2リッターからシェルビー製の7リッターへ載せ替え、475馬力までものパワーアップに成功。

ボンネットにスペアタイヤを搭載する為にノーズのデザインが変更されている点が、マーク1との外観上の主な違いです。

1966年のル・マンには、ワークスマシンであるマーク2が8台と、プライベーターのマーク1が5台参戦し、1位から3位までをGT40が独占という快挙を果たします。

このマーク2は、1970年にポルシェ917にその座を奪われるまでの間、4連覇を達成する記録を成し遂げました。

また余談ですが、GT40はイギリスで製造されていたので右ハンドルです。

なぜかシフトレバーも右側(ドアの横)についており、このGT40は右ハンドルな上に右側でシフト操作を行います。

ちなみにこの理由については、トランスミッションの構造上右側に付いているという説が有力です。

ホモロゲーション取得用の「マーク3」

GT40

出典:https://www.supercars.net/blog/1966-ford-gt40-mark-iii/

マーク1をデチューンしたホモロゲーション取得用のモデルが、マーク3です。

乗降性を高めるためにルーフがえぐれていたり、ラゲッジスペース確保の為にボディが延長されていたりと、最低限の実用性を意識した作りとなっています。

1965年から1971年までの間に、合計31台が製造されました。

名作レプリカ「GTD40」を知っていますか?

GTD40

©motorz

伝説のレーシングカーと呼ばれているだけあって、GT40には様々なレプリカが存在します。

Motorzでは、以前にエムズバンテック社の協力により、『GTディペロップメント』というメーカーが手掛けたレプリカ車である『GTD40』の取材をさせて頂いています。

フルレストアが施された極上のGTD40の仕上がりは、正に圧巻の一言。

GTD40

出典:https://www.youtube.com/watch?v=yjAlvgJ89Ms&t=333s

当時の雰囲気を醸し出す3ピース構造のスピンナーホイールや、

GTD40

出典:https://www.youtube.com/watch?v=yjAlvgJ89Ms&t=333s

排気効率を上げるための結果として、芸術的な巻きとなったエキゾースト。

GTD40

出典:https://www.youtube.com/watch?v=yjAlvgJ89Ms&t=333s

レーシングカー然としたスイッチ類がむき出しのインパネ類等々、見どころ満載です!

詳細は動画からご覧下さい。

まとめ

アメリカを代表するレーシングカーと言っても過言ではない、GT40。

登場から半世紀が経過した今でもなお色褪せない美しいスタイリングに加え、数々のエポックメイキングな機構が、以降のレーシングプロトタイプに与えた影響は計り知れません。

映画化されるのも納得の伝説的なレーシングカーの栄光は、今後も語り継がれていくことでしょう。

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