1994年からJGTCへの参戦を開始したスープラは、シーズン途中からIMSA用2.1リッター直列4気筒ターボエンジンを搭載するJGTC専用マシンを投入。
グループCカーの部品もどんどん流用され、格段に戦闘力を増したスープラGTは強敵スカイライン勢に肉薄します。
そして1996年からはWRCセリカに搭載された2リッター仕様の3S-GTEエンジンを搭載し、チャンピオンへの道を着々と歩んでいきました。
この時期からブースト圧制御にフレッシュエアシステム(アンチラグ)が用いられるようになり、アクセルオフ時にもブースト圧の落ち込みを防いでレスポンス向上にひと役買いました。
コーナー手前でエキゾーストから「バンバンバン・・・!」と連続した破裂音がするのは、3Sエンジンを搭載したスープラならではの光景です。
1997年にはM・クルム/P・デ・ラ・ロサ組のカストロールトムス36号車が念願の初チャンピオンに輝きます。
2000年にはウォーターインジェクションの採用で燃費性能が大幅に向上。
3Sエンジン仕様の最終進化形とも言える戦闘力を手に入れたスープラは、2001年・2002年に2年連続チャンピオンの偉業を成し遂げました。
9年にわたってJGTCやル・マンで活躍した3Sエンジン仕様のスープラは、まさにスープラの中のスープラであり、数々の名バトルを生んだ伝説のマシンと言えるでしょう!
CONTENTS
2003~2005年 Supra GT 3UZ-FE搭載 (写真 2005年 Zent Cerumo Supra)
3S-GTEエンジンを究極とも言える域まで熟成したトヨタは、2003年シーズンからの新規定導入に合わせてセルシオのV型8気筒自然吸気エンジン「3UZ-FE」をスープラに搭載。
これはアメリカ製大排気量エンジン車を誘致するためにGTアソシエイションが吸気制限を緩和した事に起因します。
前年まで2リッターだった排気量が突然5.2リッターに拡大された事で、スープラのパフォーマンスは劇的に向上。
日産勢の巧妙な包囲網によってチャンピオンこそ逃しますが、どのサーキットでも常に上位に食い込む活躍を見せ、レギュレーションを逆手に取ったトヨタの目論見通りとなりました。
しかしながらそれも長くは続かず、翌年には吸気制限に関するレギュレーションに変更が加えられます。
これに対応するため2004年仕様のスープラは排気量を4.5リッターにスケールダウン。
さらにフェアレディーZにスイッチした日産勢に圧倒されるシーズンとなってしまい、この年もシリーズチャンピオンを逃す悔しいシーズンに・・・。
好機が訪れたのはスーパーGT初年度となる2005年。
フレーム構成とリヤサスペンションレイアウトを大幅に改良されたスープラは、全8戦中なんと5勝を挙げて見事な復活を果たしました。
その内、立川祐路/高木虎之介 組のZENTセルモスープラが2002年以来のシリーズチャンピオンを獲得!
翌年からレクサスへの体制変更が決定していた事もあって、チャンピオン獲得は素晴らしい引退の花道・・・だったはずなのですが、最前線から退いたはずのスープラは2007年に再びサーキットへ帰ってきます。
2007年 Supra HV-R (写真 Denso Sard Supra HV-R)
2007年の十勝24時間レースでレーシングスープラが復活しました!
市販車への技術転用を目指した先行開発車両として、2005年にスーパーGTを戦ったマシンをなんとハイブリッド化して投入したのがスープラHV-Rなんです。
ただでさえ速かった05年型スープラをハイブリッド化してしまうなんて、とんでもなくスペシャルなスープラですね!
制動時に発生する強大な回生エネルギーをインホイールモーターから蓄積し、コーナー立ち上がりの加速時に活用するというシステムを採用。
V型8気筒エンジンのビッグトルクに回生エネルギーがプラスアルファされ、決勝レース中も他を寄せ付けない驚速ぶりを発揮しました。
ドライバーはスーパーGTでもチームサードで活躍していたA・クート/平中克幸 組に、飯田章選手と片岡龍也選手を加えた4名体制。
このラインナップを見ても、いかにトヨタがこの挑戦に対して本気であったかが分かります。
ライバルがいなかった事実もありますが、雨やペナルティーの影響を受けながらも24時間を無事に走り切ったスープラHV-Rは、なんと2位に19周差をつけて快勝!
最前線から退いた後も、スープラはサーキットで強烈な輝きを放ったのでした。
まとめ
1986年に70型スープラが発売されてから21年間、スープラは日本のモータースポーツ界で常に輝き続け、記録と記憶の両面において確かな足跡を残しました。
その功績は計り知れないものであり、引退から9年が経った現在も我々モータースポーツファンに愛され続けています。
次世代スープラ開発の噂も囁かれる今、こうして歴代レーシングカーを振り返ってみて読者の皆さんには何を感じていただけたでしょうか?
各々の記憶にある懐かしいレーシングマシンを思い起こすことで、どこか心が温かくなっていただけたら嬉しいな・・・などと期待しつつ、この記事を書き終えたいと思います。
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