最高出力○○○馬力!0-100km/h加速△△秒!など、車の速さを表現する際、前に進む性能ばかりが注目されます。しかし、本当の速さに欠かせないのは安心して踏めるブレーキです。そこで、今回はARTA 55号車 NSX GT3のメンテナンスを請け負う秘密のファクトリーにお邪魔し、コンマ1秒を争うレーシングカーが使用するブレーキの秘密に迫りまりました!
Photo : Takanori ARIMA Text : Shingo MASUDA

厳しいレギュレーションで戦うGT300

世界の名だたる多くのスーパーカーには、制動力が高く熱耐性にも優れたセラミックカーボンブレーキが使用されています。

そうなると、速く走るための究極形とも言えるレーシングカーである、GT300を走るNSX GT3のブレーキも当然セラミックカーボン!と言いたいところですが、実は多くの市販車と同じスチール製が使用されています。

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その理由は、国内のトップカテゴリーであるスーパーGTには厳しいレギュレーションがあるからで、それにより、無尽蔵に膨らむ開発費を抑え、マシンの性能差を少なくしているのです。

特に、FIA GT-3車両であるARTA 55号車は改造範囲が限られており、市販車のNSXとサイズや材質などに大きな差はありません。

限られた選択肢の中からベストを見つけ出す

レースで勝つために重要となるのが、唯一交換が認められているブレーキパッドの選択です。

ARTA 55号車にはプロジェクトμ社製のブレーキパッドが使用され、サーキットの特性やBoP(バランス・オブ・パフォーマンス)に合わせて、最適なブレーキパッドが選択されています。

市販車に近いNSX GT3はチューニングのお手本

ブレーキはエンジンや空力と同じくらい重要です。

コーナーでのオーバーテイクでライバルよりも1mブレーキングを遅らせるための確実な制動力、そして、長丁場のレースを走り切るための耐久性。

それらを市販車に近い状態で実現するARTA 55号車 NSX GT3のブレーキは、言い換えれば「究極のストリートチューニング」のお手本と言えるかもしれません。

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