2019年のスーパーGTは、最終戦もてぎを残すのみとなりました。そんな中、トヨタ、ニスモ、ホンダは来シーズンのGT500車両を発表。来年は、トヨタがGRスープラを導入し、クラス1+αが採用されることにより、ホンダ NSXをFR化!2020年シーズンから、新生GT500クラスが始動します。

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2020年GT500クラスは3車種クラス1+αに完全同一規定

左からトヨタ・GRスープラ、ホンダ・NSX-GT、日産・GT-R。各クルマに寄り添うのはトヨタGR統括部の高橋敬三主査、ホンダの清水宏モータースポーツ部長、ニスモの松村基宏COO、そして一番左はGTAの坂東正明代表 / ©SUPERGT.net

2019年9月11日、スーパーGTを運営するGTA(株式会社GTアソシエイション)は来シーズンのGT500に出場するマシンを発表しました。

トヨタ、ホンダ、ニスモ、それぞれの代表3名とGT500車両のトヨタ GRスープラ、ホンダ NSX-GT、日産 GT-Rを公開。

トヨタは、これまで14年間レクサスブランドとしてGTに参戦してきましたが、GRスープラを投入するに伴い、トヨタブランドとして参戦することになります。

また、ホンダが2020年モデルNSX-GTをFR化したことで、GT500クラスの3車種はクラス1+α同一規定で戦うことになり、GT500クラス参戦の各車両は完全イコールとなりました。

2020年シーズンからクラス1+α規定導入

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クラス1+α規定は、2020年シーズンからスーパーGT GT500クラスに導入されるレギュレーションです。

マシンには、2リッター4気筒ターボエンジンと共通モノコックフレームを搭載。

ボディ下面およびリアフェンダー後方、ディフューザーが全車共通となります。

さらに、足回りのパーツ(ロッカー、アーム、スタビ、アップライト等)を共通化。

共通の足回りパーツに異なる国産タイヤを装着することになるGT500マシンは、セッテイングが難しくなるでしょう。

また、エンジンを制御するECUはボッシュで統一され、最高出力は約600馬力。
最高速度は時速180マイル(約288km/h)になるといわれています。

ちなみに、DTM(ドイツツーリングカー選手権)では既に2019年シーズンから導入されている、エレファントフットの空力部品は統一されていますが、GT500では開発可能となっているため”+α”と呼ばれます。

クラス1を導入する目的は『安全性の向上』、『コスト削減』、『平等な機会』とし、フレーム以外に共通部品を多く取り入れ、BoPによる性能統一も図られる予定です。

そして、DTMのレギュレーションに基づいた、レースの2ヒート制が導入され、近々DTMとの交流戦も視野に入れられています。

LC500よりコンマ1秒速いトヨタ・GRスープラ

2020年型・トヨタ・GTスープラ GT500クラス車両 / ©SUPERGT.net

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トヨタGRスープラと日産 GT-Rニスモは、9月12日・13日に鈴鹿サーキットでシェイクダウンテストを実施しました。

公にされた初のシェイクダウンということもあったためかトラブルが多く、ピットで過ごす時間が長い印象でしたが、2日目には1分47秒273を記録。

これは、レクサス LC500よりコンマ1秒速いタイムです。

レクサス時代より勝る速さを発揮するポテンシャルに、既にタイトル候補と思われる結果ではないでしょうか。

クラス1+αのセッティングに苦しんだ日産・GT-R

2020年型・ホンダ・GT-R GT500クラス車両 / ©SUPERGT.net

2020年型・ホンダ・GT-R GT500クラス車両 / ©SUPERGT.net

トヨタと共同で行われたシェイクダウンで日産 GT-Rがマークしたタイムは、松田次生の1分48秒558で、スープラの約1秒落ち。

ロニー・クインタレッリがドライブ中にはスロットルが戻らなくなり、フルロックするシーンや、ドライブシャフトをはじめとする共通部品にトラブルが発生していました。

GT-Rは、クラス1+α規定にセッテイングを合わせることに苦労していたようです。

開発は遅れている?ホンダ・NSX-GTはシェイクダウン不参加

2020年型・ホンダ・NSX-GT GT500クラス車両 / ©SUPERGT.net

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ホンダは、3メーカーの合同で行われるはずだったテスト走行会にマシン開発が間に合わず、実際に走らせている姿をまだ公にしていません。

そのため発表会で公開されたNSX-GTは、エンジンが搭載されていないショーカーだった可能性が!

それでも公開時にはマフラーがサイド出しだったり、インタークーラーがフロントにあったりと、FR化させた面影が多く見られました。

エンジンをコクピットより前に搭載することで多少ボンネットが高くなりますが、ノーズの長さはほとんど変わらず、2019年モデルのNSX-GTのシルエットを残しています。

2010年に導入したHSV-010は、参戦初年度でいきなりチャンピオンを獲得した実績があるため、FR化された新型NSX-GTも初年度から速さを発揮する可能性を秘めている事は間違いありません!

まとめ

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NSX-GTのFR化によりに、3車種すべてが完全にクラス1+α規定に準じた車両となります。

完全なイコール化に伴い、GT500で3メーカーの技術力が試させる時代が到来しました。

熟成をすすめたGT-Rで2メーカーを迎え撃つニスモおよび日産、トヨタはJGTC時代のスープラ伝説を新型GRスープラで再現できるのか。

そして、FR車両を開発したホンダは来シーズンの開幕までにNSX-GTを2メーカーと同等のポテンシャルに持って行けるのか。

来シーズンのスーパーGT GT500クラスは見逃せません!

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