映画「フォードvsフェラーリ」の舞台となった、1960年代のル・マン24時間レース。1967年にはジャガーが復帰を予定していましたが、Eタイプの販売の兼ね合いにより、計画は中止となりました。もし、1967年に予定通りジャガーが、ル・マン24時間レースに参戦していたら、どのようなレースが繰り広げられていたのでしょうか。
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もしも、「フォードvsフェラーリ」にジャガーが参戦していたら
1967年、ル・マン24時間レースへの復帰を計画していたジャガーは、「XJ13」で参戦する予定でした。
ジャガーXJ13は、ライバルのフェラーリ330P4やフォードGT40と対等に戦えるほどの性能を秘めていたと言われています。
しかし、1967年のはじめに計画は突如中止。その理由は、直列6気筒エンジンを搭載したジャガーEタイプの販売が好調であったことや、V12エンジンの存在が外部に漏れないようにするためだったと言われています。
ジャガーXJ13を開発していたチームは、開発を諦められず、無許可でテスト走行などを実施。
最終的に、休日のみ作業して良いという許可がおりたことで、XJ13の開発が地道に進められることになります。
ライバルのフォードやフェラーリに勝ちたい一心のエンジニアたちの熱い思いが、XJ13を完成まで導いていったのです。
そこで、実現こそしなかったものの、「フォードvsフェラーリvsジャガー」が実際に行われていたら、どのようなレースになっていたのてしょうか。
それぞれのマシンスペックから、考察していきましょう。
ジャガーXJ13
ジャガーXJ13は、ル・マン24時間レースへの参戦を目的に開発されたマシンです。
1960年代に開発がスタートし、1967年に完成。
開発時は、当時ル・マン24時間レースで活躍していたフェラーリ330P4やフォードGT40(FORD GT MarkIV)と互角に戦える性能を発揮すると言われていました。
ジャガーXJ13主要スペック
全長×全幅×全高=4,483mm×1,854mm×965mm
車両重量:998kg
エンジン:4994cc V型12気筒
エンジン搭載位置:ミッドシップ
最高出力:581ps/7,500rpm
最大トルク:53.4kgm/6,500rpm
駆動方式:MR
フェラーリ330P4
フェラーリ330P4は、330P3と似たスタイルですが、搭載エンジンは根本的に違います。
エンジンの大きな変更点としては、吸入2排気1の3バルブヘッドになっていること。
また、330P3よりも全長がわずかに短くなり、新しいサスペンションによって路面追従性が向上しています。
フェラーリ330P4主要スペック
全長×全幅×全高=4,185mm×1,810mm×1,000mm
車両重量:792kg
エンジン:3967cc V型12気筒
エンジン搭載位置:ミッドシップ
最高出力:450ps/8,000rpm
最大トルク:53.2kgm/6,000rpm
駆動方式:MR
フォードGT40(FORD GT MarkIV)
フォードGT40(FORD GT MarkIV)は、ル・マン24時間レースに勝利するためだけに開発されたマシンです。
アルミニウム製ハニカム構造のシャシーを採用し、軽量化が施されました。
フォードGT40(FORD GT MarkIV)主要スペック
全長×全幅×全高=4,341mm×1,791mm×980mm
車両重量:1,000kg
エンジン:6997cc V型8気筒
エンジン搭載位置:ミッドシップ
最高出力:500ps/6,500rpm
最大トルク:60.0kgm/5,000rpm
駆動方式:MR
実現しなかったものの実在に勝負をしたら熱戦になっていたかも
スペックの比較をすると、最高出力でジャガーXJ13がトップとなっており、直線での伸びが良さそうです。
しかし、トルクではフォードGT40がトップをマーク。コーナーからの立ち上がりなどでは、有利と言えるでしょう。
エンジンの最高回転では、フェラーリがトップの8,000rpmとなっており、高回転まで引っ張ることができそうです。
スタートでは、フォードが優位に立ち、ブレーキングやコーナリングで車両重量が軽量なフェラーリが真価を発揮、直線勝負でジャガーが優勢など、想像するだけでも手に汗握るレースを展開。
残念ながら「フォードvsフェラーリvsジャガー」は実現しませんでしたが、、実際にレースが繰り広げられていたら、歴史に残る戦いになっていたことは間違いありません。
まとめ
映画「フォードvsフェラーリ」は、世界的にも評価が高い作品です。
映画で描かれていた舞台の翌年に、実現できなかった幻のレースがあったということは、意外に知られていない事実。
フォードvsフェラーリvsジャガー」が実現していたら、映画の内容も変わっていたかもしれません。