今回は、”日本最高峰最速”のモータースポーツであるスーパーフォーミュラをご紹介します。
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50年近い”歴史”を持つスーパーフォーミュラ
「スーパーフォーミュラ」は、日本国内で最高峰であるモータースポーツ、カーレースです。
1973年に「全日本F2000選手権」として歴史が始まり、全日本F2→全日本F3000→フォーミュラ・ニッポンと名称を変更しながら、50年近くも開催され続ける伝統のトップカテゴリー。
高度経済成長期に、スポーツカーやツーリングカーをベースとしたレーシングカーで競われるモータースポーツが流行し、日本の自動車業界が成長すると同時に若者やクルマ好きから注目を集めました。
一方でフォーミュラカーと呼ばれる、市販車とは大きく異なったタイヤとモノコック(運転席)がカバーされていない車両でのレース人気は低迷。その不人気を打開すべく誕生したのが、全日本F2000選手権でした。
海外で開催されていたF2(フォーミュラ2)で使用されていた車両に、日本国内の自動車メーカーが市販車で使用していたエンジンをレース仕様にチューニングして搭載。
スポーツカー、ツーリングカーレース人気に負けじと、フォーミュラカーを使ったレースで一気にモータースポーツ人気を高めようとしたのです。
その後、カテゴリー名を「全日本F2選手権」、「全日本F3000選手権」、「フォーミュラ・ニッポン」と変化させつつ、日本のトップカテゴリーとして君臨し続けています。
そして2013年、アジア圏屈指のトップフォーミュラカーレースとなるべく「スーパーフォーミュラ」にシリーズ名称を変更。
時速300km/hを超える速さを持つフォーミュラカーを使用した、F1(フォーミュラ1)やアメリカのインディカーシリーズなどにも引けをとらないレースとして開催されています。
F1並みのコーナースピードを持つスーパーフォーミュラマシン「SF19」
スーパーフォーミュラを支えるレーシングマシンが、「SF19」です。
F1マシンに近い、前後に伸びたシルエットが特徴で、低く抑えられたフロントノーズと、ドライバーの身体を守るモノコック保護パーツ「HALO(ヘイロー)」を有するシャープなデザインとなっています。
SF19には、2リッター4気筒直噴ターボエンジン「NRE」が搭載され、600馬力とも言われるハイパワーマシンを、ドライバーが極限の状況で操るカテゴリー。
また「オーバーテイクボタン」と呼ばれる装備も搭載されており、オーバーテイクボタンは、レース中にドライバーが使用することで、ライバルマシンを追い越すためにエンジンをパワーアップすることができます。
国内海外問わず有力ドライバーが参戦中
スーパーフォーミュラの大きな特徴の1つは、「ドライバーラインナップ」です。
3度のスーパーフォーミュラチャンピオン獲得歴を持つ、皇帝やかつてF1に参戦していた大御所、自動車メーカー関連のレーシングドライバー育成プログラムで腕を磨いてきた若手や、F1参戦を夢見て日本での修行を選んだ外国籍ドライバーなど、幅広い層のドライバーが参戦。
2021年は、全12チーム/20名のドライバーがエントリーしています。
ここで、2021年シリーズで上位を争うであろう有力ドライバーをご紹介しましょう。
No.1 山本 尚貴選手(TCS NAKAJIMA RACING)
山本 尚貴選手は、2013年・2018年・2020年と、3度のスーパーフォーミュラチャンピオンを獲得している「皇帝」です。
的確な戦略判断とクリーンなバトル、マシンセッティングの巧さで、多くの強豪ドライバーたちとの激しいチャンピオン争いに、打ち勝ってきました。
2010年に、前身であるフォーミュラ・ニッポンに参戦を開始し、今季は12シーズン目。
チームを移籍した2021年シーズンは、チャンピオン防衛への新しいチャレンジをスタートさせました。
No.36 中嶋 一貴選手(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)
中嶋 一貴選手は、2008年から2年間、ウイリアムズチームよりF1へのレギュラー参戦を経験し、2018年から3年連続で「ル・マン24時間耐久レース」LMP1クラス(当時最高峰クラス)で3連覇を達成した大御所です。
父は元F1ドライバーの中嶋悟氏。2011年より前身のフォーミュラ・ニッポンに参戦を開始し、2012年に初タイトルを獲得。
スーパーフォーミュラにシリーズ名が変わったのち、2014年に2度目のチャンピオンを獲得するなど、日本を代表するドライバーのひとりです。
No.16 野尻 智紀選手(TEAM MUGEN)
野尻 智紀選手は、2014年にスーパーフォーミュラへステップアップし、ルーキーイヤーで初勝利を掴んだTEAM MUGENのドライバーです。
2019年から2年連続で1勝づつ勝利し、2020年シーズンは最後までチャンピオン争いに絡んでいます。
2021年シーズンは、開幕戦富士スピードウェイと第2戦鈴鹿サーキットでのレースで2連勝を飾り、チャンピオン争いに名乗り出た、勢いのあるドライバーです。
No.20 平川 亮選手(carenex TEAM IMPUL)
平川 亮選手は、2013年にスーパーフォーミュラへステップアップ。
1度シートを失いますが、2018年にTEAM IMPULで復帰し、2019年の第5戦ツインリンクもてぎで、スーパーフォーミュラの初勝利を掴みます。
そして2020年シーズンは開幕戦で勝利を挙げ、最終戦までチャンピオンを争いますが、惜しくもシリーズ2位。
2021年シーズンは黒のボディカラーに変わったマシンを操り、再びチャンピオン獲得に挑みます。
No.39 阪口 晴南選手(P.MU/CERUMO・INGING)
阪口 晴南選手は、2021年にスーパーフォーミュラへステップアップしたルーキードライバー。
過去にスポット参戦の経験はありますが、レギュラー参戦は2021年が初めてです。
「スーパーGT」のGT300クラスや「スーパーフォーミュラ・ライツ(旧・全日本F3選手権)」でチャンピオン争いを演じ、満を持してスーパーフォーミュラに昇格した期待のホープ。
2015年・2017年に2度のスーパーフォーミュラチャンピオンを獲得した石浦 宏明選手が勇退した後を引き継ぎ、キャリア初勝利を目指します。
No.12 タチアナ・カルデロン選手(ThreeBond DragoCORSE)
タチアナ・カルデロン選手は、コロンビア出身の女性レーシングドライバーです。
幼い頃からレーシングカートに触れ、ドライバー人生を歩み始めました。
ヨーロッパでGP3シリーズ(現FIA-F3)→FIA-F2選手権に挑戦したのち、2020年シーズンよりスーパーフォーミュラに参戦。
2年目となるThreeBond DragoCORSEのドライバーとして、2021年シーズンはスーパーフォーミュラ初となる、女性ドライバとしての入賞が目標です。
海外で活躍するスーパーフォーミュラ”卒業生”
過去にスーパーフォーミュラに参戦した、ストフェル・バンド―ン選手やピエール・ガスリー選手、フェリックス・ローゼンクヴィスト選手などは、F1やアメリカ・インディカー、フォーミュラE選手権など、海外のトップカテゴリーで活躍を続けています。
そして2019年のシリーズチャンピオンを獲得したニック・キャシディ選手は、2021年シーズンより、フォーミュラE選手権へのチャレンジをスタート。
彼らの活躍が、スーパーフォーミュラの存在意義やレベルの高さを示してくれています。
まとめ
2014年にフォーミュラ・ニッポンよりシリーズ名が変更された後も、日本のモータースポーツのトップカテゴリーに君臨するスーパーフォーミュラ。
F1に負けじと劣らない熱いレースバトルが演じられる、面白さバツグンのモータースポーツです。
鈴鹿サーキットや富士スピードウェイなど、日本国内のサーキットを巡業しておこなわれ、年間7戦の熱いバトルが繰り広げられます。
皇帝や大御所、期待の若手など、参加するドライバー層も幅広い、日本最高峰のモータースポーツ、スーパーフォーミュラを観戦してみではいかがでしょうか。