クルマの個性を表すボディカラーは、クルマ選びの際に必ずチェックするポイントではないでしょうか。かつて、1990年代に流行した”ツートンカラー”の人気が再燃しています。1990年代は高級車で多く採用されて人気を集めていましたが、現在は軽自動車で多くの車種に採用され、選択肢の幅が広げられています。なぜ、ツートンカラーの人気が再燃しているのでしょうか。

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ツートンカラーとは

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ツートンカラーは、簡単に説明すると、2色が組み合わせられたボディカラーです。

前後バンパーだけ黒で、他部分は白で塗るなど、パーツごとに2色を使い分け、個性を引き出せる点がツートンカラーの特徴。近年では塗装技術が発達し、ルーフ部分だけ別のカラーに塗り分け、アクセントを加える仕様も登場しています。

また、ツートンカラーはボディカラーのラインナップに取り入れられている場合もあれば、メーカーオプションで設定されているケースもあり、車種によってツートンカラーの扱いは異なるようです。

ツートンカラー=”高級”の証だった

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ツートンカラーは、通常の1色で塗装されるボディカラーとは異なり、2色に塗り分けられるため、手間とコストがかかります。

そのため、ファミリーカーではなく、高級車やスポーツカー、スペシャリティカーにツートンカラーが用意されているケースがほとんどでした。

ツートンカラーを採用した先駆けは、日産 ブルーバード(初代・310系)です。

初めて「ブルーバード」の名を背負ったクルマは、高級感を演出するためにツートンカラーを設定し、”日本の和”に溶け込めるデザインで人気を博しました。

高度経済成長期やオイルショックが過ぎ、スポーツカーブームの先駆けとなった日産 フェアレディZ(2代目・S130系)の、ボンネットだけ色を変えたツートンカラーも大きな人気を誇ります。

当時人気のあった配色は、黒にグレー、ホワイトなど、落ち着いた雰囲気を演出する組み合わせで、ドライブデートにピッタリの上品な仕上がりでした。

以降、トヨタ クラウンや日産 セドリック/グロリアなど、高級な車種に多くツートンカラーがラインナップされています。

1990年代に登場した”デートカー”たち

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ツートンカーラーが採用されたのは、高級車だけではありません。

1980年代から90年代にかけて登場した”デートカー”や”スペシャリティカー”たちにも、ツートンカラーが設定されました。

トヨタ・カローラレビン/スプリンタートレノ(AE86)

出典:https://www.toyota.co.jp/

「ハチロク」の愛称で知られる、トヨタ AE86カローラレビン/スプリンタートレノ。

ボディ下部のフロントからリヤまでをブラックで塗装し、ボディ上部の白や赤といったカラーと組み合わせられ、”パンダ”のニックネームなどの愛称で呼ばれています。

AE86自体も、FR(後輪駆動)のライトウエイトスポーツとしていまだまだ根強い人気があり、とあるクルマ漫画では、主人公が駆る愛車として白と黒のツートンカラーが印象的なAE86が活躍するなど、販売当時の世代だけでなく若者にも知名度の高いクルマです。

日産・シルビア(S13)

出典:http://nissan-heritage-collection.com/

デートカーとして若者に多大な人気を博した、日産 S13シルビア。

ボディ上部はライトグリーン、下部はグレーの配色がメインカラーにも選ばれたクルマです。

当時希少となりつつあったFRの2ドアクーペで、シャープなシルエットが男性だけでなく女性からも人気がありました。

100馬力前半から200馬力強まで、2種類のエンジンバリエーションが設定され、快速かつ快適さを備えたスポーツ性能を備えています。

ホンダ・CR-X(初代AE系)

出典:https://www.honda.co.jp/

ホンダの歴史に残るライトウエイトスポーツ、CR-Xにも初代AE系にツートンカラーが設定されました。

今では珍しくなくなった「ファストバック」とも呼ばれるハッチバックスタイルは、高い空力性能を誇るクルマとして人気を獲得。

車重が1t(1000kg)にも満たないボディに、最大135馬力を誇るパワフルなエンジンで軽快に走る姿は、当時の若い男性の憧れの1台でもありました。

近年は軽自動車にツートンカラーが流行中

一昔前は、高級車やスポーツカー、スペシャリティカーに使用されてきたツートンカラーですが、現在はトールワゴンタイプの軽自動車を中心に流行っています。

かつては、”安く買えて維持費が抑えられる”が第一の売りだった軽自動車ですが、いまやデザイン性や使い勝手に優れたモデルが多数用意されるようになり、ボディカラーも同様に種類が多種多様です。

ツートンカラーを採用している主な軽自動車たち

出典:http://www.mugen-power.com/automobile/products/n-one/

それでは、ツートンカラーを採用している軽自動車たちをご紹介しましょう。

現行車種で、個性的なボディデザインが施されているクルマに、ツートンカラーが多く設定されているようです。

スズキ・ハスラー

出典:https://www.suzuki.co.jp/

スズキ発の”遊べる軽”「ハスラー」。

クロスオーバーSUVジャンルの軽自動車で先駆けとなるモデルです。

真四角に近い箱型のスタイリングに、ポップな丸目ランプが印象的な1台には、オレンジや青などのポップなボディカラーに、ガンメタリックおよび白のツートンカラーがラインナップされています。

ダイハツ・ムーヴキャンバス

出典:https://www.daihatsu.co.jp/

セミトールワゴン軽自動車の「ムーヴキャンバス」。

程よく抑えられた車高にスライドドアを採用し、レトロな雰囲気を醸し出す落ち着いたデザインが好評です。

そんなムーヴキャンバスには、”ストライプス”と表現される上部と下部に、白もしくはグレーを配置したツートンカラーがメーカーオプションで設定されています。

ホンダ・N-ONE

出典:https://www.honda.co.jp/

ホンダが走りに重点を置いて開発した軽自動車が「N-ONE」です。

ホンダ創成期にラインナップしていた「N360」を思わせるレトロなスタイリングに、丸目のランプと大きく開いたフロントグリルが特徴の1台。

各グレードにツートンカラーが設定されており、ボディルーフがグレード別で、白や黒、シルバーをチョイスできる設定となっています。

日産・デイズ

出典:https://www3.nissan.co.jp/vehicles/new/dayz/

日産のトールワゴンタイプの軽自動車「デイズ」は、アクセルやブレーキ、ハンドル操作をアシストする最新鋭の安全装備「プロパイロット」を、グレード別で設定しているモデルです。

グレード別にオレンジやブラウン、バニラ、黒と4種類のルーフペイントも設定されており、好みに合わせたツートンカラーを選択可能。

遊び心も走りも両立したモデルとして、高い人気を博しています。

まとめ

出典:https://www.suzuki.co.jp/dealer/34103951.sj-hiroshima/

1990年代に高級車やスポーツカー、スペシャリティカーなどで採用されていたツートンカラーは、軽自動車が主流となった現代でも人気のカラーです。

”安く買えて維持費が抑えられる”よりも、”所有する喜び”や”個性の強さ”を重視するようになったユーザーによって、ツートンカラーを選ぶ時代が復活しつつあるようで、今後登場する軽自動車でも、ツートンカラーを設定する車種が増えていくことでしょう。