全日本ラリーで最も改造範囲が狭いJN2とJN1クラス。バチバチに火花を散らす86/BRZワンメイク状態のJN2クラスに、コンパクトカーを主流として車種に富んだJN1クラス。夫婦でタッグを組んでいたり、鈴木さんと鈴木さんがスズキに乗っていたり、はたまたレーシングドライバーがいたりと乗り手もバラエティ豊かなんです。
今回はそんな全日本ラリーのJN2クラスとJN1クラスを紹介します。
CONTENTS
全日本ラリーJN2とJN1クラスとは
JN2、JN1ともにRPN車両の車両規定でマシン製作されています。
改造範囲は非常に狭く、車両性能差が出にくい分、ドライバーの腕が試されるクラスです。
JN2クラスは総排気量が1.6リッターを超える2WDクラスとなっており、86/BRZを始めシビックタイプR(FD2)が参戦できますが、現状86/BRZのワンメイク状態となっています。
グラベルラリーが苦手なのか、ターマックラリーのみ参戦のチームが多いようです。
JN1クラスは総排気量が1.6リッター以下の2WDクラスとなっており、スイフトスポーツやフィット、デミオの王道マシンから、マーチnismoSや軽自動車のアルトワークスが参戦しており車種に富んだクラスとなっています。
またAE車両規定(ハイブリッド車や電気自動車など)に合致した車両もJN1クラスとなり、過去には日産リーフやトヨタミライの参戦があり、障がい者ドライバー用の装備(アクティブクラッチなど)をした車両もAE車両に該当します。
RPN車両規定とは
ジムカーナのPN車両規定にラリー用装備を装着したもの、と考えて頂ければ早いと思います。
通常のPN車両規定と違うところはエンジンやミッションマウントのブッシュ変更が可能となっているところでしょうか。
その他、デファレンシャル(LSD)、ファイナルギア、サスペンション、ダンパー等の交換が認められていますが、その他サイレンサーの交換などは禁止されています。
またベースとなっているPN車両規定ができた経緯ですが、2000年前後のクルマの方が最近のクルマより軽くてパワーがあり速く、勝つためには当然2000年前後の車両が選ばれ続けた過去がありました。
しかし、最近のクルマでも競技を行えるように、2006年1月1日以降のJAF登録車両でないとPN及びRPN車両として参戦できないことがレギュレーションで定められました。
見どころ
JN1クラス スズキアルトワークス番場彬/藤井俊樹組のオンボード映像をどうぞ。
車重の軽さを生かしたフットワークが武器のようで、リズミカルにコーナーを駆け抜けていくのが分かります。
改造範囲が狭いため、ドライバー技量はもちろんレッキ(下見走行)を確実に行い、SS攻略がしっかりなされているように感じます。
JN2クラス車両紹介
TOYOTA 86
スーパーGT、スーパー耐久、86/BRZレース、ジムカーナ、ラリー、ダートラ、ドリフトと日本の自動車競技のどのシーンでも走っているのがトヨタ86です。
RPN車両ということで改造範囲は狭いですが、腕に覚えのあるドライバーが多く参戦しています。
鎌野賢志/䕃山恵組、明治慎太郎/北田稔組、山本悠太/内田園美組、今橋彩佳/織田千穂組が使用しています。
ベース車両
エンジン:水平対向4気筒2リッター FA20
レイアウト:FR(フロントエンジン・リアドライブ)
車体寸法(全長×全幅×全高):4,240×1,775×1,320mm
車体重量:1,190kg(RC)
車体価格:¥2,056,909(RC)※2014年6月当時
SUBARU BRZ
トヨタ86と人気を二分するスバルBRZ。
基本的にはトヨタ86と共通であるため、見た目の好みで選ばれることが多いでしょうか。
小濵勇希/馬場雄一組、加納武彦/横手聡志組、佐藤隆行/高木充組が使用しています。
ベース車両
エンジン:水平対向4気筒2リッター FA20
レイアウト:FR(フロントエンジン・リアドライブ)
車体寸法(全長×全幅×全高):4,240×1,775×1,320mm
車体重量:1,190kg(RA)
車体価格:¥2,127,600(RA)※2014年6月当時
JN1クラス車両紹介
SUZUKI SWIFT sport(ZC31S)
初代HT81SのJWRCの活躍もあり、2代目のZC31Sとなってさらに人気が増したスズキ スイフトスポーツ。
スズキワークスがJWRCスーパー1600クラスで参戦していたこともあり、ラリーのイメージと結びつきやすい印象です。
スマッシュRBACラリーチームより鈴木尚/鈴木裕組がスズキのスイフトスポーツに乗って参戦しています。
ベース車両
エンジン:直列4気筒1.6リッター M16A
レイアウト:FF(フロントエンジン・フロントドライブ)
車体寸法(全長×全幅×全高):3,765×1,690×1,510mm
車体重量:1,060kg(sport)
車体価格:¥1,627,500(sport)※2009年5月当時
SUZUKI SWIFT sport(ZC32S)
現行型であるZC32S型のスズキ スイフトスポーツ。
性能的には後述のFIT GK5と互角に渡り合う実力があり、旧型に比べホイールベースが伸び、安定感のある走りが特徴的です。
須藤浩志/新井正和組、直井健/厚地保幸組が使用しています。
ベース車両
エンジン:直列4気筒1.6リッター M16A
レイアウト:FF(フロントエンジン・フロントドライブ)
車体寸法(全長×全幅×全高):3,890×1,695×1,510mm
車体重量:1,050kg
車体価格:¥1,728,000
Honda FIT
スーパー耐久のST5クラスでは常に上位に食い込むホンダ フィット。
先代まで使用していたL15Aエンジン(SOHC)からL15Bエンジン(DOHC)へ変更となり、性能アップが図られています。
小川剛/佐々木裕一組、三苫和義/引間和広組が使用しています。
ベース車両
エンジン:直列4気筒1.5リッター L15B
レイアウト:FF(フロントエンジン・フロントドライブ)
車体寸法(全長×全幅×全高):3,955×1,695×1,525mm
車体重量:1,050kg(RS)
車体価格:¥1,926,000(RS)
NISSAN MARCH nismo S
メーカー純正にして型式に「改」の文字が入る日産マーチニスモS。
スイフトスポーツとフィットの牙城に割って入れるかが鍵となりそうです。
プレイドライブラリーチームより小泉茂/小泉由起夫婦が参戦しています。
ベース車両
エンジン:直列4気筒1.5リッター HR15DE
レイアウト:FF(フロントエンジン・フロントドライブ)
車体寸法(全長×全幅×全高):3,870×1,690×1,495mm
車体重量:1,010kg(nismo S)
車体価格:¥1,842,480(nismo S)
SUZUKI ALTO WORKS
全クラスを通じて唯一の軽自動車となるスズキ アルトワークス。
軽いとはいえ、他車に比べてパワー不足は否めずヒルクライムでは不利ですが、ダウンヒルが多いSSではクラストップタイムを出すことがあり侮れない存在となっています。
ちなみに筆者、一般道でこのアルトワークスを試乗した経緯がありますが、ただでさえ狭い軽自動車の車内にラリー基準のロールケージが張り巡らされ、またフルバケットシートであることから、乗り降りする際は狭いのはもちろん色々なところに身体が干渉して痛い、というのが感想です。
CUSCO junior Rally Teamより番場彬/藤井俊樹組が参戦しています。
ベース車両
エンジン:直列3気筒0.66リッター R06A
レイアウト:FF(フロントエンジン・フロントドライブ)
車体寸法(全長×全幅×全高):3,395×1,475×1,500mm
車体重量:670kg
車体価格:¥1,509,840
MAZDA Demio(DE5FS)
JN6クラスではRPN車両とAE車両で参戦しているマツダ デミオ。
写真のデミオはAE車両で、手動運転装置と呼ばれるアクティブクラッチを装備しています。
下半身に障がいのあるドライバーが、AT車ではなくMT車を運転できるように、と京都府京田辺市にあるオサムファクトリーが開発しました。
実際には、シフトレバーにクラッチボタンが付いており、それを押しながらシフトチェンジをすることで走行することが可能で、エンストの心配はありません。
チームアッスルより伊藤隆晃/大高徹也組(RPN)とアクティブクラッチ・デミオより桝井和寛/齊田美早子組(AE)が参戦しています。
ベース車両
エンジン:直列4気筒1.5リッター ZY-VE
レイアウト:FF(フロントエンジン・フロントドライブ)
車体寸法(全長×全幅×全高):3,900×1,695×1,475mm
車体重量:980kg(15C)
車体価格:¥1,373,143(15C)※2014年4月当時
まとめ
いかがだったでしょうか?
他のクラスに比べて車両の改造範囲が非常に狭いRPN規定のJN2とJN1クラス。
普段はお買い物車として活躍するようなコンパクトカーが、公道を全開で攻める様子は圧巻の一言です。
また、これからラリー参戦を考えている方にとっては最も参加し易いクラスでもあり、車両作りなど参考になること間違いなしです。
是非一度ご覧になって頂き、ゆくゆくはラリー参戦もしてみて下さい。
他のクラスも是非チェックしてみてください。
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