これからモータースポーツをしよう、観に行こうという人にとって、まず1つ目の壁が「専門用語」です。普段モータースポーツに関わっている人には当たり前ですが、そうでない人には耳慣れない言葉ばかり。場内アナウンスでも普通に使われるので、何が起きているのかわかりにくい場合も多いです。そんな専門用語を説明していきます。まずはジムカーナとダートトライアルから。

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「スピード競技」とレースやラリーの違い

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まずは、かなり基本的な用語ですが、ジムカーナ競技やダートトライアル競技は、総称すれば「スピード競技」(あるいは「タイムアタック競技」)と呼ばれます。

いずれも出走は1台ずつ、追い抜き無しで純粋にスタートからゴールまでのタイムを競うため、複数台で走って着順を決めるレースや、減点ポイントの少なさで順位を決めるラリーとは異なるのです。

 

コース上のアレは何?

ジムカーナでもダートトライアルでも、見に行くと必ずと言っていいほど目にするコース上に置かれた物や人。その名称を知っていますか?

パイロン

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まず欠かせないのがこちら!

基本的には工事現場などによく置かれている「三角コーン」のことを、ジムカーナやダートトライアルでは「パイロン」と呼んでいます。

大抵は赤いコーンですが、特に赤くなければいけないという決まりがある訳ではありません。

会場によって円柱状のスポンジバリアや、その他障害物で代用していることもあります。

パイロンを並べて左右に蛇行するスラロームや、「パイロンとパイロンをつなぐように走らせるコース設定」、あるいは危険な場所を示したり、走行ラインを制限したりするので、パイロンあるいはその代用品を使わないスピード競技はほとんどありません。

なお、パイロンの中には接触するとペナルティを受ける「規制パイロン」も存在するので、競技を観戦する上では重要なポイントとなります。

光電管

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本体と反射板の間に光を飛ばし、反射板から帰ってくるはずの光が遮られると、車両が通過したものとして信号を発するのが光電管です。スタートとゴールに設置してタイムを計測するほか、中間地点に設置して中間タイムを計測することにも使用されます。

光電管が無かった昔や、あるいは現在でも光電管を持っていない主催者がイベントを開く時は、大抵3つのストップウォッチで計測し、その平均値で代用される事もあるのです。

 

オフィシャル

どんな小さなイベントでもコース内外にいる多くのスタッフの働きによって運営が進行していきます。中でも当日コース内やパドックで作業しているイベントの公式スタッフを「オフィシャル」と呼びます。

主なオフィシャルの仕事はパドックなどでの受付や車検、場内整理などを行ったり、スピード競技においてはコース内で安全をコントロールする為の各種のフラッグを振る業務などを行ったりしています。

さらに競技によっては、規制パイロンギリギリに走る競技車両がパイロンに接触していないか通過ごとに目をこらして確認したり、接触して倒れてしまい位置がズレたパイロンを迅速に直す作業もあるため、競技中は大忙しです。

スターター

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スタート時に、一斉に全体に向けてスタートの合図を送るのではなく1台1台にスタートの合図を送らなければいけないのがスピード競技におけるスターターの特徴です。

小型のシグナルツリーなどで代用している場合もあるのですが、オフィシャルがスターターを行う時は、飛び上がったり旗をいかに大きく振るかなど、アクションを独自に研究している名物スターターもいて、競技の見どころのひとつになっている事もあるのです。

なお、実際のタイム計測開始は光電管通過後なので、スターターが旗を振った瞬間(あるいはシグナルツリーが青に変わった瞬間)がスタートではなく、あくまで「スタートして良い」という合図となっています。

 

コースの種類

走行するコースには常設コースや特設コースなどいくつかの種類があります。

ジムカーナの場合は大きく分けて2種類ですが、ダートトライアルの場合は路面で区別している場合が多いと言えるでしょう。

フルパイロン(ジムカーナ)

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舗装された広いスペースに並べたパイロンだけでコースを設定するジムカーナコースがフルパイロンです。

競技車両はパイロンによって点と点を結ぶように走りますが、単純にパイロンからパイロンに向かって走ればいいわけではありません。

パイロンの左右どちらを通るかは決められていますし、最速で走るためにはパイロンギリギリで走るだけではなく、あえて離れて走ることもあります。

つまり、ドライバーはパイロンが並べられた以外は何も無い平面であるコースから、「自分なりのコースと走行ライン」をイメージして走る必要があるのです。

同じ場所を2度走り、しかも2回目は1回目と違うコースで走る場合(前後2本並んだパイロンがあるとして、1回目はスラローム、2回目は8の字走行など)も多いため、コースを覚えるのも大変で、初心者はもちろん上級者でもコースミスが多々起こるのもフルパイロンの特徴と言えます。

そのため、ドライバーは存在しないコースを頭に描くイマジネーション能力と、それを覚える能力が求められるため難易度が高いのですが、「フルパイロンが一番ジムカーナらしい」と好むドライバーも少なくありません。

コースジムカーナ(ジムカーナ)

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カートコースやミニサーキットで行われ、コースのショートカットを利用して同じ場所をもう1回走らせるなど(もちろん2回目は逆回りの場合もあり)、多彩なコース設定が可能なコースとなっています。

コースは覚えやすいのですが、その反面、コース幅が決められているため、「脱輪ペナルティ」が課せられやすいのも特徴です。

車種によっては(後で説明する)サイドターンに失敗するとコース幅の中で走りきれず、バックギアを強いられることもあるため、大型の車や4WDなど小回りの効かない車にとっては難易度の高いコースでもあります。

フラットダート(ダートトライアル)

「硬質ダート」や「ケミコン路面」とも呼ばれる、舗装こそされていないものの固く踏みしめられたような路面を生かしたのがダートコース。

平坦とはいえ路面のミュー(摩擦)は舗装路面とは比べ物にならないため、ドライバーは滑るように高速ですっ飛ぶマシンのコントロールに慎重さと大胆さを求められます。

また、フラットダートは路面の凹凸が少ないので車体底面を保護するガード類が不要そうにも感じますが、実際にはラインを外すと後述するフカフカ路面が待っていることもあるため、結局ガード類が必要となるのです。

フカフカ路面(ダート)

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いかにもオフロードという柔らかい土や砂で構成されたダートコース。

何台ものマシンが繰り返し同じラインを走行しているうちに深くわだちが掘られていきますし、それにタイヤを取られてコントロール不能になってしまし土手に乗り上げたり、転倒の原因にもなってしまいます。

とにかくタイヤの回転数を上げてフカフカした路面をかき切るようにして走らねばならず、さらに競技車両の通過後はギャラリーにまで猛烈な土煙が襲いかかる大迫力も醍醐味となっているコースです。

ただし、あまり土煙がひどいと視界も悪くなりますから、途中で水をまき(散水)、路面コンディションの調整が行われたりもします。

 

まとめ

今回はまず目に付くコース上の人や物、それにコースの種類を専門用語という観点から簡単に説明させていただきました。

コース上にたくさんあるパイロンの役割から、ペナルティを恐れず規制パイロンギリギリに攻めるドライバー、スターターのアクションなど、今後のチェックポイントが増えたのでは無いでしょうか?

次回はさらに見所を増やすべく、オフィシャルの上げる旗の種類や代表的な走行テクニックであるサイドターンの種類、ペナルティの種類などをご紹介したいと思います。

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