いよいよ開幕戦を迎えた2017スーパーGT開幕戦。注目の決勝レースはスタート前に赤旗が出され、合計でセーフティカーが3回導入される波乱の展開。ドライコンディションにも関わらず2時間12分と長丁場のレースとなった。その全容を今回振り返っていきたいと思う。
まさに悪夢!ホンダ陣営に続々とトラブル発生
前日の公式予選では雨交じりの天気となったが、決勝日は一転して晴れに。気温19度、路面温度25度で始まった決勝レース。いきなり、大波乱の展開が待ち受けていた。
5番手スタートのNo.17KEIHIN NSX-GTがグリッドを離れられずストップ。一度は動き出すが、またコース上でストップしてしまった。これを皮切りに続々とトラブルが発生。今度はNo.8ARTA NSX-GTがストップ。事態収拾のため赤旗が出されるのだが、その直後にNo.64EPSON Modulo NSX-GTがストップ。レース再開後の6周目にはNo.100RAYBRIG NSX-GTも止まってしまうなど、ほぼ同時のタイミングにホンダ勢4台が戦線離脱という事態に見舞われた。
実は、原因は全て予選Q2でNo.16MOTUL MUGEN NSX-GTに出た電気系トラブル。ホンダの佐伯昌浩プロジェクトリーダーは「NSX CONCEPT-GT時代から使ってきた部品で、これまで一度も壊れたことがなかったです。冬のテストでも問題がなかったのですが、レース用エンジンで全車トラブルが出ました」と、険しい表情をみせていた。
結局、前日のトラブル発生で唯一対象パーツを交換してスタートしていた16号車のみが9位でフィニッシュ。陣営唯一のポイント獲得となった。
日産勢、ペース伸びず
前日の予選では、全車が予選Q1脱落という事態に見舞われた日産勢。決勝でもペースが伸びず、昨年から一転して後方での戦いとなってしまった。
その中でも、少しでも上位でフィニッシュしようと奮闘したのがNo.23MOTUL AUTECH GT-R。予選では14番手と後方に沈んでしまったが、着実に順位を上げ7位でフィニッシュした。
しかしレクサス勢との差は大きく、レース後半にセーフティーカーが導入され、差が縮まって残り20周を戦ったが、トップとの差は20秒。
各ドライバーのベストタイムをみても、レクサス勢は全員1分20秒台なのに対し、日産勢は1分21秒台。比較的狭い岡山のコースで1周1秒という差は非常に大きい。
今年のレギュレーションではエンジン使用数も2基に減り、シーズン中のパフォーマンスアップができるタイミングが減ってしまっている。
次の富士でも苦しい戦いになるかもしれないが、これまで何度もタイトルを獲得してきた強豪勢だけに、1日も早い上位進出を期待したいところだ。
エースの座を掴むのは?レクサス勢のガチンコバトル勃発!
結局、トップ争いはレース前の予想どおりレクサス勢だけの戦いとなった。
ポールポジションの8号車NSXがトラブルで脱落したことにより、No.6WAKO’S 4CR LC500がトップでレーススタート。
ここ岡山を得意とする大嶋和也が、逃げていく展開になるかと思われたが、No.37Keeper TOM’S LC500のニック・キャシディがバックストレート終わりのヘアピンで、インに飛び込みオーバーテイク。ブレーキをロックさせながらの気合いが入った追い抜きだった。
さらに、残る4台のLC500も代わる代わる上位争いを繰り広げる。レクサス陣営としてはトップ6独占という、この上ない展開なのだが、戦っているチーム・ドライバーはやはり優勝が最大の目標。
チャンピオン争い、そしてレクサス同士のライバル対決で主導権を握っていくためにも、岡山で何としても勝利がほしかったのだ。
それを象徴するようなバトルとなったのが、レース後半の37号車(平川亮)vs6号車(アンドレア・カルダレッリ)の対決。
隙あらばバックストレートでも、1コーナーでも横に並びかけていくが平川も巧みにラインをコントロールし相手に主導権を握らせない。
途中にはGT300マシンを間に挟んで3ワイドでバトルをするシーンもあるなど、白熱したものとなった。
レース後半にGT300車両のクラッシュが発生しセーフティカー導入。残り20周のスプリントバトルでも両者の戦いが続いたが、残り10周付近で発生したGT300集団との混走で、うまくリードを広げた37号車がそのままゴール。チームとしては2015年以来となる優勝を飾った。
2位は6号車、3位には昨年チャンピオンのNo.1DENSO KOBELCO SARD LC500(ヘイキ・コバライネン/平手晃平)が表彰台の一角を確保した。
GT300も白熱したレースバトルに。そして、あのベテランドライバーが涙の勝利!詳細は次のページで。