世界3大耐久レースに数えられるスパ・フランコルシャン24時間レースが7月29日に開幕を控えています。今季は日本からGOOD SMILE RACING & Team UKYOが参戦することが発表され、国内でも大きな注目を集めることになりそうです。そこで今回は今季の見どころや、無料での放送や観戦方法などを交え、スパ24時間レースをご紹介していきます。
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いよいよ開幕を迎えるスパ=フランコルシャン24時間耐久レース
今年もまもなく開幕を迎えるスパ24時間レース。
先日開催されたル・マン24時間、デイトナ24時間と並んで世界3大耐久レースに数えられるこのレースは、1924年から始まった非常に長い歴史を持つレースとして知られています。
現在はヨーロッパで人気を博すブランパンGTシリーズの1戦としてカレンダーに組み込まれていますが、以前はETC(ヨーロッパ・ツーリングカー・選手権)やWTC(世界・ツーリングカー・選手権)の1戦として開催されていました。
また、どのシリーズにも属さず単独のレースとして開催された時期もありましたが、開催が中止されることは無かったことからも、このレースが多くの人に愛されていることがお分かり頂けると思います。
参戦車両は市販車をレース仕様に改良したツーリングカーが中心となっており、ル・マン24時間やデイトナ24時間レースと比較して、より身近なクルマがレースを戦っているという点もこのレースの魅力と言えるでしょう。
舞台となるスパ=フランコルシャンとは?
ベルギーに構えるシルキュイ・ド・スパ=フランコルシャンはヨーロッパを代表するサーキットの1つで、現在でもF1、WECなどの多くの世界的なレースで使用されています。
開催された当時は1周約14kmという非常に長い公道コースだったのですが、とてもスピードの出やすい危険なレイアウトだったこともあり、コースレイアウトが変更されることになりました。
その変更に伴って1周の距離は約半分となる約7kmになり、レースで使用される区間を完全にサーキット化。
現在のコースレイアウトの原型が作られていきました。
しかし、改修された後もドライバーの度胸が試される”ドライバーズ・サーキット”として高い評価を得ており、オー・ルージュやブランシモンといった多くの高速コーナーは、ファンにとっても見応え満点の観戦ポイントとなっています。
また、1kmを超える長いストレートであるケメルストレートや、このコースで最も低速のコーナーであるバスストップシケインはバトルが頻発するので注目を集めるエリアです。
また、山岳地帯に作られたことから高低差が104mもあり、激しいアップダウンがあるのもこのコースの大きな特徴となっています。
現在ではF1ベルギーGPの舞台として有名ですが、このコースで初めて開催されたレースがスパ24時間で、このサーキットを語る上で、外すことの出来ないレースとして知られています。
スパ・フランコルシャン24時間レースってどんなレース?
全車GT3マシンなのにクラス分けがある!?
このスパ24時間レースではドライバーのレベルに応じてクラス分けが行われており、Over all(Pro)、Pro-Am Cup、Am Cupという3つのクラスが存在します。
参戦するドライバーは過去の戦績に応じてプラチナ、ゴールド、シルバー、ブロンズという4つのランクに分けられ、クラスに応じて参戦できるグレードが決まっています。
また、スパ・フランコルシャン24時間レースでは1つのチームに3名のドライバーが在籍するため、このクラス分けがドライバーの組み合わせにも大きく影響することになるのです。
それでは、順に見ていきましょう。
Over All(Pro)
Over Allクラスはドライバーのグレードに制限が無く、どのチームも好きにドライバーを選ぶことが出来ます。
そのため、プラチナやゴールドのドライバーが多く集まる強者揃いのクラスです。
Pro-Am Cup
こちらはプロとアマチュアが混在するクラスで、最低でも1名のブロンズドライバーを起用しなければなりません。
このクラスでもプラチナのドライバーを起用できるのですが、その場合はブロンズのドライバーを2名にする必要があります。
また、スパ24時間レースの場合は4名のドライバーで戦うことも出来ますが、その場合はプラチナが2名に対しブロンズが2名、もしくはプラチナ1名、シルバー2名、ブロンズ1名といった制限が設けられています。
Am Cup
こちらはアマチュア限定とも言えるクラスで、通常のレースではブロンズのドライバーしかエントリーできないというルールになっています。
スパ24時間レースでは4名のうち1名、シルバーのドライバーを起用することが出来ますが、走行時間に制限が設けられています。
そのため、基本的にはブロンズのドライバーが戦うクラスとなっているのです。
参戦するのはGT3マシンだけ!
ブランパンGT選手権では参戦車両全車がGT3のマシンとなっており、多くのメーカーが激戦を繰り広げています。
アウディ、ランボルギーニ、BMWといったヨーロッパのメーカーを中心に、F1にも参戦するフェラーリやマクラーレンのマシンもこのスパ・フランコルシャン24時間レースで一挙に戦うことになります。
唯一、日本のメーカーとして参戦しているのが日産でNissan GT-R Nismo GT3を投入し、この厳しい耐久シリーズで挑戦を続けているのです。
今季は日本からGOOD SMILE RACING&Team UKYOが参戦!
今年のスパ・フランコルシャン24時間レースの最大の注目点とも言えるのが、初参戦となったGOOD SMILE RACING&Team UKYOです。
監督を元F1ドライバーの片山右京氏が務めるだけでなく、3名の日本人ドライバーを揃えてこの歴史ある伝統のレースに挑みます。
谷口信輝、片岡龍也、小林可夢偉の3名がMercedes AMG GT3をドライブし、このレースに新たな歴史を刻むのです。
それではこれら3名の選手をご紹介したいと思います。
谷口信輝
まず最初にご紹介するのは、SUPER GTでもグッドスマイルレーシングに所属する谷口信輝選手です。
これまでSUPER GTだけでなく、D1グランプリでもシリーズチャンピオンに輝いた経歴を持ち、ツーリングカーを中心に幅広いレースで活躍を見せてきました。
30歳にしてようやくレーシングドライバーとして活動を始めるという遅咲きのキャリアですが、46歳となった現在でも国内レースの第一線で活躍を続けています。
海外でのレース経験は多くありませんが、ドリフト走行とグリップ走行のどちらでも素晴らしい実績を残しており、SUPER GTで15年間に渡り参戦してきた経験にチームからも大きな期待が寄せられるドライバーです。
片岡龍也
続いてご紹介するのはSUPER GTでも谷口選手とコンビを組む、片岡龍也選手です。
10代の頃よりレーシングカートで優秀な成績を収めた片岡選手は、(FTRS)フォーミュラ・トヨタ・レーシング・スクールの初代スカラシップに選ばれるなど、若い頃から才能を示してきました。
そして、フォーミュラ・トヨタや全日本F3選手権にも参戦し、F1への登竜門と呼ばれるマカオGPにも出場した経験を持っています。
その後はフォーミュラ・ニッポン(現:スーパーフォーミュラ)にも参戦するなどフォーミュラカーを中心に活躍を続けましたが、2003年からはSUPER GTに参戦。
以降、現在まで12年連続でSUPER GTに参戦を続け、2014年には現在のチームメイトである谷口選手とのコンビで王座を勝ち取るなど、計2度に渡ってタイトルを獲得しています。
フォーミュラカーだけでなくGTマシンの経験も豊富なので、スパでの健闘に期待がかかる選手です。
小林可夢偉
そして最後にご紹介するのはF1やWEC(世界耐久選手権)でもお馴染みの小林可夢偉選手です。
2009年にF1デビューを飾った小林選手はすぐさま頭角を現すと、翌年よりザウバーへ移籍しチームを牽引する活躍を見せました。
2011年には5戦連続で入賞を飾るなど安定した実力を発揮し、その翌年には母国となる日本GPで日本人として3人目となる3位表彰台を獲得する快挙を達成!
しかし、2012年末にシートを失い、2014年シーズンは復帰するも、以降F1で活躍するチャンスに恵まれず、それ以降はスーパーフォーミュラやWECへと活躍の場を移していきます。
WECでは現在もトヨタのワークスドライバーとして活躍を続けており、今年のル・マン24時間レースでは見事ポールポジションを獲得し、改めて速さを証明する結果を残しました。
今回の戦いの舞台であるスパ・フランコルシャンは彼のお気に入りのサーキットでもあり、F1では予選で2番手を獲得したコースということもあり、多くのファンが再びスパを走る彼の姿を楽しみにしています。
ブランパンGT選手権で戦う日本人ドライバーも参戦!
そしてスパ=フランコルシャン24時間レースで戦う日本勢はグッドスマイルレーシングだけではありません!
ブランパンGT選手権に参戦している2名の日本人ドライバーも、このレースでの活躍が期待されています。
では、続いてそんな2名の日本人ドライバーもご紹介していきます。
千代勝正
現在、ブランパンGT選手権とSUPER GTなど国内外のレースで活躍する千代勝正選手。
2014年からブランパンGT選手権に参戦し今年で4年目を迎えますが、2015年にドライバーズチャンピオンに輝くなど素晴らしい実績を残しています。
また、この他にもオーストラリアで開催されるバサースト12時間で総合優勝を飾った経験を持ち、海外での耐久レースで速さを発揮し続けているのです。
国内ではSUPER GTにブランパンGT選手権と並行して参戦しており、2015年には300クラスで王者に輝きました。
スパ=フランコルシャン24時間レースではSUPER GTと同じく日産のマシンをドライブし、Motul Team RJN Nissanからエントリー!
今季はまだ表彰台を獲得出来ていませんが、このレースを皮切りに後半戦からの追い上げに期待がかかります。
石川資章
最後にご紹介する日本人ドライバーは医師でありながら、レースを戦うという珍しい経歴を持つ石川資章選手です。
かつてからフェラーリのマシンを駆り、フェラーリ・チャレンジ・アジアパシフィックに参戦を続けると、活動を海外へと広げていき現在はヨーロッパを中心に活躍しています。
すでに年齢は50歳に達していますが、今季はブランパンGT選手権と並行してイタリアGT選手権にも参戦。
2015年には元F1ドライバーのジャンカルロ・フィジケラと同じチームでヴァレルンガ6時間レースでクラス優勝、総合2位という素晴らしい成績を収めました。
彼の所属するAF Corceはフェラーリのセミワークスであり、スパ24時間での戦いに期待がかかります。
日本での視聴方法は?実は、無料でも観れる!?
このように今季は国内でも大注目のスパ24時間レースですが、以下の方法で視聴する事が可能です。
テレビ中継ではCSのスポーツ専門チャンネルJ SPORTSがレースをスタートとチェッカーに焦点を当てた、2部構成でレースを生中継することが決定しています。
第1部:2017年7月29日(土)23時15分~26時30分 J SPORTS 3
第2部:2017年7月30日(日)21時00分~24時00分 J SPORTS 3
また、J SPORTSオンデマンドではスパ24時間レースが完全生中継で配信されるので、一部だけでは物足りないという方も楽しめる内容になっています。
そして、スパ24時間レース公式サイトでもレースの様子がストリーミングで生中継!
こちらは実況・解説の音声が英語ですが無料で視聴でき、ラップタイムなどが楽しめるライブタイミングも閲覧することが出来るので、かなりおススメです。
是非、スパ24時間レース公式サイトをチェックしてみてくださいね。 → http://www.24hoursofspa.com/
まとめ
今季は日本勢の参戦が増えたこともあり、これまで以上にこのスパ24時間レースは大きな注目を集めることになりそうです。
すでにル・マン24時間とデイトナ24時間が終了し、今季最後となる世界3大耐久レースがまもなく開幕を迎えます。
世界的な人気を誇るスパ・フランコルシャンで活躍する日本人の活躍に加え、GT3マシンで繰り広げられる激しいバトルなど見どころは盛りだくさん!
スパ・フランコルシャン24時間レースは7月29日(土)日本時間23時30分にスタートです。
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