最新の技術で復活、日本での発売も決まっているアルピーヌ・ルノーA110ですが、元々はレースやラリーなどでルノー車のチューンに定評のあったルノー傘下になる前のアルピーヌが開発、1973年から始まったWRC初代王者となった名車でした。

 

Photo by questa_ta

 

 

ルノーチューンのプロフェッショナル、アルピーヌ

 

Photo by Spanish Coches

 

1973年以降ルノー傘下となり、「アルピーヌ・ルノー」を名乗るアルピーヌが設立されたのは1956年。

アルプスの山岳路をこよなく愛したフランスのレーサー、ジャン・レデレによって、ルノー車のチューニングやそれをベースとしたレーシングカーの開発を行っていました。

初期に開発されたのは日本でも日野ルノーの名で有名だった4CVベースのA106で、まだフレーム別体式の時代だったので、4CVのフレーム上にFRPボディを乗せた750ccの小排気量軽量レーサーでした。

4CV後継のドーフィンからはモノコックボディとなったため、アルピーヌ車はRR(リアエンジン・後輪駆動)のレイアウトとパワーユニットは流用しつつ、鋼管バックボーンフレームにFRPボディを被せるという独自の進化を遂げ、それが1959年デビューのA108です。

このアルピーヌ独自のレイアウトはアルピーヌ・ルノーとなってからも最後のモデルとなったA610まで踏襲され、アルピーヌの特徴となりました。

 

アルピーヌの名声を決定的とした名車A110登場

 

Photo by Mala Testa

 

そのA108を基礎として、初期にはドーフィン、後にルノー8(ユイット、R8とも)にベース車を切り替えながら、1963年ルノー傘下に入った後も1977年まで生産されていたのが、A110です。

850~1,000ccクラスのエンジンを搭載していたA108より大型のエンジンを搭載するために、リアセクションを中心に大幅な改良を加えられましたが、逆にフロントは大きくイメージが変わることはなく、A108をベースとした発展型であることが伺えます。

ただしベース車がR8となったことで中身は大幅に変わっており、4輪ディスクブレーキの採用や、初期の一部を除きリアのスウィングアクスルがトレーリングアームからセミトレーリングアーム+ダブルダンパーに変更されました。

他にも一部を除きリアのエアインテークから導入した空気で冷却するラジエターは車体最後部に移され、冷却器は後ろから前に抜けてエンジンルーム前下面から排出されるなど、独特な構造をしていました。

 

エンジンはベース車とともに大型化していき、やがてそれを超える

 

Photo by Eddy Clio

 

A108から大型化されたエンジンは初期にR8用956ccエンジンが搭載されて以降、R8にマジョール(1,108cc)や、排気量が同じながらツインチョーク・キャブ連装のゴルディーニ1100など強力なエンジンが搭載された事に伴い、A110もアップデートされていきます。

1966年には1300ゴルディーニ用1,255ccエンジンを搭載したほか、最終的には1,600、1,800ccと大型化したエンジンを搭載し、ベースのR8を大きく超える軽量ハイパワーのスポーツカーに仕上がっていきました。

 

WRC初代チャンピオンへ

 

Photo by robert padovani

 

1960年代からレースやラリーで活躍していたA110ですが、その最大の栄誉となるタイトルはWRC(世界ラリー選手権)でした。

世界各地で単独開催されていたラリーイベントを1つのシリーズとしてまとめ、そのシリーズタイトルを争うWRCは1973年に第1回シリーズが行われましたが、第1戦モンテカルロでA110 1800がいきなり表彰台を独占。

この時代のWRCはドライバーズ・タイトルが無くマニュファクチャラーズ(メーカー)・タイトルのみが争われ、最上位車のみがポイントを与えられる方式でしたが、上位を独占してしまえば他メーカーより有利なことは変わりませんでした。

そんな第1囘WRCは後の王者フィアット(ランチア)やフォードといった名門がまだ本腰を入れておらず、しかも東ドイツ(当時)のヴァルトブルクやポーランドのポルスキ・フィアットなども含め、実に20ものマニュファクリャラーが争う多彩な顔ぶれです。

その中でコンスタントに参戦、優勝6回2位と3位が1囘ずつと優秀な最上位成績を記録したアルピーヌ・ルノー(この年からルノー傘下)は圧倒的なポイント差で初のWRC王者となりました。

翌年はストラトスを投入したランチアと前年に続きアバルト124ラリーで戦ったフィアットの同門対決となり、以降1978年までのWRCはフィアットグループの独壇場となりますが、その中でもA110はしばしば上位につけながら1978年まで戦い続けました。

 

WRCはさておき、あの名場面は忘れられませんよね?

 

 

A110はラリーでワイドフェンダーを装着して活躍する姿から大きく見えることもありますが、元がリッターカークラスのR8をベースとしているだけあって実車は小さく、コクピットも体格によっては押し込められるような狭さ。

まさに「古風な小型軽量スポーツカー」そのもので、コクピットに体を詰め込むと足元にも余裕が無く、言い換えれば最低限の足さばきで全てのペダル動作が行えるようになっています。

コンパクトで低重心、全高の低さから相対的にワイドに見えるボディは、1968年に追加された埋め込み式の補助ランプとともにA110のイメージを決定づけました。

主に30代以上の自動車ファンだと、自動車番組「カーグラTV」のオープニングで赤いフェラーリ328とともにランデブー走行する白いA110の美しい姿に強烈な印象を受け、毎週のようにため息をついてはシビレて憧れていた人も多いのでは無いでしょうか?

 

アルピーヌ・ルノーA110 代表的なスペックと中古車相場

 

 

代表スペック:A110 1300S 1969年式

全長×全幅×全高(mm):3,850×1,450×1,130

ホイールベース(mm):2,100

車両重量(kg):625

エンジン仕様:直列4気筒OHV8バルブ

総排気量(cc):1,296cc

最高出力:120ps

トランスミッション:5MT

駆動方式:RR

中古車相場:-

 

まとめ

 

出典:https://group.renault.com/en/news/blog-renault/gims-2017-alpine-a110-a-sports-coupe-a-la-francaise/

 

ラリーカーとして栄光のタイトルを持つA110ですが、日本では1970年代からのブームでスーパーカーとして紹介されたイメージが強烈でした。

その走りもさることながら、思わず目を奪われる美しいボディは、現在でも全く古さを感じさせず、復活した「新型A110」がその基本的なディティールを踏襲しているのは当然のことです。

もはやA110そのものは中古車店で探すようなレベルの車では無くなりましたが、新型は日本でも2017年中、遅くとも2018年春に登場するのではと言われています。

新型を購入して、かつてのラリーシーンに想いを馳せたり、最新フェラーリとのランデブー走行で「あの名場面」を再現してもいいかもしれません。

 

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