近年アジアロードレース選手権(以下:ARRC)で日本人ライダーが目覚ましい活躍を見せているのはご存知ですか?ARRCはアジア各国のサーキットを転戦するシリーズ戦であり、SS600クラスを除いては小排気量のマシンで争われ、多くの若手ライダーを育ててきました。しかしFIM公認レースとはいえ、BSB(ブリディッシュスーパーバイク選手権)やAMAスーパーバイク選手権よりも歴史が浅く、知名度もそこまで高くないのが残念なところ。そこで!!ARRCの詳細や魅力をご紹介します。
CONTENTS
ARRCとは
ARRCは「Asia Road Racing Championship」の頭文字をとった略名であり、アジアロードレース選手権のことを示します。
1996年にアジア地区における最高峰のロードレース選手権としてARRCが設立され、参戦するライダーはアジア各国を転戦しながら、各レースの順位によって決められたポイントの合計でシリーズチャンピオンの獲得を目指すのです。
運営側や参戦ライダーは、若手ライダー育成とMotoGPやWSBKといった二輪世界選手権へのステップアップレースである意識が強い傾向にあり、ARRCの開催クラスは、最大排気量でも600ccのスーパースポーツクラスで、そのほかのクラスも比較的低排気量のバイクやノーマルに近いバイクで争われるカテゴリー構成。
世界各国で行われるメジャーなロードレース選手権と比べれば、アメリカのAMAスーパーバイク選手権やイギリスのBSB(ブリディッシュスーパーバイク選手権)よりも設立されたのが新しく、認知度はまだ低めですが、2輪メーカーやベテランライダーからのバッグアップが充実しており、ARRCからMotoGPのトップライダーを輩出する事が期待されているため、今後の展開が楽しみなロードレース選手権と言えるでしょう。
世界各国で行われるシリーズ戦とARRCとの違い
全日本ロードレース選手権やAMAスーパースポーツ、BSBと比較すると、おこなわれるレースのカテゴリーが多く、排気量600cc、250cc、150ccで分けられている「SS600(Supersports 600)」、「AP250(Asia Production 250)」、「UB150(Underbone 150)」、「Aアジアドリームカップ」、「スズキアジアチャレンジ」の5クラスとなっています。
どのクラスも、可能な限りライダーの技量のみで争えるよう、レギュレーション上の改造可能範囲が狭く、出場するバイクそれぞれがイコールコンディションに近い状態。
そしてWSBKと同様にツーヒート制で行われるため、各クラス1度の開催で2度のレースが行われるのです。
各クラスのレギュレーション
クラス | 排気量&エンジン種類 | 最小車重(乾燥重量) |
---|---|---|
SS600 | 400~600cc 4ストローク4気筒エンジン 500~675cc 4ストローク3気筒エンジン 600~750cc 4スロトーク2気筒エンジン |
400~600cc 4ストローク4気筒エンジン:160kg 500~675cc 4ストローク3気筒エンジン:165kg 600~750cc 4スロトーク2気筒エンジン:167kg |
AP250 | 250cc 4ストローク 2気筒エンジン 250cc 4ストローク 単気筒エンジン 300cc 4ストローク 単気筒エンジン |
250cc 4ストローク 2気筒エンジン:135kg 250cc 4ストローク 単気筒エンジン:132kg 300cc 4ストローク 単気筒エンジン:135kg |
UB150 | 150cc以下 4ストロークエンジン | – |
また、「アジアドリームカップ」ではホンダCBR250R、「スズキアジアチャレンジ」ではスズキGSX-R150のみと、マシンの車種が限定されており、ライダーの技量がレースの結果を大きく左右します。
そしてスズキアジアチャレンジに関しては、MotoGPやWSBKに参戦していた元スズキワークスライダーの加賀山就臣氏がゼネラスマネージャーを務めており、元WGPライダーでモーターサイクルジャーナリストの八代俊二氏がライダーコーチを担当。
2019年シーズンからは、1,000ccスポーツバイクで争われるASB1000がスタートする予定となっています。
参戦している&していた日本人ライダーとマシン
SS600クラス参戦ライダーのゼッケン/参戦ライダー/マシン・チーム
ゼッケン | ライダー | マシン | チーム | 2017年
シリーズランキング |
---|---|---|---|---|
77 | 羽田太河 | CBR600RR | A.P.Honda Racing Thailand | 3位 |
76 | 伊藤勇樹 | YZF-R6 | YAMAHA RACING TEAM | 4位 |
81 | 山田誓己 | CBR600RR | RAMA Honda by NTS T.Pro Ten 10 | 9位 |
42 | 芳賀紀行 | YZF-R6 | K Max Racing Team | 10位 |
634 | 名越哲平 | CBR600RR | MuSASHi Boon Siew Honda Racing | 11位 |
104 | 山口辰也 | CBR600RR | RAMA Honda by NTS T.Pro Ten 10. | 12位 |
71 | 加賀山就臣 | GSX-R600 | Team Kagayama | 19位 |
32 | 榎戸育寛 | CBR600RR | MOTO BUM Honda | 20位 |
82 | 田中歩 | YZF-R6 | Akeno Speed Racing | 25位 |
31 | 前田恵助 | YZF-R6 | Ito Racing GMD Suzuka | 31位 |
AP250クラス参戦ライダーのゼッケン/参戦ライダー/マシン・チーム
ゼッケン | ライダー | マシン | チーム | 2017年
シリーズランキング |
---|---|---|---|---|
71 | 小山知良 | CBR250RR | RAMA Honda | 2位 |
11 | 山本剛大 | CBR250RR | SIDRAP Honda Ikazuchi Racing | 5位 |
33 | 仲村優佑 | YZF-R25 | Akeno Speed Racing Team | 16位 |
22 | 南本宗一郎 | YZF-R25 | VR46 Riders Academy | 17位 |
750 | 高杉奈緒子 | YZF-R25 | Team One For All With Run Riding School | 26位 |
スズキチャレンジカップ参戦ライダーのゼッケン/参戦ライダー
ゼッケン | ライダー | マシン | 2017年シリーズランキング |
---|---|---|---|
17 | 藤田哲弥 | GSX-R150 | 3位 |
来シーズンの見どころと開催カレンダー
2017年シーズンはSS600クラスで羽田大河がランキング3位に入り、AP250クラスでは小山知良が2位でシーズンを終え、2018年シーズンのシリーズチャンピオンの有力候補となっています。
今シーズンは日本人チャンピオンの誕生が期待されており、毎レースで日本人ライダーが常にトップ争いに食い込んでくる事が予想されているので、是非注目してくださいね。
2018年シーズンカレンダー
日程 | 開催国 | サーキット | |
---|---|---|---|
Round.1 | 3月2日(金)~4日(日) | タイ | チャン・インターナショナル・サーキット |
Round.2 | 4月19日(木)~22日(日) | オーストラリア | ベンド・モータースポーツ・パーク |
Round.3 | 6月1日(金)~3日(日) | 日本 | 鈴鹿サーキット |
Round.4 | 8月3日(金)~5日(日) | インド | マドラス・モーター・レース・トラック |
Round.5 | 10月12日(金)~14日(日) | インドネシア | セントゥール・インターナショナル・サーキット |
Round.6 | 11月30日(金)~12月2日(日) | タイ | チャン・インターナショナル・サーキット |
まとめ
ARRCはアジア地区のFIM公認選手権であり、活躍次第でMotoGPへステップアップできるレースです。
近年、MotoGPで活躍するライダーが少なくなってきているといわれていますが、日本人ライダーがARRCの参戦を機にMotoGPへステップアップ、さらにシリーズチャンピオン争いに絡んでいく事に期待したいと思います。
あわせて読みたい
[amazonjs asin=”B0171W5YLE” locale=”JP” title=”Zento DealsのペアHangingレッドFuzzy Dice withホワイトドット”]
Motorzではメールマガジンを始めました!
編集部の裏話が聞けたり、月に一度は抽選でプレゼントがもらえるかも!?
気になった方は、Motorz記事「メールマガジン「MotorzNews」はじめました。」をお読みいただくか、以下のフォームからご登録をお願いします!