事前テストは停電でキャンセル。レースWEEKも全日雨という厳しい流れの中、9月2日の決勝日は晴天。マシンセッティングやタイヤ選択など、レースを戦う上で重要なポイントがぶっつけ本番状態となってしまったオートポリスでは、いったいどんな戦いが繰り広げられたのでしょうか。
まずは、J-GP3クラス公式予選と決勝レース
前日に行われる予定だった公式予選が悪天候の影響で延期となり、決勝前のフリー走行の時間に行われる事に。
昨日(9/1)までの豪雨と霧が嘘のように晴れ渡った青空のもと、ウェットコンディションでJ-GP3クラスの予選がスタートします。
そして各ライダーが激しく順位を入れ替える中、2’05.103をマークしてポールポジションを獲得したのは#71 小室 旭選手(Team P.MU 7C MIKUNI)でした。
予選終了後、天候が変わる事は無く、決勝レースがスタートする頃には路面は今回のレースWEEK初のドライコンディションに。
ホールショットを奪ったのは、3番グリッドスタートの#3 古市 右京(KTM・ASPIRATION RACING)。
その後を#71 小室、#4中島 元気(TEAM SRS-Moto)が追いかけます。
オープニングラップを終える頃には#3古市、#71小室、#4中島、#12 山本 恭裕(チームライフ・ドリーム北九州)の4台でトップグループを形成。
4台が目まぐるしく順位を入れ替える激しいトップ争いが続き、表彰台メンバーがなんとなく見えてきたかに思えた7周目に、セカンドグループで走行していたはずの#13 長谷川 聖(CLUB Y’s&J)がじわじわと接近。
トップ争いに介入し、抜きつ抜かれつの接戦を繰り広げ、#4中島、#71小室、#13長谷川の順でチェッカーを受けました。
Motorz注目の♯13長谷川聖 選手(CLUB Y’s & J)の予選・決勝は?
決勝前に行われた公式予選では、路面は濡れていたものの気温と天候から予選時間内にドライに変わると予想。
他ライダーがレインタイヤでコースインしていく中、ただ1人スリックタイヤで出走する賭けに出た長谷川選手。
しかし、思った以上に路面は乾かず結果は7番手。
追い上げのレースとなりました。
そして決勝がスタートすると、順位をキープしたまま5番手争いを展開し、少しずつ順位を上げていきセカンドグループから抜け出す事に成功。
着々とトップグループとの距離を縮め、7周目にはトップ争いに介入。
テールトゥノーズの接戦を繰り広げ、見事、自身のベストリザルトとなる3位表彰台を獲得してみせました。
長谷川選手 決勝レース終了後コメント(予選:7位 決勝:3位)
予選では、オートポリスは路面が乾くのが早いイメージだったので、陽も出てたしすぐに乾くだろうと思って、スリックタイヤでコースインすると、他ライダーは全員レインタイヤを履いていて、スリックタイヤは自分だけ。
しかも、水しぶきが上がる程のウェット路面という予想に反した展開で、みんなに置いて行かれながらのスタートとなりました。
しかし、予選時間は25分間!絶対乾くと信じて走り続けるも、スリックで攻められる程のコンディションとなったのは終了間際で、タイムを出すには時間が足りませんでした。
決勝では、去年は前の方からスタートできたにも関わらずどんどんポジションを落としていくレースとなってしまったので、2度と同じ失敗はしないと決め、7番グリッドという真ん中ぐらいの位置からのスタートでしたが追い上げに徹し、冷静に表彰台が獲れるように走る事に専念。
無事、表彰台に上がれたので良かったです。
トップグループとの差が開いてしまってからは、タイヤのライフの事など一切気にせず攻め続けていると追いつけたので、そこからはタイヤを温存しながらチャンスを狙う事にしようと様子を見ていました。
すると案の定、前のライダー達のリアが滑り始めたので、1台1台冷静にクリアし、何とか初表彰台を獲得できてよかったです。
次戦岡山は地元なので、優勝できたら一番いいですけど、とりあえずは表彰台には登って、ポイントランキングも少しでも上に行けるように頑張ります。
そんな長谷川選手に聞いてみた。オートポリスの得意な所・苦手な所は?
得意(青〇):
①ブレーキでスライドするのが楽しい。
②どこまでも突っ込めそう。
③ここのつながりが難しいけど、決まれば楽しい。
④スピードが乗って気持ちいい。
⑤超下ってて面白い。
⑥どこまででもアクセルを開けられそう。
苦手(赤〇):
①よく飛び出す。
②止まれない。
③路面が悪くてちょっと走りづらい。
④リズムがとりにくい。
オートポリスは、晴れていれば走っていて楽しいサーキットだと笑顔で答えてくれた長谷川選手。
今シーズンはあと一歩という惜しいレースが目立ちましたが、遂に初表彰台を獲得!
大きな進化が感じられる落ち着いた展開を見せてくれました。
次戦はホームコースでもある岡山!表彰台のもっと高いところに登る姿を期待せずにはいられません。
Motorz注目の♯29鈴木 大空翔 選手(BATTLE FACTORY)の予選・決勝は?
レース前に行われた公式予選により、10番グリッドスタートとなった鈴木選手。
決勝では、スタートの団子状態に飲まれ一時は13番手までポジションを落とすも、ペースをキープします。
そして、#93 菅原 陸(RG NIWA with オーテック・スズカ)選手との激しい11番手争いを繰り広げ、最終ラップへ。
あと一歩のところで及ばず、12位でチェッカーを受ける悔しい結果となりました。
鈴木選手 決勝レース終了後コメント(予選:10位 決勝:12位)
予選は路面が途中で乾いてくる事が予想される難しいコンディションだったのですが、レインタイヤで出て、出だしの路面はいい感じだったのですが、その後ドライになっていくにつれてペースが上げれず、10番手で終わってしまいました。
決勝はスタートも悪くはなかったのですが、前の集団のペースについて行けず、少しずつ離されてしまいました。
11番手争いをしていたのですが、最後抜き返せなかったので悔しかったです。
次の岡山は、他のサーキットよりは走った事があるので、コースを知っている分頑張れると思います!!
そんな鈴木選手に聞いてみた。オートポリスの得意な所・苦手な所は?
得意(青〇):
①切り返しがいい。スピードを乗せて行ける。
②しっかりブレーキがかけられている。
③しっかり切り返せていて、アクセルも開けられている。
苦手(赤〇):
アクセルを戻すだけだから、スピードを上げていくと曲げられない。
全体的に登りと下りが激しいコースだと教えてくれた鈴木選手は、あまり走った事のないオートポリスでの突然のドライコンディションに苦戦する、苦しいレースとなってしまいました。
しかし、次戦は走り慣れた岡山国際サーキット!
今回のリベンジを果たしてもらいたいと思います。
Motorz注目の♯34村田 憲彦 選手(CLUB Y’s & J)の予選・決勝は?
予選では路面が乾いていく事が予想されるウェットコンディションという難しい状況で、なかなかペースを上げる事が出来なかった村田選手。
決勝レースは16番グリッドからのスタートとなりました。
レース序盤はスタート直後の混乱に邪魔される形で、19番手までポジションを落としてしまいます。
しかし、諦めることなくペースをキープし続け、15番手で最終ラップのコントロールラインを通過。
15周の厳しいレースを見事走りぬきました。
村田選手 決勝レース終了後コメント(予選:16位 決勝:15位)
予選はウェットだったのでレインタイヤでスタートしたのですが、最後の方は路面がかわいてしまい、タイムを上げる事ができませんでした。
まあ、僕のレベルではその辺かな?という感じで悪くはなかったです。
決勝はドライになり、セットも決まってなかったので予想通りドライでは上手く走れず、自分のバイクにも上手く乗れずに結局後方に沈んでしまったのですが、今やれる全力は尽くしました。
次戦岡山は、地元ではありませんが、ホームコースの鈴鹿の次ぐらいにちょこちょこと走っているので頑張りたいと思います!!
そんな村田選手に聞いてみた。オートポリスの得意な所・苦手な所は?
得意(青〇):
①ブレーキングからの進入が得意。
②スピードを上げていくコーナーなので得意。
③鈴鹿のデグ1に似ているので楽しい。
苦手(赤〇):
①ブレーキのタイミングが苦手。
②進入してからアクセルを開けるのが苦手。
③走りにくくストレスが貯まるので苦手。
前半セクションはスピードを乗せていくコーナーが多く、後半セクションはリズムカルで難しいコースだと教えてくれた田村選手は、あまり走行経験が無いレイアウトとぶっつけ本番状態のドライコンディションに苦戦している様子でした。
しかし、次戦岡山はホームコースは走行経験豊富という事で、どんなレースを見せてくれるのか!?楽しみです。
続いてJ-GP2クラス決勝レース
悪天候の中、なんとか公式予選を予定通りの日程で行ったJ-GP2クラスの決勝は、今回のレースWEEKで初めてのドライコンディション。
各ライダー朝のフリー走行でマシンのセッティングを確認した程度の状態で、スターティンググリッドにつく事に。
そんな難しい状況でスタートを決め、ホールショットを奪ったのはポールポジションスタートの#4 岩戸 亮介(Team高武 RSC)。その後に#44 関口 太郎(SOX Team TARO PLUSONE)、#634 名越 哲平(MuSASHI RT HARC-PRO.)と続きます。
そしてトップの#4岩戸がグングンペースを上げていき、2位以下を引き離す独走状態になるも、ペースダウン。
レース中盤には2番手争い集団を形成していた#44関口、#634名越に加え、12番グリッドスタートとなった#16 作本 輝介(Team高武 RSC)も追いつき、4台が激しく順位を入れ替えるトップ争いに。
最終ラップまでテールトゥノーズの激しいバトルを繰り広げ、レースを制したのは#4 岩戸!見事ポールトゥウィンを果たし、実力を見せつける結果となりました。
Motorz注目の♯71 三原 壮紫 選手(TONE RT SYNCEDGE4413)の決勝は?
前日に行われた公式予選により、10番グリッドからスタートした三原選手。
スタートを決め、安定した走りでジワジワとポジションを上げていきます。
そして、8周目を終える頃には5番手に浮上!トップ集団4台に少し離される形で単独状態に。
単独状態になった後も少しペースを上げていくも前には届かず、そのままチェッカーを受ける結果となりました。
三原選手 決勝レース終了後コメント(決勝:5位)
スタートはそこそこ上手く決められて、最初から上の方には居られたんですけど、序盤のペースが掴みにくくてあまり上手くペースが上げられずトップ集団からは離されてしまいました。
でも、第2集団のトップで後続とのアベレージが築けたという事は自分にとってはプラスな事で、チーム内の雰囲気もすごく良くて、なおかつコンスタントにタイムを刻んで行けたというのはすごく良かったかな?と思います。
タイヤは結構かつかつな部分もあったのですが、チームのメカさんや監督と話をして、タイヤが滑ってもコントロールしやすいセッティングを考えたのが、いい方向にいきました。
次戦岡山は、去年、一昨年といい思い出がないので、今年挽回したいと思います!!
そんな三原選手に聞いてみた。オートポリスの得意な所・苦手な所は?
得意(青→←):セクター1・2は自分の中ですごく得意です。
苦手(赤→←):セクター3は苦手意識は無いのですが、上手く走れない。
オートポリスはアップダウンのあるコースで、スピードを乗せて走るバイクを操るコースだと話してくれた三原選手。
コースを3分割した一番後半にあたるセクター3に苦戦しているとの事でしたが、決勝レースは上手くまとめ、コンスタントにアベレージを刻む安定した速さを見せてくれました。
そんな三原選手は今季絶好調!この勢いで、次回こそは表彰台!獲得して欲しいと思います。
Motorz注目の♯7 石塚 健 選手(will-raise racing RS-ITOH)の決勝は?
8番グリッドからスタートした石塚選手。
スタートを決めるも、オープニングラップの混乱に飲み込まれる形で一時は11番手までポジションを下げてしまします。
しかしすぐにペースを上げ、1台1台冷静に前を走るライダーをパスしていき、9周目には8番手争いを展開。
そこから#10 Kubo Keminth(伊藤レーシング)とのテールトゥノーズの接戦を最終ラップまで繰り広げ、8位でチェッカーを受けるも、サイティングラップ中の給油のためにマシンをピットに入れてしまった事でのペナルティにより失格という、残念な結果となりました。
石塚選手 決勝レース終了後コメント(決勝:失格)
厳しいレースウィークでした。
決勝でやっとトラブルの原因がわかり解決した事により、気持ち良く走る事が出来ました。
しかし、ドライでの走行はまともに出来ていなかった上に、セッティング、タイヤ選択なども決まっておらず、勝負するには準備不足でしたがその中で自分の持てる力は全て発揮できたと思います。
最終的に失格というあってはならない結果になってしまい、応援していただいている皆様には申し訳ない気持ちでいっぱいです。
とても悔しい今回のレースでしたが、次戦に向けてはとてもポジティブです!
気持ちを切り替え、得意の岡山で今回の悔しさをぶつけていきます。
応援ありがとうございました!
次戦岡山ラウンドも宜しくお願い致します。
そんな石塚選手に聞いてみた。オートポリスの得意な所・苦手な所は?
得意(青〇):
①4から5コーナーの車速を高くキープしながら旋回できる。
②どこまでも突っ込める気がする。
苦手(赤〇):
①進入ラインが何通りもあって難しい。
行き過ぎると立ち上がりが難しくなって車速がのらない。
②直線的に立ち上がるのが苦手。
時々車速が乗らなくて失速してしまう。
オートポリスは高速コーナーが多く、アップダウンの激しいテクニカルなサーキットだと教えてくれた石塚選手。
レースWEEKはマシントラブルに苦しむ厳しいものとなりましたが、それでも18周を走り切り、諦めない姿を見せてくれました。
次戦岡山は、ポールポジション獲得やトップ争いを展開した相性のいいサーキット!是非、オートポリスの雪辱を晴らしてもらいたいと思います!
Motorz注目の♯31 豊島 怜 選手(DOG FIGHT RACING・YAMAHA)の決勝は?
前日の予選により、17番グリッドスタートとなった豊島選手。
調子もよく、朝のフリー走行でも快調な走りを見せてくれていましたが、天候の変化によるマシンのテスト不足も重なり2周目走行中に転倒!
オイル漏れによりそのままリタイアという悔しい結果となりました。
豊島選手 決勝レース終了後コメント(決勝:リタイア)
決勝レースは2周目に縁石に乗ってしまい、訳も分からないまま転倒してしまいました。
元々ドライでは事前テストでもあまり走れなかったので、賭けのような状態で大幅にセットアップを変更して挑んだのですが、その影響もありコーナーで思ったより早くイン側についてしまい、いつもは乗っても平気だった縁石に乗った瞬間にフロントが取られてしまってそのまま転倒。
マシンに損傷はあまり無かったのですが、転倒時にマンホールに打ち付けちゃった事によりオイルが出てしまって、リタイアせざるを得ませんでした。
朝フリーで初めてドライで走り、フィーリングは悪くはなかったのですが、そこから決勝に向けて大幅にセッティングを変えた事が裏目に出てしまった状況です。
次戦岡山は先日走った時は良い感じで走れたので、オートポリスを走った実績を持って行けばもっといい位置を走れると思います!!
そんな豊島選手に聞いてみた。オートポリスの得意な所・苦手な所は?
得意(青〇):割と単純なコーナーなので好き!
苦手(赤〇):後半は全部苦手。上手くスピードを乗せられない。
前半は下り、後半は上りのヨーロッパのようなコースで、ちょっと苦戦気味だと話してくれた豊島選手は、あまり走った事のないコースで天候に翻弄されるという厳しすぎる状況の中でも苦手だった雨を克服するなど、全てをプラスに変えていく姿勢を見せてくれました。
次戦岡山では、今回学んだ事を身につけ、また1段と成長した走りを見せてくれると思います。
まとめ
事前テストが落雷による停電でキャンセル。レースWEEKの練習走行も濃霧や豪雨に左右され満足に走れなかった今回のオートポリスは、チームやライダー達にとってかなりフラストレーションのたまる展開となりました。
しかし、その中でできる事を着実にやり切り、最後まで戦う姿勢を見せ続けるライダー達。
そして苦しい状況を味方に付け、見事初表彰台を獲得した長谷川選手など、レースは何が起こるか分からないから面白い!
次戦は今月末、9月29・30日の岡山国際サーキット。
是非この感動を、現地で体感してくださいね。
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