デビュー当時革命的だったリッターカー『シャレード』初代モデルの再来として、ダイハツが一念発起。1998年にデビューさせた、新世代リッターカーがストーリアでした。トヨタでもデュエットとして販売されて以降は大幅に手が入り、後継のブーン(トヨタ名パッソ)に続く形で現在に至りますが、20世紀最後のリトルダイナマイトと言われたストーリアX4をはじめ、基本的には地味ながらマニア心をくすぐる1台です。

 

ダイハツ ストーリア(中期型:輸出版シリオン) / Photo by Spanish Coches

 

1998年、通称『宇宙人顔』ストーリア星人降臨

 

東京モーターショー1997にダイハツが出展したコンセプトカー『NCX』 / 出典:https://www.allcarindex.com/auto-car-model/Japan-Daihatsu-NCX/

 

1977年に発売した『直列3気筒エンジンをジアコーサ式レイアウトで横置きにしたFFコンパクトカー』初代シャレードで、リッターカーや軽自動車の新境地を開いたダイハツ。

しかし代を重ねるごとの肥大化からは逃れられず、1990年代中盤以降に販売していた4代目ではもはやリッターカーとは呼べなくなり、販売力の弱さに加えて軽自動車メーカーという印象から販売不振に泣かされていました。

そこで心機一転・一念発起!初代シャレードの栄光よ再びと新時代のリッターカーが開発され、東京モーターショー1997に当時流行の派手なマジョーラカラーをまとって出展。翌1998年2月に『ストーリア』として発売されました。

 

ダイハツ ストーリア(中期型ストーリア・ツーリング仕様バンパー:輸出版シリオンGTVi) https://www.flickr.com/photos/51811543@N08/14800811572/

 

初期の主力エンジンは軽自動車用EF系をベースにした1リッター3気筒DOHCのEF-VEで、最高出力60馬力は800kg台の車重に対して少々アンダーパワー気味だったものの、曲面を多用しつつ前後の実用車内寸法を大きく取った車内は実用的でした。

また、TVCMでは『ストーリア星人』なるストーリアをモチーフとした頭部を持つ宇宙人が登場。

初期型や1.3リッター高回転型自然吸気スポーツエンジンK3-VE2搭載モデルが加わった中期型が、オーナーズクラブなどで『宇宙人顔』と呼ばれる元ネタとなっています。

 

初期型にのみ存在した特別仕様車、ダイハツ ストーリアミラノ cDCTMダイチャレ東北ミーティング

 

また、初期型にのみ短期間ながら剣道の面のようなフロントグリルを持つ専用前後バンパーを装着した特別仕様車『ストーリアミラノ』も登場。

5台限定のオーディオ強化版『Super Sound Edition』に次いで、ストーリアの中ではかなりのレアモデルでした。

 

通称『犬顔』『トヨタ顔』と言われる後期型を経て、トヨタの影響が濃くなる

 

ダイハツ ストーリア(後期型ストーリア・ツーリング仕様:輸出版シリオンGTVi)  / Photo by FotoSleuth

 

当初はダイハツのみでの販売でしたが、1998年9月よりトヨタへもOEM供給され『デュエット』としてトヨタカローラ店で販売を開始します。

しかし販売力の差もさることながら、市原悦子と真野きりなが『待つわ』(あみんのカバー曲)をデュエットしながらコミカルなドラマを繰り広げるCMにすっかり食われてしまい、ストーリアの知名度は一気に急降下という憂き目に。

おかげで当時のストーリアユーザーは愛車の説明でまず『待つわ』を口ずさみ、『このCMのデュエットって車知ってるよね?』から始めなければいけない手間を踏んでいましたが、トヨタの影響力を痛感したのはさらにその後でした。

 

ダイハツ ストーリア(後期型ストーリア・ツーリング仕様:輸出版シリオンGTVi)  / Photo by FotoSleuth

 

2001年12月のビッグマイナーチェンジで後期型となると、フロントマスクが一変。

当時のカローラと似たフロントグリルを装着され、それに合わせてヘッドライトなども更新されたのです。

この形態の通称名は初期・中期の『宇宙人顔』に対し『犬顔』『トヨタ顔』『カローラ顔』などと呼ばれ、圧倒的な販売力を誇るトヨタがダイハツのコンパクトカーでも主導権を握った事を痛感させられます。

なお、後期型では従来ハイオク仕様110馬力のK3-VE2のみ設定されていた1.3リッターエンジンに、レギュラー仕様90馬力のスペックダウン版K3-VE搭載グレードが登場。

同時にK3-VE2搭載グレードから通常版と同じデザインの『CZ』が廃止され、いわゆる『羊の皮を被った狼仕様』の喪失が惜しまれました。

 

競技用特殊グレード『X4』を中心にモータースポーツで大暴れ!

 

ダイハツ ストーリアX4(初期・中期型) /  出典:https://www.favcars.com/daihatsu-storia-x4-m112s-1998-99-images-395710-800×600.htm

 

ベーシックグレードが性能的に地味なストーリアでしたが、デビューとほぼ同時に発売された競技用の特殊なグレード『X4(クロスフォー)』はなかなかハジけた車でした。

発売された目的はただひとつ。

『ラリーやダートトライアルでどうしても勝てなくなったミラX4に代わり、何としてもスズキ アルトワークスをやっつける』これだけです。

全ては紹介しきれないので簡単に説明すると、当時の国内モータースポーツにおけるターボ係数1.4を掛けてもアルトワークスと同じ1,000cc以下のクラスに出場できるよう、軽自動車用4気筒エンジンJB-JLをベースにストロークを拡大し、713ccへと排気量をアップ。

2代目レガシィのシーケンシャル ツインターボ用のIHI・RHF4タービンにブースト調整式アクチュエーターを組み込んで装着し、カタログ最高出力の(正規ブースト圧1.2k±0.2)120馬力、リッターあたり168.3馬力を叩き出すモンスターエンジンを開発しました。

これは当時の量産車用レシプロエンジンで世界一の性能を誇ったのでした。

このエンジンにクロスミッションと前後LSDを標準装備。

快適装備は軽トラック並みで、一切のオプションが存在しない代わりに、車両本体価格139万円という割り切ったモデルでした。

なお、『限定モデル』や『受注生産車』と誤解される事が多いのですが、実際は年間生産計画を少なく見積もってオーダーが増えれば随時調整して追加するなど、単に生産台数が少ないだけで限定車ではありませんでした。

この強烈なエンジンをもってしてもアルトワークス(旧規格4WDターボ最終型のHB21S)とスズキスポーツチームの強さは強烈でしたが、軽自動車の新規格移行でスズキスポーツがアルトワークスでの参戦から他車種で別クラスに移っていくと状況は好転。

プライベーターのアルトワークスに対しては絶大な優位を誇って連戦連勝。

後継のブーンX4が登場してからも熟成が進んだストーリアX4の戦闘力は高く、ラリーやダートトライアルでは戦えるステージがある限り活躍し続けました。

なお、国際ラリーでは生産台数の多さからFIA公認を取得した1.3リッターFF版のストーリアが活躍。

ストーリアX4やストーリア1.3は、ジムカーナや草レースなどでも戦っています。

また、中古車市場でも現在流通しているのはX4か高性能1.3リッターエンジン搭載グレード『ツーリング』がほとんどなのが現状です。

 

主なスペックと中古車相場

 

ダイハツ ストーリア(初期型)  / 出典:https://www.favcars.com/images-daihatsu-storia-m100s-m110s-1998-2001-395709-800×600.htm

ダイハツ M100S ストーリア CL 1998年式

全長×全幅×全高(mm):3,660×1,600×1,450

ホイールベース(mm):2,370

車両重量(kg):820

エンジン仕様・型式:EJ-DE 水冷直列3気筒DOHC12バルブ

総排気量(cc):989

最高出力:44kw(60ps)/6,000rpm

最大トルク:94N・m(9.6kgm)/3,600rpm

トランスミッション:5MT

駆動方式:FF

中古車相場:39.8万~138万円

 

まとめ

 

ダイハツ ストーリア(バックランプがバンパー右下1箇所のみなので初期型:輸出版シリオン) / Photo by FotoSleuth

 

ダイハツ小型車起死回生の新世代リッターカーとして期待の中登場するも、途中からトヨタのための車のようになってしまったストーリア。

それでも競技向けグレードのX4や5速MTと高回転自然吸気エンジンの渋い組み合わせが魅力だったK3-VE2搭載グレードは残されたので、ダイハツの個性を色濃く反映させてもらえたのは幸いでした。

その後、初代ブーンからしばらくトヨタの意向が強く反映されたようなコンパクトカーばかりになってしまいますが、現行の3代目ブーンからダイハツの個性を組み込む余地が出てきたようで、独自のスポーツオプションなどが復活しつつあります。

ストーリアX4のように割り切った車の実現はなかなか難しいかもしれませんが、全国のダイハツファンは今後、「ストーリアデビュー時の夢よもう1度」と言えるような展開に期待しているのです。

 

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