2019年からMotoGP™との併催が決定しているMotoE™️。電動バイクで行われるこのレースは、エネルジカ モーターカンパニーから供給されるマシンのワインメイクとなっています。そんなエネルジカ モーターカンパニーとはどんな会社なのでしょうか。供給されるマシンの性能と併せてご紹介します。
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2019年スタートMotoE™️はエネルジカ製マシンのワンメイク
MotoGP™2019年シーズンから、新たなカテゴリーMotoE™️がスタートします。
電動バイクで争われるこの新カテゴリー、開催初年度はMotoGP™ヨーロッパラウンドとの併催で全5戦予定しています。
しかし、国産二輪車メーカーは競技用の電動バイク製造に乗り出しておらず、ドゥカティやKTMなど欧州を代表するメーカーも同様です。
では、どのメーカーのマシンで行われるのかというと、初年度はエネルジカ モーターというメーカーからの供給が決定しており、『エネルジカ エゴ コルサ』というマシンのワンメイクで争われます。
エネルジカというメーカーや、エゴ コルサというバイクが一体どんなものなのか、即知の方は少ないと思われます。
そこで、MotoGP™2019年シーズンを楽しむためにも、MotoE™️クラスの詳細やコンストラクターのエネルジカ、マシンのエゴ コルサについて紹介します。
エゴ・コルサとは
MotoE™️に供給されるエゴ コルサとは、エネルジカ製電動バイク『エゴ』をレース用にチューンアップしたマシンです。
車体サイズは、おおよそ内燃機関のバイクであれば1,000ccクラスに相当し、性能では750ccクラスのモデル。
そんな、市販車エゴの最高出力は120kW(163.2PS)、最大トルクでは200N・m(20km・m)にも達し、世界最速バイクであるカワサキH2Rの165N・m(16.8kg・m)と比較してもエゴのほうが圧倒的に上。
レース仕様のエゴ コルサとなれば、さらにパワーアップが見込まれるでしょう。
アクセルを開ければすぐにフロントタイヤが浮いてしまうような加速感を発揮すると思われますが、ネックなのが重量。
現在公開されている情報では、エゴ コルサの重量は約260kg。
これは、今後の改善点となる事が予想されます。
また、100%モーターで走るバイクなので、クラッチやトランスミッションはなく、モーターが回転すればするほど速度は増していき、最高速度は270km/hにも達するそうです。
エゴ・コルサの充電時間と航続距離
充電は国際規格のCCS(総合充電システム)に準じ、DC急速充電ステーションと家庭用AC普通充電で充電可能です。
また、急速充電ステーションを使えば、約20分でバッテリー容量の80~85%の充電が可能。
一方、AC普通充電であれば、3kWのオンボードチャージャーを使用して約3.5時間でフル充電できます。
そして、注目されるレースでの走行航続距離は30分以内、または120km以内。
ちなみに、市販モデルのエゴであれば、エコモードで航続距離200kmですが、サーキット走行をするのであれば50kmと極端に短くなります。
エゴ・コルサの作動条件
電動バイクといっても、世界中どんな条件でも走れるとは限りません。
気温がマイナス10~20度のような寒冷地帯では、動きはしますが全性能を発揮する事はできないと思われます。
しかし、現在開催を予定されている会場であれば気候的には問題無し。
もちろん雨天での走行も可能です。
転倒した時は走行可能か
では、転倒してしまった時にダメージが少なければ、通常のレースマシンのようにバイクを起こしてレースに復帰することができるのでしょうか。
エゴ コルサで走行中に転倒すると、走行を続行する事が可能かどうかを知らせるライトが取り付けられています。
緑のライトが点灯していれば、そのまま乗ってレースに戻ることが可能ですが赤いランプが点灯すれば走行不可。
レースに戻りたい場合は、転倒したところまで専門スタッフが駆け付け、バイクをチェックし修復しなければなりません。
通常のマシンであれば、車体にダメージがあってもエンジンがかかり動けば、そのままピットに戻って修復し、コースに戻れますがエネルジカ エゴの場合はそうはいかないようです。
製造メーカーであるエネルジカとはどんな会社?
エネルジカはイタリアのモデナに本社を置く、イタリア初の電動バイクメーカーです。
MotoE™️にマシンを供給するコンストラクターであれば大きな会社だろうと思われがちですが、社員は50人ほどで、年間生産台数は500台と、バイクメーカーとしては小規模。
元々は内燃機関のバイクでのレースに参戦してきましたが、2009年から電動バイクのレーシングマシン製造に乗り出し、ヨーロッパを中心に電動バイクレースに参戦しています。
親会社はモータースポーツにさまざまな技術を供給する大企業CRPグループ
エネルジカの親会社であるCRPグループは、3Dプリンター技術をメインに、デザイン、航空技術、自動車部品などを提供する大企業。
その中でモータースポーツ部門は、電動バイク以外にF1のコンポーネント技術、競技用ラリー車両のサスペンション開発、MotoGPマシンのエンジン部品供給など、モータースポーツ事業ではかなり広範囲で活躍しています。
今回、エネルジカからMotoE™️マシンを供給する大役を務めるわけですが、これほどモータースポーツの技術発展に貢献した業績があれば、CPRグループの子会社がMotoE™️を主催するFIMから信頼されるのも納得できるのではないでしょうか。
まとめ
エネルジカは、2019年から3年間MotoE™️へマシンを供給する予定ですが、2022年以降の事は決まっていません。
エネルジカ側も最初の1~2年は、観客や市場の反応をみてマシンをどのようにリファインしていくか見定めるため、まだまだ手探り状態。
また、他メーカーの参入する準備もできていません。
MotoE™️を電動バイクレースの最高峰とするならば、メーカー間とのコンペティションがあったほうが盛り上がることは間違い無し。
2014年にスタートしたフォーミュラEは年々盛り上がりを見せ、今では巨大自動車メーカーが続々と参入。
将来的にMotoE™️も、現在のフォーミュラEのような規模で盛り上がって欲しいところです。
3年後にMotoE™️にも、日本メーカーやドゥカティ、KTM、アプリリアなどのメーカーが参入してくれれば、MotoGP™️クラスと同じ盛り上がりを見せるかもしれません。
エレクトリック化が進むモータースポーツにおいて、MotoE™️クラスが加わったことでロードレース世界選手権も今以上に盛り上がりを見せるはず!!
このプロジェクトを成功させるためにはFIMやドルナの運営、そしてコマーシャルが重要となりますが、エネルジカのマシンポテンシャルも大きなカギを握ることは言うまでもありません。
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