新型ジムニー(JB64型)のデビューと同時に、いち早くシャコタンカスタムを施した千葉県柏市の『レインボーオート』。同ショップが近年、精力的に行っているのが「ジムニーによるサーキット走行会」だ。そんなレインボーオートの、年に一度の集大成とも言えるイベントが、茂原ツインサーキットで開催する『ジムニースーパーラップ』。Motorzでは昨年に引き続き、このイベントの様子を記事と動画でお届けします。
text:Yusuke MAEDA/photo:Takanori ARIMA
ジムニースーパーラップって何?
『ジムニースーパーラップ』は、レインボーオートが毎年11月に茂原ツインサーキットで主催している、ジムニーによるサーキット走行会だ。
はっきり言ってしまえば、”オフロードを走るためのジムニーをサーキットに持ち込む”という本末転倒なこのイベントも、今回で5年目の開催となった。
いや、本末転倒と言い表すのはいささか早計だろう。
なぜなら年々参加者は増加しており、出展するショップも増加。
確かに当初は業界内からも異端の目で見られていたが、徐々にその独特な魅力がジムニー好きの界隈に伝染しつつあるのが感じられる5年目となった。
とは言え、Motorz読者を除けばまだまだ自動車業界的にはマイナーで、かなりトガったイベントであることに間違いはない。
かくいう筆者も昨年、初めて見学した際はかなりのカルチャーショックを受けた。
もちろんジムニーがサーキットを走る姿は珍妙だが、それだけではなく、まるで漫画の世界のようなありえないインカットをバンバン決めながら、いつ転んでもおかしくないようなクルマの挙動にハラハラするのだけれど、普通の軽スポーツと遜色ないタイムを叩き出すという、他の何にも例えようのない、なんとも形容し難い魅力を秘めているのだ。
5年目にして、ようやくジムニー界隈にその魅力が伝わったのだろう。
この形容し難い魅力をジムニー好きだけでなく、全てのクルマ好きへともっと広めるべく、今回Motorzではジムカーナドライバーである若林拳人選手を招致し、レインボーオートのシャコタン号のステアリングを握ってもらうことにしたのだ。
今年は2クラスに拡大!
以前はエキスパートもビギナーも、マシンの性能差も全て無礼講で、ジムニーでサーキットを楽しもう!という感じだったが、今回からはビギナークラスとスーパーラップクラス(上級者)の2クラスに分けられた。
そうすることにより、サーキット走行自体が初めてというジムニーオーナーたちへの敷居が一気に下がったのだ。
そして実際に、過去最多の40台がエントリーし、各々のペースでジムニーによるサーキット走行を楽しんでいた。
若林選手は、スーパーラップクラスへエントリー。
ちなみにジムニーでのサーキット走行はもちろん、茂原ツインサーキットも初走行だった。
おまけに当日の天候はあいにくの雨で、路面はヘビーウェット状態。
走行枠1本目はその感触を確かめるように慎重に走らせていたが、さすがはプロドライバー。
2本目の走行では実質、1番時計(※理由は後述)となる1分3秒37を叩き出し、会場を湧かせた。
初のジムニーでのタイムアタックに「やはり重心が高いので、どうしてもロールの位置も高くて、いつ転んでしまうか……という恐怖があります」と語る若林選手だが、同じスーパーラップクラスの参加者やレインボーオートの横ヒレ社長からのアドバイスを受け、すぐさまタイムを刻んできた。
この日のベストタイムをマークしたのは、スズキ エリオの1800ccエンジンにスワップし、更にスーパーチャージャーまで武装したJB43シエラで、圧倒的なパワーを遺憾無く発揮し、唯一1分切りを果たす格の違いを見せつけていた。
ショップ対抗レースが華を添える
イベントの最後には参加ショップによる、ショップ対抗レースも開催された。
レインボーオートの地道な活動により、同様にサーキット走行を行うジムニーのカスタムショップも少しずつ増えてきており、今回念願の初開催となったのだ。
前述した、1800ccスワップのモンスタージムニーから、ウインチ付きのクロカン仕様車両まで、キャラクター豊かな4両のジムニーが全8周のエキシビジョンマッチを繰り広げた。
参加したのはスージースポーツ、ブルーポイント 、レインボーオート(2台)の計3ショップ。
レースの様子は別動画に収めているので、そちらもチェックして頂きたい。
まとめ
クルマ好きであれば、「ジムニーでサーキットを本気で走る」と聞くだけでどこか興味をそそられる部分があると思う。
その一方でバカなことをしてるな。と思った方々もたくさんいるだろう。
しかし、そんな”お遊び”だからこそ本気になると面白いのではないだろうか。
きっとその雰囲気は実際に会場へ足を運べば感じることができ、更に実際にジムニーでサーキットを走ってみると、”少し本気になってしまう”自分に気付かされるのだ。
実際に筆者も今回はシャコタン号を少しだけドライブさせてもらったが、初参加の若林選手も共に”本気になってる自分がいた”というのは素直に感じた感想だ。
もちろん、外からジムニーがサーキットを走っている様子を見学しているだけでも十分視覚的に楽しめるのだが、見た目とは裏腹に、ジムニーのオンロードアタックもなかなかに奥深い世界だと痛感した1日だった。
(了)
次のページにて、サーキットを彩った様々なジムニーをご紹介!
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