パイロンを配置して作られたコースでタイムを競うジムカーナ。四輪ではメジャーな競技ですが実は今、バイクでのジムカーナも盛り上がりを見せているのです。コース上で繰り広げられる神業の応酬、バイクに乗ったことのある人ならば彼らのテクニックが並大抵ではないと気付くはずです。今が熱い!今回はバイクジムカーナを紹介していきたいと思います。
掲載日:2019/05/08
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モータースポーツをはじめたい!
4輪のジムカーナは日本独自のモータースポーツで1960年代から盛んになり、発祥は米軍が基地内で行っていたものだと言われています。
しかしバイクジムカーナに至っては諸説あり、1980年代にKawasakiライダーズクラブKAZEのライディングスクールから派生したとの説もあるのです。
数あるモータースポーツの中でも「敷居が低いモータースポーツ」とされ、誰でも気軽に参加できるところが人気の理由ではないでしょうか。
たとえばあなたが友人から「モータースポーツを始めよう」、「レースに出よう」と誘われたらどうしますか?おそらくお金がない、時間がない、どうしたらよいか分からないの3ないワードが頭に浮かぶと思います。
確かにモータースポーツは他のスポーツに比べると、最初の一歩に躊躇してしまいがちです。
それに、テレビや雑誌で見かける競技はいかにも敷居が高そうです。
しかしジムカーナは他のモータースポーツと比較して懐にやさしく、また時間的にも参加しやすいモータースポーツといえるのです。
今回は、現在バイクに乗っているライダーを例にジムカーナを始めるのに必要な条件を説明していきたいと思います。
ライセンス不要なモータースポーツ
モータースポーツと聞いて一番尻込みするのがライセンス取得ではないでしょうか?
ロードレースやモトクロスであればサーキットライセンス、それにMFJ(一般財団法人日本モーターサイクルスポーツ協会)ライセンスを取得しなければなりません(MFJ公認レースに出場する場合)。
ライセンスは講習の日程を調べて予約、受講して発行されます。もちろん費用もかかります。
会社や学校の都合を考えると、この時点で消極的になるライダーも多いと思います。
しかしジムカーナはライセンスが不要、これだけでも他のモータースポーツより参加しやすいのです。
普段のライディングウェアでも大丈夫
どの競技でも参加するにあたり服装、装備は重要です。
ジムカーナの場合はレギュレーションなどで厳しく指定されておらず「オートバイの走行に適している服装」とされています。
ヘルメットはSG規格やJIS規格などの安全規格に適合したヘルメットで、ジェットタイプも認められていますができればフルフェイスタイプが望ましいと思います。
グローブは指先まで隠れるバイク用グローブ、足元はくるぶしまで隠れるブーツ若しくはバイク用シューズ。革ツナギは不要ですがプロテクター入りのジャケットとパンツが推奨されています(肘、膝プロテクター着用でも可)。
いかがですか?普段私たちが身に着けているライディングウェアで参加できるのです。
しかしジムカーナも立派な競技です、怪我を避けるためにも安全に配慮した装備を選びましょう。
自分のオートバイで出場できる
出場車両において特に制限はありません。オンロード、オフロード、50ccからリッターバイクまでどのようなタイプでも参加が可能です。
自分の愛車でも参加OK、ノーマル状態でも全く問題ありません。
しかし走り込むにつれてジムカーナに適したカスタムを施す必要は出てくると思います。
定番のカスタムとしては、操縦性向上のためにアップハンドルへの交換、加速をよくするためにスプロケットを変更、また必ず転倒しますのでエンジンガードの装着などが行われます。
タイヤの選択も重要なポイントですが、高価なハイグリップタイヤが適しているとは限らないので自分の走りに合ったタイヤを選択する事も必要です。
またカスタムではありませんが、アクセルワークをスムーズに行えるようにアイドリングの回転数を上げるなどのセッティングも重要となってくるのです。
基本的に出場車両の規定としては公道を走行するのに適した状態で、違法改造車でないことが前提となっています。
また騒音規制が設けられるのでレーシングマフラーは必要ありません。
そして、どの競技でも共通していますが、メンテナンスはしっかり行いましょう。
最大の魅力はスーパーテクニック
ジムカーナの最大の魅力は神業と呼ぶにふさわしいテクニックに尽きます。
「走る・止まる・曲がる」の動作を素早く正確に行えるかが勝敗のカギになり、ハングオフやウィリーなどの派手なアクションはありませんが、見ているだけでも衝撃を受けるスゴ技が続出します。
テレビ番組の警察24時で、白バイ隊員の練習風景を目にしたことがある人も多いと思います。
750ccのオートバイを器用に操るそのテクニックを見て「凄い」と驚いたと思いますが、ジムカーナはそんな白バイ隊員のテクニックにも負けない競技と言えるでしょう。
オートバイ走行の基本であるアクセルワークやブレーキング、体重移動を無駄のない動作で行い、またほとんどのライダーが苦手とする低速旋回においてはアクセルを完全に戻さずにリアブレーキ、もしくは半クラッチを使い安定を保つなどの実用的なテクニックも必要とされます。
ジムカーナで身に着けられるテクニックは実践的で、公道走行においても必ず役に立つものがほとんどなのです。
出場するならN(ノービス)クラスから
ジムカーナ大会は大きく二つのクラスに分けられます。
ひとつは「シードクラス」、このクラスはベテランライダーが対象で、過去に出場した公式大会で得たポイントランキングによりさらに4クラスに分けられます。
そしてもう一つは「ノーシードクラス」、初めて参加するライダーはこのクラスがファーストステップになります。
ノーシードクラスは一般ライダーで改造が認められるNOクラス、 また一般ライダーでノーマル車両で出場するNNクラス、そして初参加の女性ライダーを対象としたNLクラスの3クラスに分けられています。
至ってシンプル ルール説明
ルールは至ってシンプルで、スタートからゴールまでの時間を競うタイムトライアル競技になっています。
当日発表されるコースを午前と午後で2回のタイムアタックを行い、速い走行タイムを記録とし順位を競うのです。
コースにはスラローム、8の字、ターンが複雑にレイアウトされ、速く走ることはおろか完走することすら難しいコースになっています。
また、パイロンタッチや脱輪、フライングなどのミスによりペナルティが課せられタイムに加算されます。
つまり走行タイムにペナルティタイムを加算した合計タイムで順位を決めるのです。
主催者は誰なの?4輪とバイクの違い
日本のオートバイレースを統括するMFJ、しかしバイクジムカーナはロードレースやモトクロスと違いMFJ未公認の競技になります。
4輪ジムカーナはJAF(一般社団法人日本自動車連盟)公認競技として全国規模で行われますが、バイクジムカーナはJAFのような全国で統一された団体は存在しません。
バイクジムカーナの場合はJAGE(二輪ジムカーナ主催者団体協議)が一番規模の大きな団体とされJAGEの他に各地方で活動するジムカーナ団体、教習所、またホンダやダンロップなどのメーカーの主催で大会が行われています。
運営に関しては参加ライダーもスタッフとして手伝うこともあり、みんなで作り上げる大会といったイメージです。
まとめ
ジムカーナという競技、そしてそのテクニックには驚かされます。
オートバイに乗り始めた頃に教わった基本操作を究極なまでにブラッシュアップし、人馬一体を表現するそのライディングはライダーであれば誰しも憧れを抱くのではないでしょうか。
これだけの競技にもかかわらず気軽に始められるところも魅力です。
一度でいいですからジムカーナに参加してみませんか?必ずモータースポーツを好きになるきっかけになると思います。
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