5回目の開催となった鈴鹿Sound Of Engineが、2019年11月23・24日に開催されました。快晴のもと行われた今年の目玉は、50年振りの日本での走行となる6輪F1ティレルP34と、レース中の事故で下半身不随となってしまったウェイン・レイニーの二輪復活走行。他にも往年のグループCやF1が走行するとあり、沢山の観客が来場し、大成功に終わりました。

Photo by Takuya Ikeda

スペシャルゲスト「振り向けば」ティエリー・ブーツェン

80年代から90年代前半にかけて、F1における名脇役として164戦出走し3勝をマークしたティエリー・ブーツェン。

今回のスペシャルゲストとして登場し、様々なレーシングカーに搭乗して積極的に走行を重ねました。

キャメルカラーのロータス101を筆頭に、ウィリアムズFW12やフォーミュラーニッポンのローラT98、ポルシェ962と休む間もないほど。

FW12とT98はブーツェンのドライブが速すぎたのか、途中で止まってしまうハプニングも。

ポルシェ962をドライブした際には、デモランとは思えないような本気のアタックを連発し、鈴鹿を沸かせました。

タイヤ性能が上がっているとはいえ、当時と同じ車が鈴鹿で記録したベストラップの1.4秒落ちという驚きのタイムをレコード!

現役引退後20年経った今でも、元F1ドライバーとしての実力を大いに見せつけてくれました。

ミナルディM191

Photo by Takuya Ikeda

今回サプライズで展示されたのが、フェラーリV12エンジンを載せ、ピエルルイジ・マルティニの手によりミナルディ史上最高の成績を残したミナルディM191です。

このM191は4位入賞を2回達成し、コンストラクターズランキング7位を獲得。

今回来日したティレルP34のオーナーでもあるマルティニが鈴鹿に来るという事で、日本人オーナーにより急遽持ち込まれたそうです。

来年のイベントで走行!?

Photo by Takuya Ikeda

初日の閉場直前、エンジンカウルがオープン!

最後まで残ったファンへのサービスと思いきや、何やらエンジンやミッションを確認している様子。

翌日、確認をしていたマルティニチームのメカニックに尋ねたところ、マルティニは本当に走らせようとしていたとの事で、走行可能かをチェックしていたようです。

残念ながら、10年以上静態保存状態でいきなり動かすことは出来なかったようですが、来年は是非走らせたいとの意向でした。

大人気!ティレルP34

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目玉マシンとして早くから発表されていたP34は、当然のごとく一番人気。

マシンを間近で観察することができるグリッドウォークでは黒山の人だかりが出来ており、近付くのも容易でない状況でした。

デモランでは6輪車ならではの滑るようなコーナリングを披露し、集まった観客はしっかりとその姿を目に焼き付けていました。

残念ながら1日目の走行後に燃料系のトラブルが発生したとのことで、2日目の走行はキャンセル。次に来日するのがいつになるか分からないということもあり、今回走行を見ることが出来た人はとてもラッキーと言えるでしょう。

ウェイン・レイニー、25年ぶりの二輪ライディング

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1989年から1991年のWGPを三連覇した、「ミスター100%」ことウェイン・レイニー。

1993年のイタリアGPでの転倒で、下半身不随の怪我を負ってしまい引退。

その後は車いすでの生活を送っていました。

今回、二輪での走行をするに当たり、当時を彷彿させるマルボロカラーに塗装された特別仕様のヤマハYZF-R1が用意されました。

本来は足で行うシフト操作ですが、手元のボタンを押すことでシフトチェンジ出来るシステムが装着されており、上半身だけでのライディングが可能となっています。

ゆっくりとしたペースで始まったレイニーの復帰走行でしたが、セッション後半にはハイペースでの走行に。

当日は盟友であるケニー・ロバーツとエディー・ローソンも駆けつけ、3人でランデブーを披露。レイニーの25年ぶりの走行に華を添え、夕暮れの鈴鹿サーキットに感動をもたらしました。

日本に1台!ポルシェ935フラットノーズ

Photo by Takuya Ikeda

全世界で77台、日本には1台しか存在しないポルシェ935フラットノーズが、国内での走行を初披露してくれました。

往年の名車、ポルシェ935”モビーディック”をイメージして作られたこの車ですが、中身は最新のポルシェ911GT2だけあり、安定した走行を披露。

同時に走行したパガーニ・ゾンダRと共に、走りと音の両面で観客を魅了しました。

また、走行しない時間帯にはピット内で誰でも見ることができる状態で展示。

サーキット専用車ということもあり、今後も中々見る機会はないと予想されるため、この機会を逃さないようにと沢山の方が最新のスペシャルなポルシェの周りに集まっていました。

貴重なクラシックカーが大集合

Photo by Takuya Ikeda

グランドスタンド裏の広場では、70台以上のクラシックカーが展示されていました。

定番のMGやロータスから、シムカやアバルトといったエンスーな車種まで揃っており、まるでここだけ50年前にタイムスリップしたような錯覚に陥る景色が広がります。

当時を懐かしむ年配の方から、珍しそうに写真を撮影する若者まで、思い思いに展示を眺め、楽しんでいました。

まとめ

Photo by Takuya Ikeda

前年までの冠スポンサーが撤退したことで、そのイベント規模、内容が不安視されていた事前の雰囲気とは裏腹に、大盛況で終了した鈴鹿Sound Of Engine。

モータースポーツ文化を遺していくという面では、まだまだ海外と比べると遅れている日本ですが、このイベントを通して少しずつ着実に文化が根付いてきている事を感じることが出来ました。

来年の開催はまだ決まってはいないようですが、日本のモータースポーツ文化を後世に伝えていくためにも、是非とも継続して開催し続けて欲しいイベントです。

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