RZシリーズの末っ子・ヤマハRZ50。一目でRZシリーズとわかるスタイリングとクラス最高の7.2馬力を発揮して50cc最高クラスのパワーを実現。2ストレーサーレプリカに多大な影響を与えたRZ50は、ミッション付き50ccバイクのレベルを底上げしました。しかも、一時生産終了しても復活し、最後まで2ストを継続させたのもRZ50!ミッション付き原付スポーツの歴史はRZ50なくして語れません。
掲載日:2019.1/16
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小土龍^^ #rz50 #rd350 #tzr125 #tzr250 #nsr250 #nsr500 #rzr135 #rg50 #rgv250
RZの血統を受け継ぐ原付スポーツ!
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High school memories at @the_motorcycle_room_knysna #knysna #motorcycleroom #rz50 #yamaharz50
本格派2ストレーサーレプリカの元祖RZ250と、ナナハンキラーと呼ばれた伝説のRZ350。
この偉大な2台の弟分が、今回紹介するヤマハRZ50です。
RZの名を受け継ぐ50ccバイクは、軽量・高剛性のダブルクレードルフレームにYEIS(ヤマハ エナジー インダクション システム)を採用した2ストエンジンと6速クロスミッションを搭載した豪華な仕様で、当時の原付スポーツのなかではトップレベルの速さを発揮していました。
また、7.2馬力を発揮するエンジンは低回転域のトルクはないものの、パワーバンドに入れば「パァーーーン」と甲高い排気音を鳴らしながら一気に加速していく乗り味は、まさにRZシリーズの真骨頂。
原付または普通自動車免許を持っていれば、普通自動二輪免許を取得していなくても乗ることができ、RZ独特の加速感と本格的なスポーツバイクを味わえるRZ50は、ビギナーからベテランまで楽しむことができました。
ヤマハRZ50とは
RZ50は1981年にヤマハから発売されたモデルで、排気量が50cc以下のため原動機付自転車(原付)に分類されます。
また、RZ250/RZ350などRZシリーズの原付版として登場したため、モノクロスサスペンション、前後18インチキャストホイール、フロントディスクブレーキなどを装備した本格派スーパースポーツモデルです。
発売当時、同クラスのライバルにはホンダMB50、スズキRG50E、カワサキAR50など2スト50ccミッション付きバイクがラインナップされていましたが、唯一水冷エンジンを搭載していたのがRZ50でした。
初代生産終了後から時を置いても2代目モデルが登場
RZ50は1981年から1985年まで生産されたのち、ミッション付きの2スト50ccスポーツバイクは12インチタイヤ装着のYSR50に変更されていきます。
そしてフルカウルモデルに人気が集中するようになり、1990年にはRZ50と同じく17インチタイヤを履いたフルカウルモデルTZR50が登場。
TZR50は後継モデルTZR50Rも含め、1999年まで生産されました。
その後、TZM50R、TZR50Rなどレーサーレプリカを揃えておきながら、1998年には新たな2スト50ccスポーツモデルとしてRZ50を復活させます。
スタイルは長いガソリンタンクとダッチテールのシートカウルにスポークホイールが装着されるなど、1960年代のレーサーを彷彿とさせるデザイン。
エンジンはTZR50Rと同じものを搭載し、カフェレーサーのようなスタイリッシュなデザインに速さも兼ね備えたモデルとなりました。
しかし2000年には排ガス規制で2ストロークエンジン搭載のスポーツバイクのほとんどが生産終了に追い込まれますが、RZ50は継続販売することに。
そして排出ガス中の未燃焼ガスを再燃焼させる『エアインダクションシステム』及び排出ガスを浄化させる『キャタリストチューブ』の採用により、排出ガス規制適合化を実現し、唯一生き残った2ストスポーツバイクであるRZ50は、2ストフリークのライダーから熱い支持を受けています。
RZ50の登場でミッション付き50ccレースが盛んに
#rz50 pic.twitter.com/niyllUeJue
— なおくん (@trendy_fzrz) 2015年3月19日
RZ50登場と同時に、50ccスポーツバイクの戦国時代が訪れようとしていました。
しかし1981年には、まだRZ50ほどスーパースポーツとして本格的な設計は存在せず、原付法定速度30km/hよりも高速域で走れてしまうRZ50は、原付規格を遥かに超えたオーバースペック性能でした。
そんなRZ50に触発されたのか、翌1982年にはホンダ MB50とスズキ RG50Eは水冷化され、国産4メーカーは50ccスポーツバイクでも白熱した争いを展開します。
それはストリートだけには留まらずサーキットでも繰り広げられ、ホンダNSR50やヤマハYSR50、スズキGAGなど12インチタイヤ装着のレプリカバイクが登場する以前から、50ccクラスのレースにはRZ50を筆頭とする18インチタイヤ装着の、ミッション付き2スト50ccバイクが出場していました。
そして2代目モデル登場後、17インチタイヤ装着マシンが出場するSP17クラスはホンダNS50F/50Rのワンメイク状態となり、ミニバイクコースで行われるスプリントレースにはあまり出る幕がありません。
それでも2代目RZ50は高い人気があったため、カスタムパーツが豊富に販売されているだけでなくTZR50Rから流用できたため、125cc以下の耐久レースやレギュレーション規制が厳しくない草レースには、RZ50で出場するライダーは少なくありませんでした。
ヤマハRZ50のスペック
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1981年・RZ50 | 1996年・RZ50 | ||
---|---|---|---|
全長×全幅×全高(mm) | 1,910×685×1,000 | 1,805×615×970 | |
軸距(mm) | 1,230 | 1,215 | |
シート高(mm) | 760 | 745 | |
乾燥重量(kg) | 75 | 80 | |
乗車定員(人) | 1 | 1 | |
エンジン種類 | 水冷2ストローク単気筒ピストンリードバルブ | 水冷2ストローク単気筒ピストンリードバルブ | |
排気量(cc) | 49 | 49 | |
内径×行程(mm) | 40×39.7 | 40×39.7 | |
圧縮比 | 6.9 | 7.5 | |
最高出力(kW[PS]/rpm) | 5.3[7.2]/9,000 | 5.3[7.2]/10,000 | |
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) | 6.0[0.62]/8,000 | 5.9[0.6]/8,000 | |
トランスミッション | 6速 | 6速 | |
タンク容量(ℓ) | 10 | 10 | |
タイヤサイズ | 前 | 2.50-18 | 70/100-17 |
後 | 2.75-18 | 80/90-17 | |
価格(円) | 176,000 |
まとめ
2ストエンジンの生き残りが難しくなった2000年以降、50ccクラス全体で4ストローク化が進行していきます。
そして2004年にはヤマハがビーノに49cc水冷4スト単気筒SOHC3バルブエンジンを搭載し、自社製品の原付バイクで初めて4ストロークエンジンを採用。
以後、2007年の自動車排ガス規制強化を受けて、スクーターレースの定番モデルだったジョグ(JOG)も4ストローク化に踏み切りました。
そんな時代背景の中、RZ50は2000年以降も生産が継続されましたが、2007年の排ガス規制はクリアできなかったため生産終了。
ここでもしRZ50を存続させたとしても、次期モデルは4ストローク化されていたかもしれません。
それでも、排ガス規制に対応しながら絶滅危惧種となった2ストを最後の最後まで貫き通した姿勢には、2ストフリークとしてはヤマハの開発陣を労いたい思いがこみ上げてきます。
そんなRZ50は、50cc2ストスポーツバイククラスで大きな仕事をやってのけ、偉大な兄弟たちに引けを取らない功績を残した名車といえるのです。
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