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大迫力の直列6気筒エンジン搭載のホンダCBX1000とは
CBX1000は、ホンダから1978年12月9日に発表され欧米向けの輸出車として登場したバイクです。
エンジンは排気量1,047ccの直列6気筒エンジンを搭載。
同時期にスポーツモデルとしてCB900Fが発売されましたが、2台が登場した当時の報道陣の注目度はCBX1000のほうが高かったといわれています。
なぜなら、実は1970/1980年代に直列6気筒エンジンを搭載したバイクは、ベネリ750sei(1972~1978年)、カワサキZ1300(1978~1989)の3車種のみで、世界中の旧車のなかでもかなり希少な存在。
6気筒独特のサウンドは、まさにジェット機を思わせる迫力があり、現在話題となっているホンダジェットのバイク版といった感覚にさせてくれました。
その後、CBX1000は1981年にモデルチェンジし、それまでのスポーツバイクから大型カウルとリアサスペンションをモノサス化したツアラーバへ路線変更していきますが、登場したときの価格が高額すぎて人気はCB900Fに偏り、わずか4年で生産終了。
現在は、希少な6気筒エンジンを搭載したモデルだけあって、旧車ファンからの人気は高く、中古車相場価格は年々高騰しています。
6気筒エンジンはレーサーRCを引き継ぐホンダの真骨頂
1960年代前半、ホンダはロードレース世界選手権を4ストロークエンジンで勝ち続けることに限界を感じていたのかもしれません。
ヤマハが高性能2ストロークエンジンのマシンを投入した1964年シーズン、ホンダは250ccクラスで2勝しかすることができませんでした。
そこで、ホンダは2ストロークの開発に切り替えるのではなく、4ストロークエンジンにこだわり気筒数を増やすことでさらなる馬力アップを図ったのです。
そうして登場した新しいマシンは、250cc6気筒エンジンを搭載した『3RC164』で、初めて公の舞台で走行したときに「時計のように精巧なエンジン。」と称えれ、6気筒の官能的なエキゾーストノイズに『Hondaミュージック』という新たな称号を与えられました。
その後、1964年9月13日の第11戦イタリア・モンツァGPで実践投入されてホンダワークスライダー ジム・レッドマン氏のライディングで一時はトップを快走するも、マシントラブルによりヤマハのマシンを駆るフィル・リード氏に抜かれてしまい、そのままレースは終わります。
そしてフィル・リード氏にレースの勝利だけでなく年間タイトルまで持っていかれるのですが、1964年11月1日、東京オリンピックが終わって間もない時期に行われた最終戦日本GPで、ジム・レッドマン氏はリファインされた3RC164でトップを快走。
そのままチェッカーを受け、ホンダは6気筒エンジンを搭載したバイクで初の勝利を獲得しています。
また、1965年に『RC165』、1966年に『RC166』を登場させ、1966年にはRC166に乗ったマイク・ヘイルウッド氏が、全13戦中7戦で優勝を手にし、シリーズタイトルとメーカータイトルを獲得。
翌1967年、ホンダは350ccクラスに新たな6気筒マシン『RC174』を投入。
こちらもマイク・ヘイルウッド氏が全8戦中7勝をあげ、シリーズタイトルとメーカータイトルを獲得しています。
斯くして、ホンダの6気筒エンジンはレースで大成功を収めました。
そしてその技術はCBX1000へと受け継がれますが、1,000cc空冷6気筒エンジンの開発は非常に難航することになるのです。
ノルマンディ上陸作戦によって生み出されたフラグシップモデル
1969年ホンダがCB750FOURを発売し、世界中で大ヒットとなると同時にナナハンバイクというカテゴリーを作り出しました。
当時ホンダはそのメインターゲットを北米市場におき、GL1000ゴールドウィングなど大排気量でクルージング走行向けのバイクを多数登場させます。
しかしその一方で欧州市場では、北米市場向けに設計したバイクのステップやハンドル、カラーリングなどを変更しただけのモデルを販売していました。
しかし、それが徐々に欧州市場で受け入れられなくなり、販売台数が低迷。
当時、二輪部門の総責任者であった久米専務は欧州市場強化のために新たなプロジェクトを発案。
その計画は『ノルマンディ上陸作戦』と名付けられ、第一艦隊のスーパースポーツバイクから第三艦隊のモペッドまで、欧州市場専用モデルを続々と投入させます。
そんな、ノルマンディ上陸作戦で欧州市場に送り込むバイクのフラグシップモデルがCBX1000だったのです。
コードネームは『Prohect-422』。
GL1000のエンジンや、ホンダのF1マシン『RA271』のエンジンをベースに開発する案も出ていたようですが、今までにないホンダらしいバイクにするために完全新設計6気筒エンジンを採用。
ロードレース世界選手権でRC166やRC174といった6気筒バイクの速さを証明した経緯もあったため、6気筒開発に踏み切ったのかもしれません。
一筋縄ではいかなかった6気筒エンジンの開発
CBX1000の開発はRC166でのノウハウがあったからと言って、エンジンをそのまま排気量アップさせ車体に積むという単純なものではありません。
当然、初の試みとなるバイクだけに開発は難航。
しかも、社長の本田宗一郎氏はCBX1000が水冷ではなく空冷でなければならないとしており、冷却での課題解決が難しかったようです。
また、いざ完成してもエンジンだけで200kgを超える重量となってしまい、大幅な軽量化を余儀なくされました。
開発者が、CBX1000の開発で最も大変だったのは軽量化だと語る事も!
フレームはCB750FOURのようなダブルクレードフレームを採用する予定でしたが、6本のエキゾーストパイプをフレームに干渉せずに取回すことが難しく、改良してもエキゾーストパイプの曲がり方が歪で不格好に。
そして、エンジンの造形美と綺麗に並んだエキゾーストパイプこそが、バイクのカッコよさを決めるものだというホンダ開発陣の考えから、エンジンの上部だけで固定できるダイヤモンドフレームを採用するなど多くの難題を乗り越え、ホンダはCBX1000をリリースまでこぎつけることができ、1978年3月にイギリス・リーズで世界初公開。
その年の6月に行われたマン島TTレースでは、コースマーシャルが実際に乗ってプロモーションを行ったとされています。
ホンダCBX1000のスペック
1979年モデル CBX1000 | |
---|---|
全長×全幅×全高(mm) | 2,220×780×1,145 |
軸間距離(mm) | 1,495 |
シート高(mm) | 810 |
乾燥重量(kg) | 247 |
乗車定員(名) | 2 |
エンジン種類 | 空冷4ストローク直列6気筒 DOHC24バルブ |
排気量(cc) | 1,047 |
ボア×ストローク(mm) | 64.5×53.4 |
圧縮比 | 9.3:1 |
最高出力(kW[PS]/rpm) | 76.6[106]/9,000 |
最大トルク(N・m[kg・m]/rpm) | 70.8[7.2]/6,500 |
トランスミッション | 5速 |
エンジン始動方式 | セル式 |
タイヤサイズ | 前:3.50/19 後:4.25/18 |
海外でのホンダCBX1000のカスタムが凄すぎる
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Honda CBX1000 Custom Bobber 6 Silindir
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— TalkingScarsMedia.com (@TalkingScars) 2016年2月11日
現在CBX1000は中古車市場では希少車となっていますが、それは海外も同様で、日本よりも高い人気を誇ります。
また、搭載される空冷直列6気筒エンジンはインパクトが大きく、CBX1000の中古車はカスタムベースとして購入する方も多いよう。
そんなCBX1000のカスタム車は、海外のカスタムビルダーにより日本では考えられないほど過激でカッコいいものが多く製作されています。
CBX1000にV12エンジン搭載
外国人カスタムビルダーによるCBX1000のカスタムは、外装だけでなくエンジンにも及んでいます。
南アフリカ人のAndreas Georgeades(アンドレア・ジョージアデス)氏はマン島TTレースや、ヨーロッパでのGP500ccクラスレースに参戦した経験を持つカスタムビルダーです。
そんな彼が作り出したのは、CBX1000のエンジン2基を組み合わせて作ったV12気筒エンジンを搭載したCBX1000改を製作。
驚くべきは、設計にコンピュータやCADなどを使わず、すべてスケッチによる製図のみで設計し作り出されたこと。
CBX1000をここまでいじり倒した事は、アンドレア氏のCBX1000愛とカスタムへの情熱を感じさせるものでした
ホンダCBX1000の中古車価格は
CBX1000の総生産台数は38,079台とされており、すべて海外のみで正規販売されました。
また、日本へも逆輸入車として販売されていましたが数は少なく、現在日本にあるCBX1000の中古車はかなり希少です。
インターネットで検索しても、全国の中古車販売店でCBX1000がヒットはするの10~20台程度。
価格は100~400万円とかなり高額設定で、カウルが装着される前の初期型モデルに人気が集中しています。
まとめ
直列6気筒という巨大なエンジンを搭載したCBX1000は、新車販売時には不人気車でしたが、旧ホンダ車ならではのカッコよさとエキゾースト音は格別で、手の届く価格設定であれば、ヒットしたかもしれません。
ホンダが手塩にかけて作り出したCBX1000は不人気車であっても、ホンダで唯一直列6気筒エンジン搭載バイクであることからインパクトは抜群。
歴史に残る名車と呼べるバイクではないでしょうか。
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