国産オートバイの知名度はホンダCB750FOURや、カワサキZ1から広まったと言っても過言ではないでしょう。世界中で人気を博したこれらの名車の誕生以降、日本の二輪業界には世界を席巻する勢いがありました。そこでスズキは1980年、海外市場に向けてGSX1100Sカタナを発表。世界中のライダーたちが衝撃を受けたその前衛的なデザインのコンセプトはなんと、日本刀でした。その後、排気量別に5種類のカタナがシリーズ化されていきます。今回は、そんな日本を代表する旧車の一つ、スズキ GSX系カタナシリーズをご紹介します。

 

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%82%BA%E3%82%AD%E3%83%BB%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%83%8A

 

 

どのようにしてデザインされた?カタナの生産背景

 

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カタナが生まれたのは1980年のこと。

西ドイツのケルンショーで試作車として発表されました。

当時日本のバイクメーカーの中で遅れを感じていたスズキは、新しいアイディアを求めてBMWのバイクを手がけていた工業製品デザイナーのハンス・ムートに新型車のデザインを依頼します。

そんなハンス・ムートの所属会社は当時、コンペ用にイタリアのMVアグスタのデザインを作成していました。

そのデザインにインスピレーションを受けたスズキの担当者が、是非にと依頼したのがきっかけでカタナが生まれることになったのです。

このように、ドイツやイタリアと国境を超えた関係性が化学反応を起こし、日本刀をイメージしたカタナが誕生したのは奇跡とも言えるのではないでしょうか。

特にカタナ独特のデザインと言えるのは、タコメーターとスピードメーターで、速度計と回転数の変化を楽しませてくれるような配置関係が考慮されています。

発表時、プロトタイプとしての位置付けであったカタナは、その斬新なデザインから賛否両論ありました。

しかし、発表から約40年近く経った今でも類を見ないそのデザインは、スズキファンから長く愛され続けているのです。

 

カタナシリーズ

GSX250SS カタナ

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1991年から1999年の間に生産されたカタナシリーズの中で、最小排気量のGSX250SSは通称『ナイフ』と呼ばれています。

しかし名前はナイフでも、外観はGSX1100Sカタナそのもの。

250ccの排気量に合わせて、顔周りのデザインなど細部に至るまでが再現されており、唯一異なる点はホイールで、こちらはバンディット250のホイールを流用する形になっています。

 

GSX400S カタナ

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カタナシリーズ最後発のGSX400Sカタナは、通称『小刀』と呼ばれています。

当初スズキは400ccクラスでカタナを開発する予定はありませんでしたが、中型クラスを熱望するライダーに応えるようにして登場。

最初に発売されたGSX1100Sから遅れること約10年、400ccという排気量クラスのカタナが発売されたのです。

登場から10年もの年月を経て、新しい排気量が発表される車種はなかなか珍しく、カタナシリーズの人気の高さがうかがえます。

ちなみにGSX400Sは、人気漫画『ばくおん!!』のキャラクター、鈴乃木凛の愛車として作品内に登場し、再びカタナシリーズが注目を浴びるキッカケとなりました。

 

GSX750S カタナ

GSX1100Sカタナの登場から遅れること約1年、カタナの呼称では『脇差』と位置づけられるGSX750Sカタナが日本国内向けに発表されました。

1100ccのカタナではなく、なぜナナハンのカタナなのか。

それは、当時日本ではメーカーの自主規制で、排気量が750cc以上のバイクは生産されていなかった為です。

これは、1970年代にカワサキが生み出したZ1は北米市場へ、国内市場に向けてはZ2を生み出した関係と似ているかもしれません。

待望のカタナが国内市場に向けて生産される事になり、歓喜の声とともに、違和感を覚えたライダーも少なくなかったようです。

なぜならGSX750Sは、GSX1100Sのようなセパレートハンドルではなく、アップハンドルを採用。

このハンドルは耕運機ハンドルとも揶揄され、更にカタナの顔に位置するスクリーンがありませんでした。

GSX1100Sのカタナを待ちわびていたライダーは、そのかけ離れたデザインに困惑。

そして多くの750のオーナーはセパハン化したり、スクリーンを流用したりしましたが、当時の国土交通局が許可をしていなかったために、違反切符を切られるライダーが続出。

その光景はかの有名な武将である豊臣秀吉が行った政策に例えられ、『カタナ狩り』と呼ばれました。

 

GSX1000S カタナ

日本国外向けに作られたモデルで、GSX1100Sの1074ccから998.6ccへボアダウン(により排気量縮小されたのがGSX1000Sです。

アメリカのAMAスーパーバイク選手権に参戦するためのホモロゲ取得のためだけに作られたようなモデルで、当時のレギュレーションでは1000cc以下とされていたためサイズダウンを行なったモデルとなっています。

しかしながらAMAスーパーバイクのレギュレーション変更により排気量が1000cc以下から750cc以下と変更されたため、レースでは短命に終わったモデルです。

 

GSX1100S カタナ

カタナと言えば、やはりGSX1100Sだ!というライダーは、多いのではないでしょうか。

バイクが一番映えるであろう、右斜め前から見るGSX1100Sのシルエットは、いかなる時代のバイクとも一線を画す美しさが存在します。

また、GSX1100Sといえば『キリン』や『サムライダー』といった人気漫画にも登場しており、GSX1100Sが注目を集めたのは外観だけではなく、時速235kmを記録したそのバイクとしての性能の高さも多くのライダーを驚かせました。

しかし、逆輸入車がそれほど当たり前で無かった時代に、GSX1100Sを国内で入手することは難しく、国内に向けたカタナは多くのライダーから待ち望まれます。

そして国内の排気量規制撤廃を機に1994年、国内仕様のGSX1100Sが登場。

多くの人気を集めたGSX1100Sでしたが、2000年に惜しまれながらもファイナルエディションを発表し、生産を終了。

ファイナルエディションは、その排気量にちなんで1100台限定で販売され、一台一台にシリアルナンバーが付与されました。

また、性能面では230kgを超える車体の制動性能を向上させるために対向4ポッドキャリパーを採用。

チューブレスタイヤが採用されたことも、整備性の改善に大きく貢献しました。

 

カタナシリーズのスペック

 

GSX250SS

   (1999年式)

GSX400S

   (1999年式)

GSX750S

   (1986年式)

GSX1000S

   (1982年式)

GSX1100S

   (2000年式)

エンジンタイプ 水冷4stDOHC

並列4気筒

水冷4stDOHC

並列4気筒

空冷4stDOHC

並列4気筒

油冷4stDOHC

並列4気筒

空冷4stDOHC

並列4気筒

全長×全幅×全高 (mm) 2060×685×1160 2060×700×1150 2190×760×1180 2260×715×1205 2250×740×1195
シート高 (mm) 750 750 780 775 775
乾燥車体重量 (kg) 160 182 212 232 232
排気量 248 399 747cc 998cc 1074
最大出力 40ps/13500rpm 53ps/10500rpm 77ps/9000rpm 108ps/8500rpm 95ps/8500rpm
最大トルク 2.7kg/10000rpm 3.8kg/9500rpm 6.4kg/7500rpm 9.3kg/6500rpm 8.6kg/4000rpm
燃料タンク容量 (L) 17 17 21 22
生産期間 1991-1999 1992-1999 1982-1986 1981-1983 1981-2000


カタナの中古車市場

 

Photo by Atsushi Boulder

 

中古車市場においても球数が減りつつありますが、GSX250SSは35万円前後、GSX400Sは45万円前後が相場となっています。

特にGSX250SSは車検も必要ないため、GSX1100を持っているオーナーのセカンドバイクとしても大人気。

そしてGSX750Sは平均80万円前後の値段が付けられていますが、生産期間が4年間とカタナシリーズの中でも一番短い為、他のカタナに比べてタマ数が特に少い傾向に。

また、GSX1100Sはカタナシリーズの中で一番値段の幅が広い事が特徴で、中古車平均価格は130万円前後。

年式の古いものは逆輸入車の場合もあり、状態の良いGSX1100S、特に1100台限定で販売されたファイナルエディションは300万円近い値段が付いている車体も存在します。

 

まとめ

 

ホンダCB750FOURやカワサキZ1に並ぶ名車として知られるスズキGSX1100Sカタナ。

その人気の高さに伴い、幅広い排気量のラインナップでカタナシリーズが登場。

必ずやライダーの目を引くであろうフォルムをまとったカタナは、1980年代のバイクシーンに強いインパクトを残し、現在も国内外で長く愛されているバイクです。

数ある旧車の中でも、特に復刻を待ち望まれる声が多数聞かれるモデルですが、今後新しくカタナが登場することはあるのでしょうか。

期待せずにはいられません。

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