少し肌寒い秋晴れの鈴鹿サーキットで開催された、全日本ロードレース選手権最終戦。今シーズンの集大成ともなる今回のレースで、若手ライダー達はどんな成長を見せたのでしょうか。自身のレースについて、そして鈴鹿サーキットの走り方も併せて聞いてきました。
J-GP3クラス 決勝
天候は曇り、気温 15.9℃と少し肌寒い中スタートしたJ-GP3クラスの決勝レース。
ランキング1位 #17 小室旭(Team P.MU 7C)と2位 #64 伊達悠太(BATTLE FACTORY)との差はわずか3ポイントで、シリーズチャンピオンを賭けた激しいバトルが展開されました。
そんな中、ホールショットを奪ったのは3番グリッドスタートの#090 山中琉聖(テルル・MotoUPレーシング)。その後を小室が追いかけます。
オープニングラップから、激しく順位を入れ替え、コントロールラインを通過する頃には小室、#34 中島元気(TEAM SRS-MOTO)、山中と続きトップ集団は約12台の激戦に。
その後周回を重ねていくごとに少しずつトップ集団から離脱していき、レース折り返しとなる6LAP目が終わる頃には5台でのトップ争いとなっていきました。
しかし、集団から離脱したからと言って諦められないのが最終戦。
細かく順位を入れ替える激しいバトルを繰り広げるトップ集団にセカンド集団が追い付き、再び団子状態のハラハラするような接戦が最終ラップまで展開されました。
そんな抜きつ抜かれつの激戦を制したのは、6番グリッドスタートの伊達悠太。
最終戦優勝を手にすると同時に、勝ってシリーズチャンピオンを決めるという、伊達にとって最高のレースとなりました。
2017年シリーズランキング
1位 #64 伊達 悠太
2位 #17 小室 旭
3位 #7 古市 右京
4位 #34 中島 元気
5位 #2 栗原 佳祐
7位 #3 安村 武志
6位 #12 船田 俊希
8位 #41 宇井 陽一
9位 #33 佐野 勝人
10位 #11 太田 虎之進
11位 #36 福嶋 佑斗
12位 #10 山本 恭裕
13位 #13 長谷川 聖
14位 #090 山中 琉聖
15位 #6 岡崎 静夏
♯13長谷川聖 選手(CLUB Y’s) 決勝:リタイア ランキング:13位
前日の公式予選では、周りのライダーとタイミングが合わず、不発に終わってしまった長谷川選手でしたが、13番グリッドから好スタートを決め、トップ集団を追える位置へ。
しかし、オープニングラップのシケインで激しいバトルの末、他者と接触し転倒。
再スタートを試みるも、手を負傷してしまいリタイアする結果となりました。
長谷川選手コメント
決勝日の朝フリーの時に完全にマシンのセットが決まって、今回は絶対イケる!という自信が出るぐらい、いい感じで決勝に挑みました。
スタートもすごく決まり、1コーナーまでに4台ぐらい抜けて、ジワジワ順位を上げていこうと思っていたシケインの侵入で、後方のライダーがアウト側からかぶせる形でプッシュしてきたのに対して、僕が引いてしまったのもあって、フロントタイヤに接触してしまい、転倒してしまいました。
今シーズンは結局、雨が降っている時しかいい成績が残せなかったシーズンでした。
晴れた時に1度もいい結果が出せなかったことが心残りです。
最後も転倒リタイアで、怪我までしちゃって・・・。
来シーズンの事はまだ全く決まっていませんが、希望としてはもう1年J-GP3クラスに参戦し、マシンのレベルを上げてシリーズチャンピオンを狙って頑張りたいです。
【初心者向け】長谷川選手的、鈴鹿を走る時の注意ポイント!
①意外に曲がってないから勇気を出して突っ込んでいく。
②リズム良く走る。
③アクセル全開。
④丁寧にアクセルを開ける。(スリップダウンしやすい。)
⑤まっすぐ立ち上がる。
⑥縁石に乗りながら切り返す。
⑦外の縁石めがけて膨らむ。
⑧スピードを乗せられるラインで立ち上がる。
ST600クラス 決勝
前日に行われた公式予選でポールポジションを獲得したポイントリーダーの#5 前田恵助(伊藤RACING・GMDスズカ)が好スタートを決め、ホールショット!#17 亀井雄大(Honda鈴鹿レーシングチーム)、#50 國峰啄磨(T.Pro Innovation)と続きます。
勝ってチャンピオンを決めたい前田が順調に周回を重ねていくかに見えた3LAP目に、5番グリッドスタートの#52 岡本裕生(51ガレージ チームイワキ)がトップに浮上。
そのままファステストラップを記録するなどリードを広げ、独走状態に!
2番手ポジションで追う前田がプッシュし続けるも中々追いつくことが出来ず、そのままチェッカーを受ける結果となりました。
2017年シリーズランキング
1位 #5 前田 恵助
2位 #50 國峰 啄磨
3位 #52 岡本 裕生
4位 #46 星野 知也
5位 #57 奥田 教介
6位 #3 名越 哲平
7位 #15 和田 留佳
8位 #20 名越 公助
9位 #40 南本 宗一郎
10位 #70 清末 尚樹
11位 #17 亀井 雄大
12位 #39 古山 颯太
13位 #18 田所 隼
14位 #41 仲村 優佑
15位 #13 山元 聖
♯70 清末尚樹 選手(RS-ITOH) 決勝:8位 ランキング:10位
シリーズ後半は色々な要因が中々噛み合わず、少し不調気味だった清末選手ですが、前日の公式予選では4番グリッドを獲得。
2列目からスタートを決めるも、岡本に交わされ5番手ポジションでオープニングラップを終える事に。
その後も少しずつポジションを落とし、最終的には8番手でチェッカーを受ける苦しい結果となりました。
清末選手コメント
最初から自分のリズムが作れなくて、WEEKで出ていなかった挙動がでてしまったりと苦戦しました。
多分自分の乗り方が原因だと思うのですが・・・。
レース中はその挙動をずっと抑えられず、ペースも上げられなかったので抜かれる一方で、全然最終戦らしくないレースをしてしまいました。
シリーズを通しても、あまり良くなく、思ったより流れを作れていなくて・・・。
天気とかもあったんですが、雨でのレースはこれからも課題だと思います。
来年の事はまだ何も決まっていませんが、こんな結果にならないように、また頑張りたいと思います。
1年間ありがとうございました。
【初心者向け】清末選手的、鈴鹿を走る時の注意ポイント!
①2コーナーの立ち上がりで東コースが決まる!!立ち上がりでアウト側に行ってしまうと3コーナーからが上手く曲がれなくなるので注意。
②MCシケインのブレーキポイントがつかみにくいから、早めに攻略する。
♯15 和田留佳 選手(RS-ITOH&サンタバイク) 決勝:13位 ランキング:7位
前日の予選ではマシンのセットが決まらず、16番グリッドスタートとなってしまった和田選手でしたが、決勝ではスタートを決め一気に13番手までポジションを上げます。
その後、後方から追い上げてきた#39 古山颯太選手(伊藤RACING・GMDスズカ)に交わされるも安定した走りを見せ、13位でチェッカーを受けました。
和田選手コメント
今日の決勝は、朝フリーで試したセットの感触が良かったので、そのまま決勝を走ったのですが、新品タイヤだった事と朝と比べて路面温度があがってしまい、マシンのセットのバランスが崩れてしまいました。
そのマシンのセットの崩れをしっかりカバーしようとしたのですが、その結果、体に力が入ってしまったようで腕があがってしまったり、腰が痛くなったりとバテテしまい、力を発揮できないままレースが終わってしまいました。
それでもしっかり完走する事は出来、ランキングも1桁台に持っていけたので、最後はあまり良くなかったけど、シリーズを通してはいい1年になったのではないかと思います。
来年も頑張りますので、応援よろしくお願いします。
【初心者向け】和田選手的、鈴鹿を走る時の注意ポイント!
①2コーナーの立ち上がりを、3コーナーに向けて組み立てる。
②S字は次のコーナーを意識しながら走ると上手くいく。
③なるべく速いまま曲がる。
④突っ込み過ぎず、しっかりアクセルを開ける事ができるラインを通る。
⑤リズムをしっかり持っていく。スピードを落としすぎない。
⑥しっかりアクセルを開けて、バックストレートで車速を伸ばせるようなラインで走る。
⑦頑張る!!
⑧リズムをしっかり取る。最終コーナーまでできるだけ早くアクセルを全開にできるようにする。
J-GP2クラス 決勝
今回の最終戦を待たずして、前回の岡山ラウンドで唯一シリーズチャンピオンが決定しているJ-GP2クラス。
ホールショットを奪ったのは、2番グリッドスタートの♯44 関口太郎(SOX Team TARO PLUSONE)でしたが、ダンロップコーナーでバランスを崩し、ポールポジションスタートの#32 榎戸育寛(MOTO BUM HONDA)がトップに。
その後も少しずつ後ろを引き離し、トップで周回を続ける榎戸。
2番手集団は順位を激しく入れ替えるもトップは変わらず、6LAP目には2分10秒33というファステストラップを記録するなど絶好調でレースをリードしていきました。
そんな誰もが榎戸の独走でのチェッカーを想像した7LAP目、榎戸が痛恨の転倒。
トップは再度関口となり、その後にチャンピオンの#634 水野涼(MuSASHi RT HARC-PRO.)、#8 作本輝介(Team高武 RSC)と続きます。
そこに4番グリッドスタートで、1度は8番手付近まで順位を落としていた#5 石塚健(WILL-RAISEracingRS-ITOH)が加わり、4台のトップ争いに!
逃げる関口、追う作本、そして水野、石塚のサイドバイサイトの3位争いと、トップ集団の激しいバトルが展開します。
最終LAPまで続く激しいトップ争いを制したのは今シーズンスポット参戦の作本!参戦2戦目、最終戦にして今季初優勝を飾りました。
2017年シリーズランキング
1位 #634 水野 涼
2位 #44 関口 太郎
3位 #4 生形 秀之
4位 #31 岩戸 亮介
5位 #39 柴田 陸樹
6位 #32 榎戸 育寛
7位 #5 石塚 健
8位 #36 徳留 真紀
9位 #70 岩崎 哲朗
10位 #33 KUBO KEMINTH
11位 #17 井筒 仁康
12位 #10 大木 崇行
13位 #13 三原 壮紫
14位 #16 中本 郡
15位 #090 中村 修一郎
♯5 石塚健 選手(WILL-RAISEracingRS-ITOH) 決勝:3位 ランキング:7位
2列目、4番グリッドからスタートした石塚選手。
スタートも上手く決まり、トップ集団を形成しますが、前方を走行中のライダーがバランスを崩したことにより、巻き込みを回避する為減速。
オープニングラップにして一気にポジションを落としてしまいます。
しかし、その後も諦めることなく着実に順位を上げていき、トップ集団へ。
そして、チャンピオンを決めた水野選手との激しい3位争いの末、今季2度目の表彰台を獲得しました。
石塚選手コメント
疲れました。表彰台に乗れてうれしいです。
スタートは決まりましたが序盤に怯んでしまった事が後半にひびいてしまい、勝てなかった事が悔しい。
今シーズンは最高位が3位で、2回しか表彰台に乗れなかったので、もっと勝ちたかったし、ランキングも上位で終えたかったので、とても悔しいですが、最後は来年につながるいいレースができたと思うので、課題は課題で来年克服できるように頑張ります。
来年の事はまだ分かりませんが、自分としてはもう1年J-GP2クラスで走り、シリーズチャンピオンとmoto2™へのワイルドカード参戦を目指したいです。
【初心者向け】石塚選手的、鈴鹿を走る時の注意ポイント!
①S字区間は車速を落とさないことが大事!登り区間なので、失敗するとラップタイムに響くので注意。
②リズム良く、イン側のゼブラをカットしていく。
※全体的に車速を落とさないように走るのがコツ!
♯39 柴田陸樹 選手(RS-ITOH&AUTOBOY) 決勝:9位 ランキング:5位
WEEKを通して、タイムを出す事に苦戦していた柴田選手。
自身で定位置と話す9番グリッドからスタートしますが、オープニングラップでは11番手とポジションを大きく落とします。
その後は#10 大木崇行選手(T.Pro HARC)と激しく順位を入れ替えながら周回を重ね、最終的には9位にポジションを戻しチェッカーを受けました。
柴田選手コメント
決勝は、スタートしてすごく順位を落としちゃって・・・。
その中でも、自分のペースで走ろうとおもったんですけど、思うようにペースが上げられず、予選の時に出てなかったマシンの嫌な挙動もどんどん大きくなって、最終的には前を走っている集団で転倒があった事に助けられる形で9位でチェッカーを受けました。
今シーズンは、去年ランキング18位で、それに比べたら転倒も減り、運よくランキング5位で終える事が出来ました。
ただ、表彰台にも乗りたかったし、もっと走りで自分の存在をアピールしたかったのですが、それが難しいのが全日本という舞台で・・・。
去年に比べたら全然いいのですが、16歳で初めてバイクに乗って、経験がない分勢いだけでここまで来ちゃったんですけど、そう言った中で周りのみんなが協力してくれて、ランキング5位と言う結果で終えられたことは、嬉しいし、自信を持てる結果だと思っています。
来年は、一旦全日本への参戦は今回でラストレースという事にしようと決めていました。
正直に言うと悔しさもあり、リベンジしたい気持ちはあるのですが、全日本ロードレース選手権に参戦して2年、バイクのレースを始めて5年という期間で得たものをしっかり整理して、全日本では出来なかった表彰台や優勝を、自分で決めた次のステージでの活躍に生かしたいと思います。
そして、今まで応援してくれた伊藤監督を含め、チームのみんなに自分の活躍で恩返しできるように頑張ります!
【初心者向け】柴田選手的、鈴鹿を走る時の注意ポイント!
①速度を落とし過ぎないように走る。
②2コーナーからS字まで、しっかりアクセル全開で加速!!
③S字区間はスピードを落とし過ぎないように、リズムよく走る。
④出来る限りインベタ!!
⑤スピードをしっかり乗せながら走る。
⑥アクセル全開!!
⑦コンパクトに曲がって、しっかり立ち上がりを意識する。
⑧自分も苦手なので一緒に頑張りましょう。
⑨アクセル全開!!
⑩コーナーの侵入と立ち上がりのクリップが難しいので、意識して走る。
⑪ブレーキをまっすぐかけて、切り返しをしっかり!
⑫イン側を走って優勝!!
まとめ
バイクを降りると普通の無邪気な少年達が、自分の夢や将来だけではなく、両親やチーム、そしてスポンサーなど多くの人の期待を一身に背負って戦う全日本ロードレース選手権。
2017年も最終戦を終え、各ライダー嬉しさや悔しさなど色々な表情が見えました。
シリーズの区切りという事で、ほとんどのライダーがまだ来年の事は未定と言う中、今回で全日本ロードレースへの参戦にいったん区切りをつける事を決めているライダーもいて少し寂しくもありますが、また来年、それぞれの決めたスタートラインに立って、頑張って欲しいと思います。
あわせて読みたい
[amazonjs asin=”B00JNB0CHS” locale=”JP” title=”鈴鹿サーキット 開場50周年記念 名車プルバックカー 全8種”]
Motorzではメールマガジンを始めました!
編集部の裏話が聞けたり、月に一度は抽選でプレゼントがもらえるかも!?
気になった方は、Motorz記事「メールマガジン「MotorzNews」はじめました。」をお読みいただくか、以下のフォームからご登録をお願いします!