ヘッドライトが薄くなり、全体的にシャープなデザインとなった現在のランドローバー車以前、まだデザインがカクカクしていた頃の2009年にデビューした4代目ディスカバリーは、当初北米以外では日本も含め『ディスカバリー4』を名乗るとともに、ランドローバーがインドのタタモーターズ傘下となってから初めてモデルチェンジしたディスカバリーでした。
掲載日:2019/01/03
モデル途中で大きく性格を変えたディスカバリー4
1989年に初代モデルが登場して以来、ランドローバーの高級SUV『レンジローバー』の高い悪路走破性能は受け継ぎつつもコストダウンで大幅に販売価格を下げ、同社のエントリーモデルとして高い評価を得てきたディスカバリー。
2000年に親会社のローバー グループがさらに親会社のBMWによって解体された際に、ランドローバーはフォードに売られて傘下となり、その期間に3代目ディスカバリー(ディスカバリー3)を発売。
それと同時に4代目の開発も進んでいました。
しかし2008年にはリーマンショックによる世界不況で経営の傾いたフォードが、ランドローバー社をインドのタタモーターズへジャガーともども売却。
そのような背景の中、4代目ディスカバリーこと『ディスカバリー4』は2009年12月にデビューしました。
親会社がコロコロ変わった影響かどうかは不明ですが、4代目ディスカバリーはモデル途中でコンセプトに関わる大幅な変更を受け、悪路走破性の高かった従来のディスカバリーとはかなり性格が変わり、クロスオーバー化された5代目に近い車へ変わっていきます。
そして同時に日本市場では『ディスカバリー4』から『ディスカバリー』へと名称が戻り、タタ傘下のランドローバーによってブランド戦略が改められる事も予感させました。
前期はV8エンジン搭載SUV、後期はV6SCへ更新され4WDもマイルドに
4代目ディスカバリーは、デザイン上3代目からのキープコンセプトに近く、バンパーやフロントグリルなど細部のデザインで見分ける必要があるほど似ています。
ただし中身は大きく変更されており、一見変わらないように見えるヘッドライトはLED化され、最上級グレードのHSEで交通状況に応じて照射範囲を変更するAFS(アダプティブ・フロントライティング・システム)を採用。
エンジンも先代の4リッターV6SOHCや4.4リッターV8DOHCガソリンエンジンから、新開発の5リッターV8直噴DOHCガソリンエンジンへと更新。
新たな燃料直噴メカニズムや可変カムシャフトダイミング機構を得て、出力アップと環境性能向上を両立させました。
それでも基本的には3列シート7人乗りの悪路走破性が高いオフローダーという点に変わりはなかったものの、日本市場では2013年11月に行われたマイナーチェンジで後期型になると、車名変更とともに4WDシステムに手が入れられます。
すなわち副変速機つきトランスファーはオプション扱いとなり、標準装備は副変速機を持たないシングルスピード トランスファーボックスへ変更。
それに伴い『テレインレスポンス』の岩場モードや『4×4インフォメーション』といった悪路走破性に関わる装備もオプション化されました。
これは高度な悪路走破性を求めないユーザー向けに『不要な装備』を撤去し、むしろオンロードでの軽快性につながるような改良で、実際最上級グレードの『HSE』同士ではカタログスペックで30kgも軽量化されています。
しかし価格は据え置きなのが気になりますが、従来の5リッターV8自然吸気エンジン+6ATの組み合わせから3リッターV6スーパーチャージャー+8ATへとエンジンとミッションが全面更新。
あるいはエンジン&ミッションの変更による価格上昇を装備簡略化で防いだかとも思われますが、次期モデルでアルミモノコック化、大型化しながら190kgも軽量化されていることから、あるいはクロスオーバーSUV化への予告じみた変更にも見えました。
主なスペックと中古車相場
ランドローバー LA5N ディスカバリー4 HSE 2009年式
全長×全幅×全高(mm):4,850×1,920×1,890
ホイールベース(mm):2,885
車両重量(kg):2,580
エンジン仕様・型式:508PN 水冷V型8気筒DOHC32バルブ
総排気量(cc):4,999
最高出力:276kw(375ps)/6,500rpm
最大トルク:505N・m(37.2kgm)/3,500rpm
トランスミッション:6AT
駆動方式:4WD
中古車相場:234万~648万円
まとめ
レンジローバーより簡素にして安価ながらも悪路走破性は高いSUVとして販売されてきたディスカバリーですが、モデルチェンジで大幅にグレードアップした内装や、マイナーチェンジでの副変速機オプション化からは、マイルドな高級SUV化が進んだ印象を受けます。
それでもオプションで選択すれば従来通りの頼りになる悪路走破性を選択できましたが、後を継いだ現行モデルではパワートレーンもサスペンションも電子制御化されてボディもアルミモノコック化。
一挙に近代高級クロスオーバーSUVへと変わりました。
それにより、昔ながらの多少重くともタフでパワフルなディスカバリーは、4代目が最後となるのかもしれません。
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