コンパクトな5ドアSUV、それも割と本格的な4WDシステムを持つものとなると案外少ないもので、現在そのジャンルでクロスオーバーSUVしか発売していない日本国内では皆無です。最後となったのはダイハツ ビーゴで、OEM供給していた姉妹車のトヨタ ラッシュともども2016年まで販売されていましたが、海外版のテリオスは新型が販売されており、日本へも導入が期待されています。
掲載日:2018/11/08
ダイハツ テリオス後継車、日本では『ビーゴ』として販売
ダイハツが国内市場でラガーやロッキーの後継となる新型SUV『テリオス』を発売したのが1997年のことで、1999年からはトヨタへのOEM供給を開始して『キャミ』として販売していました。
しかし日本では事実上のベース車であり軽自動車登録の『テリオスキッド』の方がメジャーで、2012年まで販売。
『テリオス』および『キャミ』はさほど存在感を示せませんでしたが、軽自動車規格の関係無い海外市場ではむしろ『テリオス』がメイン。
日本では2005年に東京モーターショーで公開後、2006年1月に車名を『ビーゴ』と変えてモデルチェンジし、トヨタでも同じく『ラッシュ』として登場しましたが、2005年9月のフランクフルトモーターショーで『D-Compact 4×4』としてデビューしたのは海外が先でした。
ビーゴ/2代目テリオスは東南アジアなど新興国のほか、ヨーロッパでもシリオン(日本名『ストーリア』および後継の『ブーン』)やトレヴィス(同・2代目『ミラジーノ』)などと並ぶ主力車種。
2006年には車高を下げて背面スペアタイヤを廃止したコンセプトカー『テリオススポーツ』が、シリオンの1.5リッター版『シリオンスポーツ』と並んで展示されるなど、ダイハツは日本国内とは異なる独自の世界観を海外では築いていたのです。
その後2013年1月をもってヨーロッパでの新車販売から撤退したダイハツは、東南アジアを中心とした新興国向け車種に重点を移し、2代目テリオスおよびトヨタブランド版ラッシュの販売を継続。
日本国内ではダイハツが小型車販売にあまり熱心で無い時期だった事や、トヨタがラッシュを『車高が高いのでアイポイントも高くビックリする、奇抜なコンパクトカー』という形で宣伝した事もあり、SUVとしての魅力を全く発信しないまま2016年3月で販売を終了。
一応トヨタでは小型クロスオーバーSUVのC-HR(2016年12月発売)を後継としましたが、ダイハツ版の後継車は無いままです。
日本でのイメージと裏腹に、先代に続く実力派
日本では『小さな5ドアSUVはテリオスキッドで十分』だった事もあり、先代にあたるテリオスともどもあまりオフロード性能も注目されなかったビーゴ。
しかし、フルモノコックより強固なビルトインラダーフレームを持ち、基本的には軽1BOXのアトレーと同じフルタイム4WDシステムで、Hi-Ro切替を行う副変速機を持たないとはいえ、センターデフロック機構を持つなど、生活4WDより数段上の悪路走破性を持っていました。
それゆえ海外では小型軽量オフローダーとして認められており、バンパーガードやフロアガードなどオフローダーとして実用性の高いパーツが装着されるケースも多く、日本のように『最低地上高が高いだけのコンパクトカー』という扱いではありません。
その日本でも、テリオスキッドの販売終了後は『クロスオーバーSUVのような生活4WDではない5ドアSUV』がビーゴ/ラッシュが最後で、モデル廃止後は皆無となってしまったため、数は少ないながらも必要としているユーザーからの根強い需要が今でもあります。
先代テリオスの場合はテリオスキッドという存在がありましたが、新興国向けミニバンをベースに開発されたビーゴには軽自動車版が無いため、ダイハツがユーザーからの要望にどう答えるかに注目が集まります。
主なスペックと中古車相場
ダイハツ J210G ビーゴ CX 4WD 2006年式
全長×全幅×全高(mm):3,995×1,695×1,705
ホイールベース(mm):2,580
車両重量(kg):1,180
エンジン仕様・型式:3SZ-VE 水冷直列4気筒DOHC16バルブ
総排気量(cc):1,495
最高出力:80kw(109ps)/6,000rpm
最大トルク:141N・m(14.4kgm)/4,400rpm
トランスミッション:5MT
駆動方式:センターデフロック付きフルタイム4WD
中古車相場:36~158万円
まとめ
2016年3月で販売を終了した後、日本国内市場では後継車の無いビーゴですが、海外では2代目『テリオス』として販売していた経緯もあり、2017年11月には3代目へとモデルチェンジし、現在も販売されています。
海外専売モデルですが、インドネシアのアストラダイハツで生産されており、テリオスの名前はまだ引き継がれています。
7人乗り3列シートSUVですが、スペックを見ると『全幅1,695mm』、つまり日本で販売しても5ナンバーサイズに収まるあたりが意味深です。
日本では東京モーターショー2017に3代目テリオスのショーモデル版と思われる『DN MULTISIX』が展示されたほか、1リッターターボと1.2リッターハイブリッドシステムを搭載、つまりFFベースのクロスオーバーSUVと思われる『DN TREC』も展示されました。
『DN TREC』の方がショートボディのため、公表された想定パワーユニットはあくまでショーモデル向けで、実際には3代目テリオスのショートボディ版としてデビューすれば、ビーゴや海外版2代目テリオスのショートボディ版後継になり得ます。
トヨタには既にC-HRがあり、車種整理に入っているタイミングでのOEM供給の追加は控えたい状況なので、少なくとも3代目テリオストヨタ版の日本発売は可能性が薄い状態。
しかし最近のダイハツはトールや3代目ブーンなど小型車の販売にも力を入れており、独自のカスタムモデルを発表している事などから、ビーゴ後継車の登場が期待したいところです。
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