バブル時代のエンスー漫画『GT roman』の作者、西風が当時愛車にしており、作中にもたびたび登場したイギリス製の2ドアオープンスポーツ、MGB。当時から『クラシックスポーツの入門車』と言われ、もう30年近くになりますが、今でも変わらず世界中で多くの人に愛されている傑作です。

掲載日:2018/09/11

MGB  /   © 1998-2018 TOYOTA MOTOR CORPORATION. All Rights Reserved.

 

 

ヴィンテージ・スポーツの入門車、MGB

 

1974年以降のラバーバンパー装着型MGB  / 出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/MG%E3%83%BBMGB

 

第2次世界大戦後、かつての大英帝国が見る影もなく没落したイギリスでは、ミニやモーリス マイナーなど低燃費で実用性が高く走行性能にも優れた大衆車が好まれましたが、その一方で外貨獲得と産業保護のために輸出できる自動車の開発が求められていました。

中でも、ライトウェイト・オープンスポーツは経済的にも西側最強の栄華を誇るアメリカで好まれるところであり、MGAやオースチン ビッグヒーレーなどが好評を得ていました。

そのヒット作MGAの後継として1962年に発売されたのがMGBで、ラダーフレームにオープンボディを載せたMGAに対してモノコック化され、エンジンは(日産でも生産された)オースチン A40 / A50などにも使われた平凡な直4OHVのBシリーズ。

その他、当時のイギリスでは単独での存続が難しくなったメーカーが合併を繰り返していたメリットを活かし、MGを傘下に置いていたグループ内各社のパーツを寄せ集めた形でコストダウン。

その結果、スペックは平凡なものの『安い・軽い・速い・カッコイイ』スポーツカー、MGBが誕生しました。

そして1980年までに52万台も生産される大ヒットとなり、当初想定した北米は元より世界中で愛されるように!!

日本でもバブル時代あたりを境に多数のMGBが、『クラシカルな輸入スポーツカーの入門編』として輸入されています。

もっとも、主要市場のアメリカでの安全基準変更に伴い、1974年以降は鋳鉄製フレーム入りのラバーバンパーを装着するためフロントマスクが一変しており、人気が高いのはそれ以前のモデルです。

また、イギリス製スポーツカーらしく、現在でも通販などで部品の購入が可能なことから、不人気で安く買える1974年以降のモデルをそれ以前のフロントマスクに変更するモディファイなども流行りました。

 

MG-B GT V8など元からバリエーション豊富で改造車も多数!

 

MGB GT V8  / © 1998-2018 TOYOTA MOTOR CORPORATION. All Rights Reserved.

 

MGBは、車名まで変わったMGCやMG RV8を除いて大きく分ければ以下の3タイプになります。

MGB ツアラー:基本的な2ドアオープンスポーツ。通常MGBといえばこれを指す。

MGB GT:1965年に追加された、ファストバッククーペ版。

MGB GT V8:GTにGM由来の3.5リッターV8エンジンを搭載したモデル。

基本的にはツアラー / GTともに1.8OHVエンジンを搭載した2ドア2シータースポーツで、GT V8のみ2+2シーターですが、GT / GT V8はテールゲートを開けば広大なラゲッジ空間が広がるほか、ヘッドスペース確保のためにルーフが高くなっています。

しかし、もともと1.8リッター車に3.5リッターV8エンジンとはバランスが崩れているのでは?と思うかもしれませんが、このGM由来のV8は小型軽量でむしろBシリーズOHVエンジンより軽く、MGBにより軽快かつパワフルな魅力を与えました。

また、本来はGTにしか搭載されないV8ですが、オープンのツアラーにスワップする例も多く、オープン2シーターの『MGB V8』の存在は何ら不思議ではないのです。

何しろ約19年もの間に52万台も作られたので、製造年や販売先の国や地域によってさまざまな仕様、『Mk.〇』など通称が存在する上に改造の対象になることも多く、オリジナルへのコダワリなど、あまり細かいことを気にする方向けのモデルではありません。

製造元からして、後にローバーが『MG』ブランドを手に入れた時、新型スポーツMGFまでのつなぎとしてMGBにV8エンジンを搭載した若干のデザイン変更版をMG RV8として生産しているくらいです。

 

昔も今もモータースポーツで活躍!

 

モノクロですが2015年の光景。今でも世界中で多くのMGBがこうして現役レーサーに。 / Photo by Adam Singer

 

MGBは、1960年代にMGを傘下に置いていたBMCのワークス活動によってル・マン24時間レースやモンテカルロ・ラリーなどメジャーなモータースポーツイベントに参戦。

1965年のブランズハッチ1000マイルレース、1966年のマラソン・デ・ラ・ルート84時間耐久などで優勝した記録が残されています。

この結果は、小型軽量で燃費に優れた耐久向けマシンという意味では、ポルシェ914やトヨタ スポーツ800に通じるものがあり、MGBを所有しステアリングを握る者に夢を与えてくれました。

そして現在でもクラシックカーレースでは多くのMGBが現役で走っており、最新のサーキットでありながら1960年代のレースシーンを思い起こさせる光景が、アメリカやヨーロッパでは多数見られ、大ヒット作のMGBは今でのサーキットの常連マシンと言えます。

 

主なスペックと中古車相場

 

MGB  / © 1998-2018 TOYOTA MOTOR CORPORATION. All Rights Reserved.

 

MG B 1962年式

全長×全幅×全高(mm):3,890×1,520×1,250

ホイールベース(mm):2,310

車両重量(kg):910

エンジン仕様・型式:Bシリーズ 水冷直列4気筒OHV8バルブ

総排気量(cc):1,798

最高出力:70kw(95ps)/5,500rpm

最大トルク:144N・m(14.7kgm)/3,500rpm

トランスミッション:4MT

駆動方式:FR

中古車相場:98万~378万円

 

まとめ

 

MGB  / © 1998-2018 TOYOTA MOTOR CORPORATION. All Rights Reserved.

 

約30年前の1990年前後あたりでもMGBと言えば『ちょっと古い傑作スポーツカー』でしたが、まさか2018年になっても『結構古い傑作スポーツカー』として、バリバリに現役で走っている事には驚かされます。

もっとも、その頃の最新スポーツがヘタをすると2018年でも第一線マシンとしてモータースポーツの最前線で活躍している例(ホンダEF8型CR-Xなど)もあるので、趣味性の観点から言えば自動車は、あまり進歩していないのかもしれません。

むしろMGBやロータス エランのようなライトウェイトオープンスポーツなどは、1989年に発売されたマツダ ロードスターで人気が再燃してしまった程なので、30年後には初代NAロードスターが同じような評価を受けてい事も想像できるぐらいです。

 

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