プリンス スカイラインGTは、1965年2月に発売されたクルマです。当時は日産と合併する以前のプリンス自動車工業が販売しており、S54A-3型とS54B-3型がありました。今回ご紹介するのは、S54AをS54B仕様にチューンした1台です。
掲載日:2020/02/29
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プリンス スカイラインGT S54AからS54B仕様へ
プリンス スカイラインGTは、プリンス自動車工業が1965年から1968年にかけて販売していた車です。
プリンス スカイラインGTにはS54A-3型とS54B-3型とがありましたが、今回、ご紹介するのはS54AをS54B仕様に改造した車です。
ナンバープレートが新しいように見えますが、購入してから5年ほどが経過しているとのこと。
このプリンス スカイラインGTはもともと解体同様状態だった車体を、オーナーがレストアして、ここまで復元したのだそうです。
この話だけでも、愛車に対するオーナーの愛情が伺えますが、その後S54B仕様にチューンしたというのだから、その熱意は計り知れません。
ホイールはPanasport Racingのものに交換され、ディスクブレーキもBNR32のものへと変更されています。
しかし、オーナーの話によると、そんなにガチガチに走っている車というわけではなく、あくまで“そこそこ走っている車”だそうです。
内装はCOBRA仕様のバケットシートが使われている以外は、基本的に純正のまま。
しかし非常にきれいな状態が保たれており、ドアの内張りには傷や汚れは見当たりません。
エンジンルームを覗くと、直列6気筒の“G型エンジン(G7)”がお出迎え。
このG型エンジンはプリンス グロリアと同様のものであり、排気量は2,000ccとなっています。
また、このプリンス スカイラインGTはS54AをS54B仕様にチューンしたものなので、シングルキャブレター(気化器)から、きちんとウェーバーの3連キャブレターに変更されています。
また、よく見るとエンジンルーム内のプレートには「日産自動車」と書かれていますが、これは盗難を防ぐための仕様。
現在、プリンス自動車工業は存在していないので、盗難防止のためにプレートが交換されているというわけです。
ただ、あとからプレートを取り替えた都合上、表記されているスペックが実際のものと違うそうで、たとえば最高馬力とエンジン回転数がプレートでは「105PS/5200RPM」と書かれていますが、実際は115ps。
1964年当時、このスカイラインGT(S54A-1型)は100台制作され、第2回日本グランプリでポルシェ904と激闘を繰り広げたことでも有名です。
第2回日本グランプリでのスカイラインGTのドライバーは、前年の日本グランプリで苦汁を舐めさせられた生沢徹氏で、式場壮吉氏が駆るポルシェ944を一度はオーバーテイクするものの、実力の差を埋められずに敗退しています。
しかし当時の西ドイツの最新鋭のスポーツカーを追い詰め、一度は首位に立ったということは、当時レースを観戦していた多くの観客の心に残ったことでしょう。
エンジンをかけてもらうと、その吹き抜けるような爽快な音とともに3連キャブレターが作動します!
オーナーによると、乗っているときにこのエンジン音を聞くのが気持ちよく、シフトアップをしても、きちんと音とともに加速してくれるそうで、走っているときはついつい回転数を上げてしまうのだとか。
ちなみに同じスカイラインGTでマフラーを替えていなくても、当時はひとつひとつ手作りでエンジンが組まれていたので、個体によっては微妙に違うエンジン音がするそうです。
オーナーが、愛車にこのプリンス スカイラインGTを選んだ理由は、「小さい頃から車が好きで、スカイラインGTに憧れがあったから」だそうです。
お気に入りのポイントは、のちのハコスカの原型である点だとのことでした。
まとめ
オーナーは、オーナーズクラブ主催のイベントについても、「古い車に乗っている人の話が聞けたり、その人の愛車を見ることができるのが楽しい」と、その魅力についても話してくれました。
同じ趣味を持つ仲間たちと出会えることが楽しいというのは、多くの人が共感できるポイントではないでしょうか。
また、オーナーにとっての車の魅力はエンジン音にあるそうで、ご自身の好きな車もやはりエンジン音が良いものが多いそうです。
プリンス スカイラインGTのように、旧車には今の車にはない独特のエンジン音が魅力という車が多くあります。
今後も、このオーナーがプリンス スカイラインGTの、今の車からは失われたエンジンの鼓動を聞きながら、長く愛車とともに歩んでいく姿が浮かびます。
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