現在は日本国内で悪路走破性の高いSUVを販売していないダイハツですが、かつては小型オフローダーにもっとも熱心なメーカーのひとつでした。そして、5ドアコンパクトオフローダーは1990年代後半から2010年代半ばまでトヨタにも供給していましたが、その第1陣がテリオスです。

掲載日:2018/12/19

ダイハツ・テリオス / 出典:https://www.favcars.com/daihatsu-terios-eu-spec-2000-05-pictures-104142-800×600.htm

ラガーやロッキーの魂を受け継ぐ小型オフローダー、テリオス

 

ダイハツ・テリオス/  出典:https://www.favcars.com/photos-daihatsu-terios-eu-spec-2000-05-104140-800×600.htm

 

軽自動車、あるいはコンパクトクラスで悪路走破性の高いヘビーデューティー4WDと言えば、ジムニーを擁するスズキ、パジェロミニなどを販売していた三菱が記憶に新しいところですが、タフト(1974年発売)以来、ダイハツも小型オフローダーには熱心でした。

しかし、ジムニーほどマニア受けせず、パジェロミニなどパジェロシリーズのコンパクトオフローダーほど一般受けしなかったという意味では日本市場で今ひとつ存在感が薄かったのは確かですが、新興国での評価は高く、今でもダイハツの小型オフローダーは海外で販売されています。

ちなみに、日本市場で影が薄くなってしまった原因は、ズバリ1980年代のRV(レクリエーショナル・ビークル)ブームに乗り遅れてしまったからなのですが、それでも地道に販売されていたラガーやロッキーの後継車として1997年4月に登場したのがテリオスです。

当時のダイハツは軽自動車の新規格化(1998年10月)に伴う新型軽自動車、およびそれをベースにして先行発売するコンパクトカーを開発しており、コンパクトカーの方は多くがトヨタでも販売されました。

【1990年代末~2000年代はじめのダイハツ→トヨタOEM】

ストーリア→デュエット

テリオス→キャミ

アトレー7→スパーキー

※YRVとハイゼットグランカーゴはOEM供給せず

 

基本はテリオスキッドの拡大版、強烈な1.3リッターターボもあり

 

ダイハツ・テリオス / Photo by RL GNZLZ

 

テリオスは基本的に、軽SUVのテリオスキッド(1998年10月発売)とほぼ共通のプラットフォームを使い、コンパクトカー用エンジンと軽商用車のハイゼット系から流用した駆動系に若干手を加えたものを組み合わせた小型SUVです。

テリオスキッドのリアオーバーハングを延長して荷室を拡大。

オーバーフェンダーで全幅とトレッドを拡幅し、前後バンパーなどもそれに応じてテリオス専用となっています。

発売こそテリオスの方が早かったものの、実際にはテリオスキッドありきという面で後のビーゴ(トヨタOEM版はラッシュ)とは異なり、車内寸法は荷室を除けば軽自動車サイズ。

エンジンはハイゼットの海外版ゼブラに搭載されていたのと同じ系統の1.3リッターHC-EJを搭載していましたが、2000年に新世代1.3リッターエンジンのK3-VEが登場すると、それに変更されました。

さらに量産車用としてはYRVとテリオス / キャミにしか搭載しなかった140馬力の1.3リッターターボのK3-VET搭載グレード『ターボエアロダウンカスタム』もラインナップしていますが、ダイハツ製ミッションの容量不足でMTの設定は無く残念ながら4ATのみ。

駆動系はサードパーティ製のテリオス用機械式リアLSDをハイゼット(S100系以降)と共用できたほか、『ダイレクトトラクションLSD』と呼ばれるメーカーオプションのLSDもありました。

また、4WDシステムはフルタイム4WDなもののセンターデフロックが可能ですが、ラダーフレーム式ではなくモノコックボディである事などから、同時期のジムニーシエラやパジェロJrのような本格的なオフローダーではありません。

しかし5ドアで走破性の高いコンパクトオフローダーが意外と無かったこともあり、テリオスキッドと共に『どうしても狭く険しい道で5ドア車が欲しい』という用途では重宝されました。

 

オフロードイベントやジムカーナを走ったテリオス

 

ダイハツ テリオス  / 出典:https://www.favcars.com/images-daihatsu-terios-uk-spec-2000-05-45560-800×600.htm

 

ラガーやロッキーとは異なり、海外ラリーなどにあまり縁の無かったテリオスですが、ダイハツ車やトヨタOEM車によるオフロードイベント『ダイハツ4WDフェスティバル』などには参戦。

マッドタイヤとロングストロークサスで最低地上高を上げたテリオスも、他のダイハツオフローダーに混ざってオフロードコース走破のタイムアタックなどに参加していました。

また、当時は『縦置きエンジンでパワフル、コンパクトな小排気量ターボ』が枯渇していたこともあり、チューニング誌の企画でターボエアロダウンカスタムをベースにFR化&車高をペタペタにした『テリオスR』なるFRターボのカスタムカーが登場。

ダイハツ車専門のジムカーナ大会『ダイハツチャレンジカップ』関東戦などにも出場して、ギャラリーを沸かせています。

しかし、残念ながらミッション容量の問題でターボのMT化ができず4ATのままゆえ、ドリフトまで思いのままとはいきませんでしたが、後の『テリオスやテリオスキッドのパワートレーンを使えば、コンパクトFRにするのは容易な改造で実現可能なのでは?』という元ネタになりました。

なお、無理してテリオスターボ用のエンジンをアトレー7のMT車に移植した人がいましたが、アッという間にミッションブローしてしまったと言われています。

 

主なスペックと中古車相場

 

ダイハツ テリオス / 出典:https://www.favcars.com/wallpapers-daihatsu-terios-s-2000-05-395979-800×600.htm

 

ダイハツ J102G テリオス ターボエアロダウンカスタム 2000年式

全長×全幅×全高(mm):3,815×1,555×1,740

ホイールベース(mm):2,420

車両重量(kg):1,090

エンジン仕様・型式:K3-VET 水冷直列4気筒DOHC16バルブ ICターボ

総排気量(cc):1,297

最高出力:103kw(140ps)/6,400rpm

最大トルク:177N・m(18.0kgm)/3,200rpm

トランスミッション:4AT

駆動方式:4WD

中古車相場:20.9~33万円

 

まとめ

 

ダイハツ・テリオス / Photo by Vetatur Fumare

 

トヨタOEM版のキャミや軽自動車版のテリオスキッドともども『5ドアコンパクト4WDオフローダー』として希少な存在だったテリオスですが、やはり軽自動車ベースゆえの車内スペースの制約は厳しかったようです。

また、テリオスキッドが2012年までの長きにわたり販売されたのとは対照的に、テリオスは一足早い2006年1月に販売を終了。

後継のビーゴは最初から軽自動車枠を大きく超えて作られ、軽自動車版は存在しませんでした。

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