自分の愛車は車高を下げたらカッコよくなるだろうな。そう思って車高調を選んでみたり、ローダウンした姿を想像し、楽しんでいる方もいるのではないでしょうか。現在の車検では一定の範囲内で車高を下げること自体に問題はないのですが、実はよく言われる「最低地上高9cm」というルール以外にも、満たさなければならない基準が存在します。そんな車高にまつわる車検のルールを詳しくご紹介します。
最低地上高9cmでは車検に合格しない車がある?
車高を下げるときに「最低地上高9cmあれば大丈夫だよ」と言われた方も、多いのではないでしょうか。
しかし、実は最低地上高9cmでは、車検に通らない車両が存在します。
保安基準第3条第2節第85条「最低地上高」の項によると『軸距間に位置する自動車の地上高は、次式により得られた値以上であること』とされており、ここには難しい数式が記載されているのですが、この計算を元に最低地上高を割り出すと、「ホイールベース3000mm以上の車両は、最低地上高10cm」という結果が出てきます。
そもそも、最低地上高を確保する理由は、下回りを擦ったり、踏切などで下回りが接触してタイヤが浮いて動けなくなる(いわゆる亀状態)ことがないようにするため。
すべての車が最低地上高9cmでOKという法律では、ありません。
ちなみにホイールベース3000mm以上の車両は、トヨタ ヴェルファイアやアルファード(AGH30他)、グランエース(GDH303)、レクサスLS(VXFA50)などです。
このような車両でローダウンを行う場合は、最低地上高10cmを確保しなければならないということに注意しましょう。
ウインカーとフォグにも制限がある?
実は最低地上高以外にも、ローダウンをする際には制限があります。
2006年(H18年)以降に生産された車両は、ウインカーは35cm以上、フォグランプは25cm以上でなければ車検に適合しません。
この規定にひっかかってしまいやすいのが、ローダウンした姿が似合うであろうトヨタ86(ZN6)前期型です。
最低地上高9cmまで下げる前にウインカーが35cmを下回ってしまうため、実際には20mm程度しか下げられません。
BRZ(ZC6)もフォグ付きグレードの場合は、注意が必要です。
その他、意外な車両がこの制限にひっかかることもあるので注意してください。
もちろんスプリングの遊びは車検不適合です
最近は車高を下げる手段として車高調が主力となりつつあり、適合車種も軽自動車からワゴンまで、色んな車種がローダウン可能となっています。
車高調の中でも主流となりつつある全長調整式は、ショック全体の長さとスプリングのプリロードを別々に調整できるので、スプリングを遊ばせる理由がほとんど見当たりませんが、ネジ式などの車高調の場合は、ジャッキアップした時にスプリングが遊んでいる状態は車検不適合です。
まとめ
ローダウンする際の車検に関する注意点で、最低地上高9cmという点以外を知らなかったという方も、多いのではないでしょうか。
ウインカーとフォグについても制限があったり、最低地上高が10cmまでしか下げられないクルマがあるなど、実は車検に関するローダウンは複雑です。
自分の車はキチンと車検に通るかわからない場合は、得意なショップや販売店などに相談しましょう。
とはいえ車検には通る車高でも、ローダウン状態では下回りを擦ってしまったり、輪留めにフロントバンパーがぶつかってしまったりすることがあるので、自分の生活にあった高さにするのが良いと思います。