私たちの車の足元をしっかりと支えてくれているのが「タイヤ」。普段ドライブしている時には、その重要さをあまり気に留めていないかもしれませんが、実際はクルマを構成するパーツの上で最も重要なものです。今回は知っているようで知らないことも多い、タイヤについておさらいしてみます。
※今回はクルマ・タイヤについて、あまり詳しくない方向けの内容となっています。知識が豊富な方にとっては「当たり前」と思う内容ばかりになっていますが、ご了承ください。
そもそも「ラジアル」タイヤってどんなタイヤ?
現在市販されている乗用車向けタイヤは、ほぼ、「ラジアルタイヤ」です。タイヤのサイドウォール(側面)に「RADIAL」と書いてあるのを見たことがある方も多いと思います。
一昔前、ラジアル構造が普及するまで用いられていたのが、バイアス構造のタイヤ、「バイアスタイヤ」でした。
ラジアルタイヤとバイアスタイヤって何?という疑問をまず解消しましょう。
それぞれの和訳がこちら。
RADIAL:放射状の
BIAS:(布地の裁ち目・縫い目の)斜線
この言葉の通り、二つのタイヤは、内部の構造が異なります。
タイヤの内部には、カーカスと呼ばれる骨格になる素材が使用されているのですが、このカーカスが中心から見て放射状に配置されているか、斜めに配置されているかが、二つのタイヤの大きな違いなのです。
ラジアルタイヤは、カーカスだけではトレッド面(地面と接地する面)の強度が不足する為、補強するためにベルトと呼ばれる素材を巻き付けています。
それにより、バイアスタイヤと比べ乗り心地の面やサイドウォールの強度には劣るものの、たわみや摩耗に強く、走行性能も安定している為、広く普及するに至たったのです。
タイヤはどういう役割を担っているのか
タイヤは、地面と唯一接している車のパーツです。
4輪で車重の全てを受け止め、発進や停止といったドライバーの操作を正確に実施する役割を担っています。
「ハガキ1枚分」というフレーズがブリヂストンのCMにもありましたが、これは、タイヤ1輪あたりの接地面積のこと。
実際には、タイヤの溝部分は接地していないので、有効接地面積は、更に小さくなるのです。
この小さな面積で、普通車で約1000kgを超える重量を支えなければならいことからも、タイヤの重要性は計り知れません。
実際には1G状態(車が静止した状態)だけでなく、走行時の荷重変化によって発生する、より大きな入力に対しても、出来る限り摩擦力を発揮し、滑らないような性能が求められます。
また、そういった入力に対して、壊れない構造であることや、緩衝機能も有さなければならず、タイヤは安全性が何より求められるのです。
トレッドパターンの意味とは
トレッドパターンとは、トレッド面に刻まれた、溝(グルーブ)のこと。
基本的に、溝が無い法がグリップすることは、レースなどで使用されるスリックタイヤ(溝のないタイヤ)を見れば明らかです。
しかしながら、公道でスリックタイヤを使用することは道路運送車両法で禁止されているのです。
何故禁止されているのでしょうか。
それは、路面がぬれている時に排水性が確保できないからなのです。
しかしながら、むやみやたらに溝を刻んでしまうと、運動性能の低下や、パターンノイズと呼ばれる騒音の発生など、弊害が発生してしまいますので、タイヤメーカーは、各社それぞれ研究に研究を重ね、最適なトレッドパターンを模索し、開発しています。
ここでいう最適とは、その車が目指す方向性によって異なります。
スポーツ性能を高めるのであれば、溝は少なく、左右へのステアリング操作によってトレッド面がヨレないように、ブロック(溝で囲まれた島状の部分)を大きくします。
静粛性を高めるのであれば、溝を細くしたり、はたまた排水性を高めたければ溝を太くしたり…と、相反する性能も両立すべく、トレッドパターンは刻まれているのです。
これは、タイヤにとってもっとも重要な仕組みの一つなのです。
タイヤを選ぶときは、そのタイヤに刻まれた溝を見ることで、どのような機能を重視したタイヤなのかで決めるのもいいかもしれません。
コンパウンドとは
もう一つ、タイヤの命とも言えるものが、コンパウンドです。
これは混合物の意味で、タイヤにおいてはトレッド面に使用される複合ゴムのことを指します。
コンパウンドは、ゴム(天然ゴムや合成ゴム)に添加物を混ぜたものからできていて、添加物は、カーボンブラックという炭素の微粉末や、油などを配合しています。
ちなみに、タイヤが黒いのはこのカーボンブラックが原因です。
カーボンブラックを使うと、ゴムの強度が飛躍的に向上し、それを代替するものは現在に至るまで発明されていません。
そのため、タイヤはごく稀にある製品や試作品を除き、黒いのです。
そして油も重要です。
コンパウンドの柔軟性を保つ為などに配合されている油は、紫外線や熱などによって、徐々に劣化、もしくは抜けていきます。
数年たってひびが入っているタイヤなどは、完全に劣化している状態なのです。
この状態では、タイヤが固く、適切なグリップ力を発揮できないだけではなく、エア漏れや最悪の場合バーストすることもあるので要注意です。
タイヤのコンディションは、十分注意する必要があるのです。
そしてエコタイヤであれば、転がり抵抗を低くするために硬めのコンパウンドに、ハイグリップタイヤであれば、逆に柔らかめのコンパウンドに、といった風に、配合によってタイヤの性質を変えています。
タイヤ表記の読み方
タイヤのサイドウォールを見ると、そのタイヤの情報が記載されています。ご存じの方も多いでしょうが、ここでおさらいしておきましょう。
タイヤサイズについての表記は、以下のような形で表示されています。
235 / 45 R 17 94 W
上記の場合、
235:タイヤ幅(mm)
45:扁平率(タイヤ幅に対する高さの比率)
R17:(ラジアル)インチ
94:ロードインデックス ※1
W:速度記号 ※2
※1:タイヤ1本で支えることのできる最大負荷能力の指数。94の場合、負荷能力は670kg。
※2:規定の条件下でそのタイヤが走行できる最高速度。Wの場合、270km/h。
製造年周は、数字4桁で表現されており、「1410」という表記の場合、2010年の14週に製造されたタイヤになります。
UTQG
もう一つ、タイヤに記載されている情報で重要なものを紹介しておきます。
それはTQGです。
これは、統一タイヤ品質等級基準という、アメリカで販売するタイヤに表示義務のある表記ですが、ほとんどの国産タイヤにも刻印されています。
以下、三つの項目があります。
Treadwear:摩耗寿命。基準を100とし、数字が大きいほど寿命が長い。200の場合、100の2倍の耐摩耗性となります。
Traction:ウェットコンディションでの制動能力。AAが最高で、AA、A、B、Cがあります。
Temperature:熱を放散させるタイヤの能力。Aが最高で 、B、C があります。
タイヤのグリップ力が気になる方が特にチェックしたいのは「Treadwear」。
この数値はあくまで耐摩耗性(耐久性)を表しており、ドライグリップ力を示しているわけではありません。
しかしながら、一般的に柔らかいタイヤのほうが耐摩耗性が低く、グリップ力が高い傾向にあるのです。
実際に、ハイグリップタイヤはTreadwearが小さい傾向に、コンフォートタイヤは大きい傾向となっています。
そのため、UTQGにより、そのタイヤがどの程度の耐久性を持つかを知るとともに、そのタイヤの傾向を知ることが出来ます。
ただし、タイヤの性能はモデルが新しくなる度に向上しており、比較的高い耐久性を持ちつつ、高いグリップ力を発揮するタイヤもありますので、色々と調べてみるのもいいかもしれません。
重さも重要
「バネ下荷重」という言葉を聞いたことはありませんか?
サスペンションのバネ以降、タイヤまでの総重量を指します。
ここを1kg軽くすると、バネ上重量を10~15kg軽量化することと同等の効果があるといわれています。
よく、軽いホイールをチョイスする方は見かけますが、意外に見落としがちなのがタイヤの重量。
タイヤによっては、コンパウンドはグリップ力の高い性質のものを使っているにもかかわらず、重量が重いために、総合的な運動性能としてはそれほど高くないケースもあります。
高価なハイグリップタイヤは、コンパウンドやトレッドパターンだけでなく、内部の構造についても極力軽い素材を使った上で剛性を確保している為、軽量化している場合が多いのです。
また、インチアップする場合も注意が必要で、ホイールサイズの拡大による重量増加だけでなく、タイヤの重量も増加します。
一説によると、1インチアップするごとに、1kg程度の重量増加が発生するという話もあり、結果として運動性能が低下する可能性もあるのです。
タイヤを選ぶときには、その重量も気にしてみるといいかもしれません。
まとめ
各メーカー共に性能向上にしのぎを削っている為、カタログには素晴らしい性能が謳われています。
もちろん、それに間違いはないのですが、必要な性能はカタログには表れていない場合もあるのです。
自分が求めるタイヤはどういったものかを考えた上で、それぞれのタイヤの情報を収集し、改めて見てみることで、最適な商品を選ぶことが出来るはずです。
タイヤの事を詳しく知ると、次のタイヤ選びが楽しみになりますね!
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