ホンダは2018年12月14日(金)に、ハイブリッドモデル『インサイト』の新型モデルを発売しました。新型インサイトはi-MMDハイブリッドシステムを採用し、低燃費とパワフルな動力性能を実現。5ドアハッチバックだった旧型から大きく方向性を変え、上質感漂うセダンに変貌しました。そんな新型インサイトは、トヨタ プリウスだけでなく世界中の自動車メーカーのミドルセダンすべてに対抗する先進ハイブリッドカーとなっています。

 

© Honda Motor Co., Ltd.

 

新型ホンダ・インサイトが高級感あるセダンになって復活

 

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ホンダは4年ぶりにハイブリッド専用モデル『インサイト』を復活させました。

初代インサイトを登場させた時から最大のライバルをトヨタ プリウスとしていましたが、プリウスの圧倒的な販売台数と存在感に敗北し、生産を終了しています。

今回も打倒プリウスを謳ったモデルだと思われますが、新型インサイトは高級感を引き出したミドルクラスのセダンへと変化を遂げました!

ファミリーカーではなく大人びたスタイリッシュなクルマという雰囲気で、まるでプリウスと同クラスとは思えない完成度です。

他のハイブリッドモデルと比べてもトップクラスのパワーと燃費性能で、燃費値こそプリウスと並ぶレベルとまではいかないものの、パワートレインのメカニズムや安全性能、内装の高級感を見れば、世界中のDセグメントセダンを相手にできる内容となっています。

 

歴代モデルから振り返るホンダ・インサイトとは

 

ホンダ初代インサイト / © Honda Motor Co., Ltd.

 

ホンダ2代目インサイト / © Honda Motor Co., Ltd.

 

インサイトはホンダが生産・販売するハイブリッド専用車で、初代は1999年に登場しました。

1997年開催の東京モーターショーでコンセプトカー『J-VX(バリューXライトスポーツ)』が公開され、1999年9月6日に実車を発表。

同年11月1日に初代インサイトが発売されました。

車体構造は量産車としては異例のアルミで作られ、燃費を稼ぐために軽量化が施されています。

また、ホンダCR-Xを彷彿させる3ドアハッチバッククーペの2人乗りで、ファミリーカーというよりスポーツカー。

かなりコストをかけたにも関わらず販売価格は210万円と、同時期に販売された初代トヨタ プリウスが215万円だったため、ライバルを意識した価格設定で作れば作るほど赤字を生み出すというホンダの歴代モデルの中でもエポックメイキングなクルマした。

しかし、赤字を生み出すクルマとはいえ2006年7月までの約7年間は生産され、全世界で約1万7,000台が売られています。

そして約3年後の2009年2月6日には、5人乗り5ドアハッチバッグの2代目インサイトが登場。

車体の形やコンセプトからしても明らかにトヨタ プリウスに対抗すべく開発されたモデルでした。

燃費値はJC08モードで27.2km/リッターを達成し、当時の2代目プリウスの燃費値29.6km/Lには劣るものの、ベースモデルが189万円から購入できるという安価な価格設定が注目され、2009年4月度の販売台数が10,481台を記録し月間販売台数第1位を獲得。

発売直後から記録的なセールスを達成するものの、2009年5月にトヨタ プリウスの3代目モデルが登場したことにより、人気を再びプリウスに奪われてしまいます。

また、コンパクトカーのホンダ フィットをベースに開発された『フィットハイブリッド』の販売が好調だった事もあり、2代目インサイトは次期モデルが投入されることなく2014年2月生産終了となりました。

 

外装・内装の質感はまさに高級車!安全性能にも抜かりなし

 

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新型インサイトの開発キーワードは『PRIME』とされており、シンプルでありながら上質で時代に流されない本質的な魅力をもつクルマにすることが最大の目標。

そのため、プリウスのライバルであることは全く意識せずに開発が進められたそうです。

外装と内装の設計を見ても旧型インサイトやプリウスとの共通点をほとんど見つけることができず、見れば見るほどプレミアムセダンという見方から抜け出せなくなるほど高級感あるセダンに!

特に外装では低くワイドな車体にフロントグリルのバーの1本1本が鋭い光沢を放ち、刀身の美しさを思わせる光のコントラストを生み出しています。

 

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車内は、旧型インサイトからは想像できないほどシンプルで上質感があり、助手席側のインパネやセンターコンソールのアームレストはミシン目の緻密な縫製を施した素材が採用され、本革巻ステアリングホイールは全タイプ標準装備。

電子制御パーキングブレーキ、オートブレーキホールド機能、カーナビ、ETC2.0、USBソケット、フルオートエアコンも標準装備という豪華な仕様となっています。

 

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また、ホンダ独自の10種類の危険を予防する安全装備『Honda SENSING』も全グレード標準装備。

他に、ドライバーの居眠り運転や不注意運転を、ディスプレイ表示や音とステアリングの振動で注意喚起させる『ドライバー注意力モニター』や、万が一歩行者と衝突しても歩行者の頭部衝撃を低減させる『ポップアップフードシステム』なども標準装備され、対歩行者に対する安全への気配りも抜かりはありません。

 

パワートレインにホンダ・ハイブリッド技術の極み『スポーツハイブリッドi-MMD』を採用

 

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新型インサイトのハイブリッドシステムは、ホンダが注力している2モーターハイブリッドシステム『スポーツハイブリッドi-MMD』を採用。

これは現在、クラリティPHEVやアコード、CR-Vにも搭載されている技術です。

2つのモーターは発電用と走行用に分かれ、『EVドライブモード』、『ハイブリッドドライブモード』、『エンジンドライブモード』の3モードがシームレスで使い分けられ、乗用域から高速クルージング、スポーツ走行まで最適なモードに自動で切り替えられます。

エンジンはクラリティPHEVに搭載される1.5リッター直列4気筒DOHC16バルブエンジンが搭載され、ホンダ車のほとんどに使われているi-VTECやアトキンソンサイクル以外に、燃焼効率向上とメカニカルフリクションを低減させるための改良も施されています。

これにより最大熱効率が40.5%まで引き上げられ、モーターやバッテリーのみならずエンジン本体もパワーアップ。

低燃費にも大きく貢献しています。

また、燃費値はJC08モードで31.4~34.2km/リッターとなり、プリウスほどではありませんがエンジンとモーターのパワーで比較すればインサイトのほうが勝るため、高級感や走行性能で選ぶのであれば、プリウスよりも新型インサイトをおすすめしたいところです。

ホンダ新型インサイト トヨタ・プリウス
最高出力(kW[PS]) エンジン:80[109]
モーター:96[131]
エンジン:72[98]
モーター前:53[72]
モーター後:5.3[7.2]
最大トルク(N・m[kgf・m]) エンジン:134[13.7]
モーター:267[27.2]
エンジン:142[14.5]
モーター前:163[16.6]
モーター後:55[5.6]

 

シャシーはシビックと同じ『グローバルプラットフォーム』

 

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プラットフォームは、シビックと同じ『グローバルプラットフォーム』を採用し、軽量・高剛性・低重心・低慣性をコンセプトに低重心でキビキビとした走行を目指して設計されています。

ボディには荒れた路面を走行した時のショック吸収性や静粛性を上げるためにハイテン材(高張力鋼板)をいたるところに使用し、振動の低減のために吸音材や遮音材も積極的に配置。

シビックよりも上質な乗り心地を目指して改良され、キビキビした走りが持ち味のシビックに対し新型インサイトはプレステージ性を高められ、シャシーチューニングの方向性からもシビックよりワンランク上のモデルとなった事は明確です。

 

インサイトのカスタムは最高速キラーと大手カスタムパーツメーカーが注力する?

 

 

スポーツカーにもハイブリッドが搭載されることが当たり前になってはきましたが、インサイトに関しては最高速を狙ったり、サーキットのスポーツ走行には疎遠のモデルと思う方が多いと思います。

しかし、それを覆すようにインサイトのチューニングに力を入れているのが、GT-Rやスープラの最高速チューンで有名なチューニングショップ『トップシークレット』です。

トップシークレットは2代目インサイトにNOSを搭載するという過激なチューニングを行い、雑誌で取り上げられて話題となりました。

また、自動車カスタムパーツの最大手とされるHKSもインサイトのカスタムに積極的で、ECUやエアフィルターだけでなくボルトオンのスーパーチャージャーを販売しています。

こうなれば、新型インサイトのカスタムにもトップシークレットやHKSが着手することに期待大。

プリウスよりもハイパワーであることを考えれば尚更ではないでしょうか。

これから、どんなチューニングをされた新型インサイトが出てくるのか、楽しみです。

 

新型ホンダ・インサイトのスペック/燃費/価格

 

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スペック

ホンダ新型インサイト
LX/EX/EX・BLACK STYLE
車体型式 ホンダ・6AA-ZE4
全長×全幅×全高(mm) 4,675×1,820×1,410
ホイールベース(mm) 2,700
客室内寸法 長さ×幅×高さ(mm) 1,925×1,535×1,160
乗車定員(名) 5
乾燥重量(kg) LX:1,370
EX/EX・BLACK STYLE:1,390
駆動方式 FF
エンジン エンジン種類 水冷直列4気筒DOHC4バルブ
排気量(cc) 1,496
ボア×ストローク(mm) 73.0×89.4
圧縮比 13.5
最高出力(kW[PS]/rpm) 80[109]/6,000
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) 134[13.7]/5,000
モーター 電動機種類 交流同期電動機
最高出力(kW[PS]/rpm) 96[131]/4,000~8,000
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) 267[27.2]/0~3,000
トランスミッション CVT
タンク容量(ℓ) 40
タイヤサイズ前/後 LX:215/55R16 93V
EX/EX・BLACK STYLE:215/50R17 91V

 

燃費性能

EX/EX・BLACK STYLE LX
JC08モード(km/リッター) 31.4 34.2
WLTCモード(km/リッター) 25.6 28.4
市街地モード(WLTC-L) 22.8 25.8
郊外モード(WLTC-M) 27.1 29.7
高速道路モード(WLTC-H) 26.2 28.8

 

価格

グレード 価格
EX・BLACK STYLE 3,628,800円
EX 3,499,200円
LX 3,261,600円

 

まとめ

 

近年のホンダはセダンのラインナップを増やしており、国内向けだけでも新型インサイトを含めて6車種にものぼります。

そんなホンダセダン軍団の中で、新型インサイトはアコードとシビックの中間モデルに位置します。

シビックにハイブリッドがないことを考えれば、シビックサイズの高級ハイブリッドセダンがほしい消費者を狙うことができ、アコードよりも約60万円安く購入できる事は十分に魅力的です。

ホンダ製セダンの中では、国内市場で最も販売台数を伸ばせるモデルになる可能性も高いのではないでしょうか?

セダンであるがゆえに、新型インサイトの月間販売目標は1,000台と弱気な設定数値に思えますが、流行りや時代に流されずホンダが良いと思ったクルマ作りを表現した新型インサイトは、消費者の目にどう映るのか楽しみです。

 

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