2018年10月から、新型ジープ ラングラーの日本での販売が開始されました。元祖クロスカントリー4WDといえるジープ ラングラーは、オリジナルのスタイルを残した外装に対し、中身は旧型とは全くの別物と言っていいほど。なんと言ってもクライスラーがFCAグループの傘下になってから初のフルモデルチェンジであるため、歴代ラングラーの中で最大級の技術改良がなされています。
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スタイル変わらず中身を大改造!ジープ新型ラングラー日本発売
ジープ新型ラングラーが、日本への上陸を果たしました。
そんな新型ラングラーには新たなコードネーム『JL』が与えられ、日本に導入されるモデルは『スポーツ(Sport)』『アンリミテッド スポーツ(Unlimited Sport)』『アンリミテッド サハラ ローンチエディション(Unlimited Sahara Launch Edition)』の全3モデル。
その中でスポーツは2ドア4人乗りの受注生産モデルで、4ドア5人乗りのアンリミテッド サハラ ローチンエディションと同じ、3.6リッターV型6気筒DOHCエンジンを搭載しています。
また、アンリミテッド スポーツはラングラー史上初の、直列4気筒DOHCターボを搭載した4ドア5人乗りモデル。
新型ラングラーの登場は、元祖クロスカントリー4WDと呼べる長い歴史をもつモデルだけに、北米や欧州のみならず日本でも高い注目と人気を集めています。
ジープ・ラングラーとは
ジープ ラングラーは、クライスラーがジープブランドから販売しているSUVです。
一応SUVにカテゴライズされるクルマではありますが、その走破性はかなりのもので、未舗装の悪路や山道などを本格的に走行する『クロスカントリー4WD』、『クロカン4WD』という言い方のほうが適しているかもしれません。
そんなラングラーの先代は、第二次世界大戦中にアメリカ陸軍の要請で開発されて1941年に登場した『ウィリスMB』や、1945年に登場したウィルスMBの民生仕様『CJ』とされており、1953年には製造元のウィリス オーバーランド社は『ジープ』を商標登録化。
ジープブランドは、ウィリス→カイザー→AMC→クライスラー→ダイムラー クライスラー→FCAとさまざまな自動車メーカーを渡り歩きつつも、ジープ ラングラーの名が今まで残されてきたのは奇跡とも言える流れです。
ちなみに、車名にラングラーが用いられるようになったのは1987年に登場したYJ型の初代ジープ ラングラーからで、2代目TJ型(1996~2006年)、3代目JK型(2007~2017年)と登場した後、4代目となる新型ラングラーは2017年11月に開催されたロサンゼルスモーターショーで発表。
北米販売からから約1年遅れで、ジープブランド車両の国内販売を担当するFCAジャパンは2018年10月25日から、4代目モデルとなる新型ラングラーの国内販売を開始しました。
フィアット傘下になって初のフルモデルチェンジ!イタ車と共有パーツも多数
ラングラーのフルモデルチェンジは2007年ぶりで、現在までの約11年間はクライスラーにとって激動の時代を迎えていました。
2009年4月30日にクライスラー社は倒産適用申請を行い、同年7月にはフィアットグループの傘下に入ります。
その後2014年にはクライスラーがフィアットの完全子会社となり、クライスラーが合併したことによりFCA(Fiat Chrysler Automobiles)というグループ会社を設立。
クライスラー自体はアメリカ合衆国ミシガン州に本社を構えていますが、事実上イタリア自動車メーカーの管理下にあります。
そして、今回の新型ラングラーはクライスラーがFCA傘下になって初めてのフルモデルチェンジとなったため、車体の至る所がフィアットグループの部品と共有されました。
2.0リッター直4ターボエンジンが新登場
エンジンは、従来の3.6リッターV6をリファイン。
可変バルブリフトを持つVVLを用いているため、パワーが必要ないときにはローリフトモード、パワーが必要な時はハイリフトモードに切り替えることが可能です。
さらに新登場の新型2リッター直4ターボは、タービンにツインスクロール低慣性タイプと電磁制御式ウエストゲートの組み合わせで、ダイレクトなアクセルレスポンスを実現。
これらのパワーユニットは、FCAグループの車両に共通するグローバルミディアムエンジンアーキテクチャーファミリーに基づいて製作されています。
つまり、FCAグループの車両と共通した部品を使用しおり、排気量やパワーは違うものの、アルファロメオ ジュリアに搭載されているエンジンと多くの部分を共有。
トランスミッションはZF製8ATが採用されており、こちらもアルファロメオ ジュリアと同様なので、双方のギア比に違いがあったとしてもトランスミッション自体は多くの部品を共有しています。
補強・軽量のバランスを図ったラダーフレーム構造
フレームは先代ラングラーから搭載されている『ラダーフレーム ボディ別体構造』と『リジッドサスペンション』を継承し、燃費性能や快適性を上げるために軽量化が施されています。
また、フレームとボディを繋ぐボディマウントは2ドアモデルで8個、4ドアモデルで10個。
アルミ素材をドア、ドアヒンジ、フェンダー、エンジンフード、マグネシウム素材をスイングゲートに用いて、可能な限り徹底した軽量化が施されています。
パートタイム式からフルタイム式4WDに変更
これまでのラングラーの駆動方式はパートタイム4WDでしたが、新型ではフルタイム式のセレクトレックフルタイム4×4が採用されました。
ラングラーサブトランスファ比 | ||
---|---|---|
副変速比 | 高 | 1.000 |
低 | 2.717 | |
最終減速比 | 3.454 |
外装はほとんど変わってないが内装の機能性はアップ
外装の基本デザインは変わっていませんが、内装は相当な改良が施されました。
インパネは水平基調のデザインに大型モニターやUSBポート、プッシュボタンスタートを初採用。
エアコン、パワーウィンドウなどはトランスファーが集まるセンターに集約され、機能性を重視したスタイルになっています。
また、メーターも2眼タイプにフルカラー7インチマルチビューディスプレイを搭載しており、車両状況やナビゲーション順路などさまざまな情報を表示。
約11年ぶりフルモデルチェンジで、やっとイマドキのスタイルとなりました。
最新の予防安全技術は非搭載だが
新型ラングラーにはいくつかの安全装備が追加されました。
内容はデュアルエアバッグ/サイドエアバッグ、エレクトロニックロールミティゲーション付きESP、オートパワードアロックが標準採用。
アンリミテッド サハラにはブラインドスポットモニター/リアクロスパスディテクション、リアバックアップカメラなども搭載されています。
しかし、予防安全技術や自動運転などは装備されておらず、北米で間もなく登場する2019年型にアクティブブレーキやアダプティブクルーズコントロールなどを追加することがアナウンスされています。
ジープ新型ラングラーのスペック
Sport | Unlimited Sport | Unlimited Sahara Launch Edition | ||
---|---|---|---|---|
型式 | ABA-JL36S | ABA-JL20L | ABA-JL36L | |
全長×全幅×全高(mm) | 4,320×1,895×1,825 | 4,870×1,895×1,845 | 4,870×1,895×1,840 | |
ホイールベース(mm) | 2,460 | 3,010 | 3,010 | |
トレッド前/後(mm) | 1,600/1,600 | 1,600/1,600 | 1,600/1,600 | |
乗車定員(名) | 4 | 5 | 5 | |
車両総重量(kg) | 2,050 | 2,225 | 2,225 | |
原動機型式 | G | N | G | |
エンジン種類 | V型6気筒DOHC | 直列4気筒DOHCターボ | V型6気筒DOHC | |
総排気量(cc) | 3,604 | 1,995 | 3,604 | |
内径×行程(mm) | 96.0×83.0 | 84.0×90.0 | 96.0×83.0 | |
最高出力(kW[PS]/rpm) | 209[284]/6,400 | 200[272]/5,250 | 209[284]/6,400 | |
最大トルク(N・m[kg・m]/rpm) | 347[35.4]/4,100 | 400[40.8]/3,000 | 347[35.4]/4,100 | |
トランスミッション | 8速AT | 8速AT | 8速AT | |
駆動方式 | フルタイム4WD | フルタイム4WD | フルタイム4WD | |
タイヤサイズ | 前 | 245/75R17 112T | 245/75R17 112T | 255/70R18 113T |
後 | 245/75R17 112T | 245/75R17 112T | 255/70R18 113T | |
JC08モード燃費(km/ℓ) | 9.6 | 11.5 | 9.2 | |
車両価格(円) | 4,590,000 | 4,940,000 | 5,300,000 |
まとめ
3代目モデルからエクステリアの大きな変更はなく、さらに遡れば初代ウィリスのシルエットアイコンも新型ラングラーのいたるところに隠されています。
これほどオリジナルからのスタイルを維持できるブランドは、他には今年フルモデルチェンジを果たしたメルセデスベンツGクラスぐらいではないでしょうか。
大自然の山道や大陸を走行するシーンは、初代から続くオリジナルデザインに一番似合うことが新型ラングラーやGクラスに共通していえる事。
新型ラングラーは流行にとらわれず、『やっぱりラングラーはこうでなくっちゃ!!』とユーザーが思える内容で、最高のモデルチェンジを果たしたのです。
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