ランボルギーニ ウラカン クーペのマイナーチェンジでウラカン エボ&ウラカン エボ スパイダーが発表されました。100km/hまでの到達時間はなんと2.9秒。そんなエアロダイナミクスやハイテクの電子制御を搭載し、クラストップレベルの速さを誇るスーパーカーになったウラカン エボの詳細をご紹介します。
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100km/h到達なんと2.9秒!進化が止まらないウラカンに新型モデル誕生
ランボルギーニはウラカンのマイナーチェンジを受け、これまでのベースモデル『クーペ(LP 580-2/LP 610-4)』を廃止。
新たにウラカン エボを3月8日に日本初公開し、さらにオープンモデルのウラカン エボ スパイダーもジュネーブモーターショー2019で発表しました。
そんなウラカン エボは、空力効率の改良や最新の電子制御をいくつも搭載し、0-100km/h到達時間は2.9秒という強烈な加速と、最高速度325km/hにも達する性能を誇ります。
これほどの速さがあれば、さらに上級モデルのアヴェンタドールまでの性能は不必要に思えてしまいます。
実際にアヴェンタドールSVJでは0-100加速が2.8秒、最高速度が350km/hであり、加速性能では0.1秒しか違わず、時速300km以上の世界で勝負する方でなければ、ウラカン エボの性能で満足できるレベルの違いしかありません。
ランボルギーニ・ウラカンとは
まず、ランボルギーニ ウラカンは、ガヤルドの後継モデルとして2014年に発売されました。
ここで、ガヤルドについて簡単に紹介しましょう。
歴史的なスーパーカーであるランボルギーニ カウンタックのひとつ下位クラスで、ウラッコ、シルエット、ジャルパなどが登場し、これらの車種群は『ベビー ランボルギーニ』と呼ばれています。
そしてガヤルドも、その中の1台。
ガヤルドはランボルギーニがVW(フォルクスワーゲン)グループの傘下に入ってから開発され、同じくVWグループの傘下にあるアウディのスーパーカー、アウディR8とシャシーやエンジンを共有する兄弟車です。
それまでハンドメイドにこだわっていたランボルギーニに、VW・アウディのエンジニアが加わり、生産体制も拡充。
グループ傘下になったことで、これまでのベビー ランボルギーニから一気に精度が向上し、エンジンやトランスミッションの耐久性も格段に上がっています。
そのため、ガヤルドのデザインや性能が世界中で高い評価を得たことで大ヒットし、総生産台数は14,022台。
ランボルギーニ史上最多の生産・販売台数を記録した、ランボルギーニの歴史的なモデルです。
そんなガヤルドの後継モデルとして開発されたウラカンは、これまでと同様にアウディR8と兄弟車の関係を維持しつつ、エンジンは5.2リッターV10エンジンをリアミッドシップに搭載。
トランスミッションの7速デュアル クラッチと、ギアチェンジはアウディR8に搭載される7速Sトロニックと基本構造は同じです。
現行のウラカンシリーズは後輪駆動モデルの『ウラカンRWD』、トラックモデルを意識したエアロパーツを搭載する『ウラカン ペルフォルマンテ』、そして今回紹介するウラカン エボの3モデルをラインナップし、それぞれにクーペモデルとスパイダーモデルの2つのボディタイプを設定しています。
ランボルギーニ・ウラカン・エボの特徴
ウラカンは従来モデルのガヤルドや兄弟車のアウディR8と同様に、フルタイム4WDを継承し、ガヤルドのビスカスカップリングからトルク配分の電子制御式の油圧多板クラッチ式へと進化しました。
そんなウラカンシリーズに共通して搭載される7速デュアルクラッチギアチェンジLDFの『LDF』は、ランボルギーニ ピアッタフォルマ イネルツィアーレと呼ばれるもので、直訳すれば『ランボルギーニ慣性プラットフォーム』の意味です。
車体の重心近くに加速度センサーとジャイロスポーツが備わり、ローリング、ピッチング、ヨーイング、加速度などの情報を全て把握。
車両各部の電子制御系部品へ情報を送り出す役割をはたします。
さらに、ウラカン エボでは従来型になかった4WS(4 Wheel Steering|四輪操舵)が追加され、ホイールベースを長くしたり短くしたりするのと同じ効果が得られるため、最小回転半径を小さくするだけでなく、必要に応じてスタビリティの改善も可能になっているのです。
また、フロントスプリッターがアンダーボディへの空気の通過を促し、ダウンフォースを7倍、空力効果を6倍に高めることに成功。
加速時、ブレーキング、コーナーリングにおいて、ドライバビリティを向上させています。
エンジンは、ウラカン ペルフォルマンテと同じ仕様に改められ、ウラカン クーペより30馬力のパワーアップを果たしました。
そしてエンジンパワーやサスペンション、ステアリングフィールを『ANIMA』と呼ばれるドライビングモードで制御し、公道走行用の『ストラーダ』、サーキット走行用の『コルサ』、電子制御を最低限に設定する『スポルト』の3モードが設定されています。
そのため、車体の至るところで電子制御が介入してくれるので、コーナー時にタイヤを空転させず、オン ザ レールで進んでいくストラーダとコルサや、オーバーステアでドリフト状態を維持することができるスポルトなど、好みにあった調整が可能です。
これほど精密な電子制御をまとめるのが『LDVI』と呼ばれる中核システムで、ドライバーの操作、外部の環境、選択されているドライブモードに基づき、4WD、4WS、トルクベクタリング、スタビリティコントロールなど一括で調整。
フィードバック制御からフィードフォワード制御へ切り替えて、ドライバーの意図を予測している、ウラカン エボの頭脳と呼べるユニットです。
内装は、ボタン類をデジタル化させるために、センターコンソールの延長線上に8.4インチの静電容量式マルチタッチスクリーンを配置させ、空調、オーディオ、ナビなど基本操作だけでなく、テレメンタリーデータの記録や分析も可能。
カーボンスキンなどの素材も最先端のものが採用され、AD Personamと呼ばれるカスタマイズオプションにより内装、縫製、居住空間の素材などはオーナーの好みに合わせて選ぶことが可能です。
ウラカン・エボ・スパイダーの特徴
ウラカン エボ スパイダーは、通常のクーペボディではなくオープンカーモデルであり、最大の特徴は電動油圧式で作動するソフトトップを採用しているところです。
ソフトトップの開閉は、センターコンソールに設けられたスイッチひとつで簡単に操作でき、それぞれに費やす時間はわずか17秒。
走行中でも50km/h以下であれば開閉操作可能です。
また、リアウィンドウはクーペモデル同様に電動のガラス製で、トップの状態にかかわらず、開け閉めが可能。
リアウィンドウを閉めている状態であれば、オープン時のキャビンへの風の巻き込みを防いでくれます。
さらに、万が一横転事故を起こしてしまった際に乗員を保護する自動ポップアップ式のセーフティバーがキャビン後方に内蔵されているのですが、一見どう収納されているかわからないように埋め込まれているため、デザイン性も損ないません。
スペック
スペック&価格
ランボルギーニ・ウラカン エボ | ランボルギーニ・ウラカン エボ スパイダー | ||
---|---|---|---|
全長×全幅×全高(mm) | 4,520×1,933×1,165 | 4,520×1,933×1,180 | |
ホイールベース(mm) | 2,620 | 2,620 | |
車両重量(kg) | 1,422 | 1,542 | |
タンク容量(ℓ) | 83 | 83 | |
エンジン種類 | V型10気筒 | V型10気筒 | |
総排気量(cc) | 5,204 | 5,204 | |
ボア×ストローク(mm) | 84.5×92.8 | 84.5×92.8 | |
圧縮比 | 12.7 | 12.7 | |
最高出力(kW[hp]/rpm) | 470[640]/8,000 | 470[640]/8,000 | |
最大トルク(N・m[lb-ft]/rpm) | 600[443]/6,500 | 600[443]/6,500 | |
トランスミッション | 7速デュアルクラッチギアチェンジLDF | 7速デュアルクラッチギアチェンジLDF | |
駆動方式 | 4WD | 4WD | |
タイヤ | 前 | 245/30R20 | 245/30R20 |
後 | 305/30R20 | 305/30R20 | |
車両価格(税込) | ¥32,230,736- | ¥35,453,810- |
パフォーマンス
ランボルギーニ・ウラカン エボ | ランボルギーニ・ウラカン エボ スパイダー | |
---|---|---|
最高速度(km/h) | 325 | 325 |
0-100km/h加速(秒) | 2.9 | 3.1 |
0-200km/h加速(秒) | 9.0 | 9.3 |
燃費(ℓ/km) | 13,9/100[リッターあたり7.1km] | 14,1/100[リッターあたり7.0km] |
まとめ
640馬力のエンジンも電子制御によりドライバーの仕事を軽減させてくれるため、誰でも速く走れてしまうのではないかと期待してしまいますが、いざサーキットに出ると、あまりに高いスピードレンジに常人では、アクセルを踏み込むことを躊躇してしまうかもしれません。
スポルトモードでドリフト走行可能なのも、全世界でドリフト競技が流行っているニーズに応えてくれたランボルギーニの配慮なのでしょうか。
そうであれば、ランボルギーニは、ウラカン エボを街乗りだけのセレブユーザーからサーキットでタイムアタックやドリフト走行するプロドライバーまで誰もが納得するスーパーカーに限りなく近づけた事になるのかもしれません。
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