1980年代頃の軽自動車のエンジンは、3気筒が主流でした。それが1990年代に入るとスズキ、ダイハツ、三菱などが相次いで4気筒の軽を発売し、ブームとなります。しかし現在、軽自動車のエンジンには3気筒が採用され、4気筒の軽は新しく生産されていません。それには部品の数や燃費が関係しているのです。

コペン/Photo by halfrain

4気筒の軽自動車がブームだった時代

スバル・レックス後期型VX/出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%90%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%AC%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9#/media/File:3rd_Subaru_Rex_1.jpg

まだ、軽自動車の排気量が550ccだった頃、スバルはやがて660cc化の時代が到来することを予見し、先陣を切って4気筒の軽自動車を発売します。

そして1990年代に、軽自動車の排気量が660ccにアップされ、これをきっかけにスズキ、三菱、ダイハツも4気筒を積んだ軽自動車をデビューさせ、新開発のエンジンを目玉として売り出しました。

たとえばスズキはF6B、ダイハツはJB型エンジン、三菱は4A30を開発。

これらは群雄割拠の4気筒軽自動車戦国時代に名を刻み、今もその高い性能が語り継がれています。

このように90年代はバブル時代の名残を残しながら、4気筒エンジン搭載の軽自動車が多く誕生した時代だったのです。

4気筒エンジンの軽自動車達

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:Daihatsu_Copen_010.JPG#/media/File:Daihatsu_Copen_010.JPG

では数ある4気筒の軽自動車の中から、現在も語り継がれる名車を紹介していきましょう。

スバル・レックス(KH1・KH2型)

スバル・レックス/出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%90%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%AC%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9#/media/File:Subaru_Rex.jpg

1989年に、マイナーチェンジを果たしたスバル レックスは、エンジンを直列4気筒EN05型へと変え、同時にバンパーやフロントグリル、テールランプなどの形状も変更。

後の、4気筒エンジンの先駆けとなりました。

続く1990年には規格変更に対応すべく、660ccのEN07型エンジンを載せ、1992年に生産を終了します。

そして、後継車種のヴィヴィオへとその技術を受け継ぐのです。

スバル・ヴィヴィオ

スバル・ヴィヴィオ/出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%90%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%82%AA#/media/File:1992_Subaru_Vivio_01.jpg

1992年に、レックスの後継機として販売された軽自動車です。

搭載エンジンはレックスから受け継いだEN07型。

駆動方式は前輪駆動を基本としつつも、フルタイム式の四輪駆動モデルも存在しました。

数多くのグレードと派生車種を有するこの車には、スバル車伝統の4輪独立懸架が採用されており、その性能はパリ-モスクワ-北京マラソンレイドや、1993年のサファリラリーで発揮されています。

中でもサファリラリーにおいては、グループA5クラスが4台のヴィヴィオRX-R4WDで埋まり、うち2台がA5クラスでの1位、2位を記録しました。

また、生産終了後もWRCラリージャパンでその活躍を見られた時期があり、今も根強い人気を誇る車となっています。

ダイハツ・コペン(初代L880K型)

初代コペン/出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%80%E3%82%A4%E3%83%8F%E3%83%84%E3%83%BB%E3%82%B3%E3%83%9A%E3%83%B3#/media/File:The_frontview_of_Daihatsu_Copen_Activetop_(L880K).JPG

2002年にダイハツが発売した、軽のオープンカーです。

軽自動車とは思えないほどの費用を掛け、オープンカー専用に開発されたこの車は、軽では初となる電動油圧ポンプの開閉式ルーフを採用。

初代にはJB-DETと呼ばれる直列4気筒ツインスクロールターボエンジンが載せられており、最高出力は64psである反面、最大トルクは110N・mを誇ります。

これは、現在の3気筒コペンを大きく上回る値です。

スズキ・セルボモード

スズキ・セルボモード/出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%82%BA%E3%82%AD%E3%83%BB%E3%82%BB%E3%83%AB%E3%83%9C#/media/File:Suzuki_Cervo_Mode_003.JPG

スバルの4気筒化に対抗すべく製造された、2BOX軽セダンです。

それまでのクーペボディを廃し、ハッチバック化したボディの中に、直列4気筒ターボエンジンのF6Bを搭載。

アルトの豪華仕様というコンセプトで、発売されました。

丸みを帯びたデザインに対し、中身はターボ付きの4気筒という仕様で、そのギャップが特徴的な1台です。

三菱・タウンボックス(初代)

三菱・初代タウンボックス/出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%89%E8%8F%B1%E3%83%BB%E3%82%BF%E3%82%A6%E3%83%B3%E3%83%9C%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9#/media/File:TownboxMpack.jpg

1999年に登場したタウンボックスには、4A30というエンジンが搭載されています。

これはあのトヨタの4A-Gを軽自動車用に変え、ターボを追加したようなもので、そちらと同じく20バルブエンジンとして開発されたものです。

日本の市販車で20バルブエンジンを採用したのは、4A-Gと4A30だけ。

この時点でその異様さが、浮き彫りになります。

軽自動車に、このようなエンジンを搭載したのは三菱だけですが、当時は3気筒と4気筒を同時に生産し続けていたという事。

バブル期の名残か、多額の開発費を注ぎ込むことができたのかも知れません。

そのためタウンボックスは、当時の熱狂を表す1台だと言えそうです。

何故4気筒エンジンは姿を消したのか

三菱・4A3型エンジン/出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%89%E8%8F%B1%E3%83%BB4A3%E5%9E%8B%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%83%B3#/media/File:Mitsubishi_4A30.jpg

なぜ軽自動車に4気筒エンジンが採用されなくなったのでしょうか。

それは4気筒だと部品の数がどうしても多くなってしまい、3気筒と比べて費用が多く掛かってしまうことや、燃費の悪さに関係しています。

軽自動車は車両価格が安く、他の車よりもコストが厳しく管理されているため、軽自動車に4気筒を採用するよりも、部品数が少なく安上がりな3気筒を載せたほうが費用もそれほど掛からずに済むというわけです。

また燃費面で言うと、4気筒よりも3気筒のほうがエネルギーのロスを抑えやすいので、3気筒を採用したほうが他社よりも有利でした。

ちなみに過給機をつけていない、NAエンジンにおける1気筒あたりの理想排気量は500cc前後。

そのため軽自動車の総排気量が660cc以下である以上、4気筒を採用した場合は低速トルクを太らせにくくなります。

このような理由により、軽自動車に4気筒は採用されなくなりました。

まとめ

スバル・ヴィヴィオ ラリーカー/出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%90%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%82%AA#/media/File:Subaru_Vivio_rallycar.JPG

今回は4気筒エンジンを載せた、軽の名車達を紹介しました。

こうやって見ていくと、軽自動車に4気筒を搭載できたのは、贅沢な開発資金を投入できたバブル期の名残があったからこそだと言えそうです。

長い不況に見舞われた日本では、現在、軽自動車に4気筒エンジンを採用する理由はありません。

しかしそれでもメリットがないわけではなく、4気筒には3気筒よりも高回転型になりやすく、振動が少ないという利点があります。

とはいえ、いつか再び4気筒エンジンを搭載した、新しい軽自動車が見られると良いですね。

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