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かつて数多くのスポーツカーを発売した三菱自動車。その最後まで販売されていたのはランサーエボリューションXでしたが、それでは『日本国内で販売していた最後の2ドアスポーツカー』は何でしょう?GTOやFTOかと思えばさにあらず。2004年10月から2006年4月までの短期間ながらオープンモデルのスパイダーを販売していた、3代目エクリプスでした。

3代目三菱 エクリプス クーペ / Photo by Mark Guim
北米の人気スポーツカー『エクリプス』3代目へ

1998年1月のデトロイトショーへ出展されたコンセプトカー、三菱SST / 出典:http://www.allcarindex.com/auto-car-model/Japan-Mitsubishi-SST/

1998年4月のニューヨークショーで出展された三菱SSTスパイダー / 出典:http://www.allcarindex.com/auto-car-model/Japan-Mitsubishi-SST/
そもそも三菱 エクリプスという車はアメリカのクライスラー(現在はFCAことフィアット・クライスラー)と提携していた時代の三菱が、『ダッジ』や『イーグル』などクライスラーのスポーツブランド向けバッジ エンジニアリングを前提としたスポーツカーでした。
そのため初代や2代目のエクリプスではプリマス レーザー / イーグル タロンなどの姉妹車がクライスラーで販売されており、北米市場の小型スポーツクーペ市場ではちょっとした人気を誇っていたのです。
その流れから3代目エクリプスの開発も順調に進み、1998年にはデトロイトショーでタルガトップ式の2ドアクーペ版コンセプトカー『SST』、ニューヨークショーでオープンカー版の『SSTスパイダー』が発表され、1999年より市販されました。
日本でも末期にスパイダーのみ販売

3代目三菱 エクリプス クーペ / Photo by Егор Журавлёв

3代目三菱 エクリプス スパイダー / 出典:https://www.mitsubishi-motors.com/jp/innovation/history/year/2000/00_16.html
滑らかな曲線的デザインだった初代/2代目と異なり、直線的でシャープな造形の3代目は『SST』に搭載されていた2リッター直4ターボエンジンではなく、2.4リッター直4または3リッターV6自然吸気エンジンを搭載。
1999年に北米での販売が終了したGTOの後継も兼ねてか大型化および大排気量化が図られており、北米市場で低迷し始めていたスポーツカーのラインナップ整理でエクリプスのみが生き残ってモデルチェンジした形となりました。
スポーツカー不振がより深刻だった日本では当初3代目エクリプスは販売されていませんでしたが、オープンモデルの『エクリプススパイダー』3リッターV6エンジン・4ATモデルに限り、2004年10月に発売。
もちろん歴代同様左ハンドルのままでした。
ただしスポーツカー市場の復活を占うためか、あるいは日本でも販売を強く望む声に応えたためか、2006年3月までのわずか1年半程度の限られた期間の販売に留まり、結果的に『日本で販売された最後の三菱ブランド2ドアスポーツカー』となったのです。
クーペをベースとしたエクリプスEV

2001年の四国EVラリーフェスティバルなどに参加したエクリプスEV / 出典:https://www.favcars.com/mitsubishi-eclipse-ev-2000-pictures-71667-800×600.htm
日本での3代目エクリプスはスパイダーのみで、2ドアクーペは結局販売されませんでしたが、三菱が当時から熱心に開発していたEV(電気自動車)のデモンストレーション用車両としては、なぜか3代目エクリプスクーペが選ばれました。
そして1999年12月に三菱自動車名古屋製作所テストコースで『24時間耐久走行テスト』実施。
急速充電を繰り返しつつ2,142.3kmの世界記録を作った『FTO EV』の後継としてふさわしい車がこれだけだったのかもしれませんが、ともかくインパクトがあったのは間違いありません。
また、エクリプスEVは2001年8月の四国EVラリーフェスティバルに出場。
途中1回の充電のみで780kmを走破するなど好成績を残したのを皮切りに、2003年8月には同ラリーだけでなく三菱自動車品川本社から始まる1,200km走行などにも挑戦。
インホイールモーターを装備したランサーエボリューションMiEVが2005年に登場するまで、三菱のEV技術開発とデモンストレーションに貢献しました。
主なスペックと中古車相場

3代目三菱 エクリプス スパイダー / 出典:https://www.mitsubishi-motors.com/jp/innovation/history/year/2000/00_16.html
三菱 D53A エクリプス スパイダーGTS 2004年式
全長×全幅×全高(mm):4,515×1,760×1,355
ホイールベース(mm):2,560
車両重量(kg):1,520
エンジン仕様・型式:6G72 水冷V型6気筒DOHC24バルブ
総排気量(cc):2,972
最高出力:144kw(196ps)/5,750rpm
最大トルク:267N・m(27.2gm)/4,250rpm
トランスミッション:4AT
駆動方式:FF
中古車相場:53.9万~108万円
まとめ

3代目三菱 エクリプス クーペ / Photo by peterolthof
三菱自動車が独自開発・生産したものとしては、『最後に日本で販売した』2ドアスポーツカーとなった、3代目エクリプス。
2000年代前半の日本では2ドアクーペやオープンスポーツが極端に少なくなっていた時代で、日本でも3代目エクリプスは『北米で販売開始』とアナウンスされるのみ。
「なぜこんなカッコイイ車を日本で売らないのか?!」という声に応えてスパイダーだけは販売してくれましたが、販売目標は2004年度が300台、2005年度が200台の合計500台と慎ましいものでした。
あるいは3代目末期にあたり、「この機会を逃したら、もう2度と日本で2ドアスポーツ、それもオープンカーなど販売できないかも?」という予感めいたものがあったのかもしれません。
ついに日本で販売されることが無かった4代目すらも事業不振による北米専用車廃止によって2012年に販売を終了して以降、もう三菱が2ドアスポーツを販売する事は無かったので、その予感は正解でした。
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