EVハイパーカーメーカー・リマックが『Rimac C_Two』を公開!といっても、リマックと聞いてもピンッと来ない方が多いと思います。実は、テスラ同様に世界のEV市場のトップをひたはしるメーカーです!ここでは、そんなリマックについて紹介します。

©Rimac Automobili

スーパーカー業界のテスラ!リマックのEV界のブガッティ的存在

©Rimac Automobili

EV業界において、いま最も注目されている企業と言えば米国のテスラモーターズですが、その設立は2003年と創業から10年弱の比較的若いベンチャー企業です。

また、電気自動車の熾烈な開発競争が行われる中国でも、ベンチャー企業が開発するEVに注目が集まっており、なかでも中国版テスラと期待されるメーカー『NIO』は、昨年9月にニューヨーク証券取引所に上場を果たすなど、勢いに乗っています。

このように、EV業界ではベンチャー企業の活躍が著しく、今ではGMやフォルクスワーゲン、トヨタといった巨大企業からも無視できない存在です。

しかも、乗用車クラスだけでなく、性能を競い合うスーパーカー業界でもEVのベンチャー企業が旋風を巻き起こしています。

その代表的なメーカーが、今回紹介するリマックなのです。

リマックが発表するモデルのほとんどが、従来のレシプロエンジン搭載車をしのぐパワーを発揮し、出力やトルクはあのブガッティ ヴェイロンやシロンを上回るほど!

しかも、ハイブリッドやPHVではなく、100%電気で走るピュアEVで実現させており、彼らは自社で生産するモデルを『スーパーカー』とは呼ばず、さらに上をいく意味で『ハイパーカー』と呼んでいます。

創業者はハタチで起業!クロアチア発のEVメーカー・リマックとは

©Rimac Automobili

リマック オートモービル(Rimac Automobili)は、クロアチアに拠点をおくEVメーカーです。

車両以外に、バッテリーシステムやドライブトレインの開発・生産も行っており、フォーミュラーEのマシン開発や部品の供給もしています。

会社設立は2009年で、わずか10年で世界的なEVハイパーカーメーカーとなっただけでなく、驚くべきはCEOが1988年生まれの若干31歳という若手経営者であることです。

創業者のメイト・リマック氏はどんな人

メイト・リマック氏 / ©Rimac Automobili

リマックの創業者であり、現CEOはクロアチア出身の『メイト・リマック氏(Mate Rimac)』です。

リマック氏が自らのガレージで電動自動車を制作したところから、全ては始まりました。

大学生だった19歳のときに、ドリフトやレースで使い古されたボロボロの1984年式BMW E30を購入し、出場した一度目のレースでエンジンをブローしてしまいます。

これを機に、BMW E30のEV化を試み、大学で起業マネージメントを専攻していた彼は、電気自動車製作の技術を独学してプロトタイプ『e-M3』を開発。

さらに、独学にもかかわらず、高性能なEVを作るための特許を24も取得します。

ここから、リマック氏は本格的にEVハイパーカーの開発に着手してリマックを創業。

のちに、フォーブス誌の2017年30歳未満で影響力のある起業家30人にも選ばれました。

100km/h加速3.3秒のグリーンモンスター・e-M3

e-M3 / ©Rimac Automobili

e-M3は、停止時から100km/hまでの到達時間が3.3秒、最高速度は280km/hを達成。

最高出力601PS、最大トルク900N・mを発揮し、『グリーンモンスター』と呼ばれるようになります。

そしてレースでライバル車を圧倒させる速さを見せつけ、FIA規定に準じてEVの記録を5つも樹立。

事実上、世界最速の電気自動車となりました。

2011年4月17日記録したe-M3のFIA公式レコード
停車時からの加速性能 1/8mile (201m) 7,549秒
1/4mile (402m) 11,808秒
1/2km (500m) 13,714秒
1km (1,000m) 23,260秒
1mile (1,609m) 35,347秒

企業から2年で作り上げたEVハイパーカー・リマック・コンセプト・ワン

Rimac Concept One / ©Rimac Automobili

リマックは2011年開催のフランクフルトモーターショーで、『リマック・コンセプト・ワン(Rimac Concept One)』を発表。

4輪それぞれにモーターが装着され、車載コンピューターが1秒間に100回の頻度で最適な駆動力を計算して、モーターそれぞれに伝達します。

そしてパワーユニットは最高出力1,088PS、最大トルク1,600N・mを発揮し、強力なパワーを4輪それぞれに最適なトラクションで伝えるハイテク4WDシステムにより、4輪を駆動させます。

この時点でブガッティ ヴェイロンを上回る出力とトルクを発揮しており、0-60mph(97km/h)加速は2.6秒、最高速は355km/hに達していました。

さらに、独自開発した92kWのバッテリーは、航続距離は330kmを実現。

レシプロエンジン搭載のスーパーカーを上回るパワーと、実用範囲で十分な航続距離を兼ね備え、スーパーカー業界に席捲を巻き起こしたのです。

コンセプト・ワンは98万ドル、日本円で約1億400万円。

限定88台で売り出し、即完売したそうです。

Rimac Concept S / ©Rimac Automobili

2016年ジュネーブモーターショーでは、改良モデルの『リマック・コンセプト・S』を発表。

こちらは最高出力を1,384PSまで引き上げ、0-60mph(97km/h)加速2.5秒、最高速365km/hを実現。

コンセプト・Sはわずか2台のみ生産されました。

2億円が3週間で完売!EV史上最高性能をもったリマック・C_Two

Rimac C_Two / ©Rimac Automobili

リマックは2019年ジュネーブモーターショーで市販モデル第二弾『リマック C_Two』を初公開し、2020年に世界限定150台で販売する計画を明らかにしました。

価格は1,795,532ユーロ、日本円で約2億1101万円(2019年8月30日時点)の価格設定ながら、予約開始から3週間ですべて完売。

C_Twoは出力1,914PS、トルク234.5kgmを発揮し、0-60mph加速1.85秒、最高速度412km/hを発揮します。

バッテリーは、一回の充電で航続距離最大650km(NEDC計測モード)を実現し、ニュルブルクリンクオールドコースを全開走行しても2周まわることが可能です。

また、出力250kWの急速充電器を用いれば30分でバッテリー容量の約8割まで充電できます。

ASPARK OWL / ©️ASPARK

日本のEVベンチャーASPARKが開発した『ASPARK OWL』は、C_Twoを上回る出力1,979PS、0-100km/h加速1.73秒以下を発揮していますが、航続距離が400kmのため、航続距離はリマックは方が上。

さらにC_Twoでは、搭載されるシステムには自動運転レベル4までアップグレード可能で、高度な運転支援システムや顔認証ロックまで搭載されて、最新のテスラ車よりハイテクかつ実用的かもしれません。

まとめ

Rimac C_Two / ©Rimac Automobili

リマックがわずか10年でEVスーパーカー市場で最高のパフォーマンスをもつハイパーカーを作り出したことは、巨大メーカーとしても期待が高いらしく、ポルシェ、ヒュンダイもリマックの株式をそれぞれ約10%ずつ買い取り、事業提携を結んでいます。

リマックはこれら2メーカーにEVユニットを供給し、さらに資本力を高め、開発力と販売力を強化中。

今後どんなEVハイパーカーを生み出すのでしょうか。期待が高まります。

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