いまや、戦国時代に突入したといっても過言ではないハイブリッドハイパーカーの開発競争。各国の超富裕層をターゲットに、数百台にも満たない超少量生産だからこそ可能なクオリティのクルマ作りを行う手法は、現在のトレンドであるとも言えます。そんな状況の中、2019年のフランクフルト国際モーターショーでイタリアの名門、ランボルギーニがハイブリッドハイパーカーを発表しました。

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出典:https://www.topgear.com/car-news/frankfurt-motor-show/lamborghini-sian-hybrid-v12-supercapacitors

「シアン」その名の由来

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出典:https://www.cnbc.com/2019/09/10/fastest-ever-lamborghini-gets-power-boost-from-mit-developed-supercapacitor.html

これまで、プレスリリース等での情報公開では「シアン」との名称でしたが、急逝したフォルクスワーゲングループの元会長、フェルディナント・カール・ピエヒ氏のイニシャルと、氏の生まれ年である1937年の下2桁を添え、「シアン FKP37」が正式な名称となりました。

「シアン」は、イタリアのボロネーゼ地方の方言で、「閃光」や「稲妻」といった電気に関する意味合いを持っており、ランボルギーニにとって初の電動モデルであることを表しています。

「史上最速のランボルギーニ」という称号が与えられていることもあり、性能・外観ともに度肝をぬくような仕様をみていきましょう。

カウンタックにインスパイアされたエクステリアデザイン

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出典:https://www.cnbc.com/2019/09/10/fastest-ever-lamborghini-gets-power-boost-from-mit-developed-supercapacitor.html

いかにもランボルギーニらしいエッジの効いた直線的なボディラインは、カウンタックからインスピレーションを受けた「ガンディーニライン」と呼ばれるもの。

リアの六角形6灯ランプや六角形のエキゾーストパイプ等も、カウンタックから影響を受けたデザインとなっており、強烈な個性を放っています。

Y字型のヘッドライトは、2017年に発表されたEVコンセプトカーの「テルツォミッレニオ」で用いられたものです。

可変エアロデバイスの採用にも積極的なシアンは、リアウイングが走行時のみポップアップする仕様となっており、ボディ後方のインテークの冷却翼は、エキゾースト系の温度を感知して自動で作動するハイテク装備となっています。

バッテリーを搭載しない特殊なハイブリッドパワーユニット

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出典:https://www.cnbc.com/2019/09/10/fastest-ever-lamborghini-gets-power-boost-from-mit-developed-supercapacitor.html

普通のハイブリッドは、リチウムイオン電池等のバッテリーに電気を蓄え、低速走行時にモーターで走ったり、加速力を必要とする時にモーターがエンジンアシストを行う方式を取っています。

しかしシアンは、「スーパーキャパシタ」と呼ばれる技術を採用。

スーパーキャパシタは、同じ重量・体積のバッテリーと比べると約3倍の電力を蓄えることが可能で、更に充電や放電のスピードもバッテリーよりも早いとの事です。

ハイブリッドならではの運動性能

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出典:https://www.topgear.com/car-news/frankfurt-motor-show/lamborghini-sian-hybrid-v12-supercapacitors

モーターはトランスミッションに組み込まれており、V12エンジンと合わせると最高出力は819psを発揮します。

モーターの担う出力は34psで控えめに感じるかもしれませんが、ターボを積まないNAエンジンの場合は低速域での鋭い加速に貢献します。

0-100km加速は2.8秒と驚異的な数字で、これはポルシェ タイカンやテスラのモデルSパフォーマンスに匹敵する数値。

何より特筆すべき点は、シアンはバッテリー残量を気にすることなく何回でも加速することが出来るという点でしょう。

まとめ

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出典:https://www.freshnessmag.com/2019/09/04/lamborghini-sian-hybrid-supercar/

スーパーキャパシタは重量減や加速力等のパフォーマンス面においては有用ですが、排ガス対策や燃費効率が良くなる訳ではありません。

その為、シアンのような63台だけの限定車ならともかく、他の量産車でスーパーキャパシタを採用するのは少し先の話になりそうです。

F1が市販車へのフィードバックを目的とする実験場であるのと同じように、近年少量生産されるハイパーカー開発は、メーカーの先端技術のお披露目を行う側面も持っています。

そのためシアンは、常に時代の最先端を追い続けるランボルギーニらしいハイパーカーと言えるでしょう。

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