クロカンブームの牽引役として一時代を築いた三菱が誇る名車、パジェロの国内販売終了がアナウンスされました。タフな印象の外観に加え、実際に本格的なオフロード走行も可能な実用性を兼ね備え、パリダカ等のモータースポーツシーンにおいてもその実力を証明してきた1台。今回はそんなパジェロの歴代モデルをふりかえってみたいと思います。
爆発的なヒットで「クロカンブーム」を巻き起こした!
1973年の東京モーターショーで発表されたモデル『ジープパジェロ』をルーツに持ち、ピックアップトラックのフォルテ4WDをベースにモダンかつオールマイティな走破性を実するモデルとして1982年にデビューしたのが初代パジェロでした。
エンジンは2リッターガソリンに加え、2.3リッターディーゼルとディーゼルターボをラインナップ。
1983年には7人乗りのワゴン仕様を加えることでファミリー人気も獲得し、モデル後期にはワイドボディやスーパーエクシードといった豪華仕様のモデルも加えることでバブルの流れにも乗り、爆発的なヒットを記録しました。
頑丈なラダーフレームにパートタイム4WDを組み合わせることで、オフロードでの走破性は非常に安定しており、1983年に初参戦したバリダカにおいてパジェロはいきなりクラス優勝。
1985年には早くも総合優勝を果たし、1986年に篠塚建次郎氏が参戦、1997年には日本人ドライバー初の総合優勝を飾ります。
そして2009年の撤退までに誇った総合優勝の回数は、なんと12回。
華々しい活躍を見せ、パリダカ=パジェロというイメージが定着していた時代でした。
三菱独自のメカニズムにより正当進化した2代目
初代が大ヒットしたこともあり、2代目のデビューまで約10年もの間隔が空きました。
1991年にデビューした2代目は、初代のコンセプトをしっかりと引き継ぎつつも、バブル経済の追い風を受けて、豪華かつ洗練されたモデルとしてデビューします。
初代と並んで豊富なボディバリエーションが特徴で、ショートモデルにはメタルトップとオープンのJトップ、ロングモデルにはミッドルーフとキックアップルーフの合計4種類を用意。
特にミッドルーフの最高級グレード、スーパーエクシードは、クロカン車とは思えない程の豪華装備を誇っていました。
ちなみに、走行中でも2輪駆動と4輪駆動を切り替えることが出来る「スーパーセレクト4WD」を搭載したのもこの2代目が初めてです。
1994年には弟分にあたるパジェロミニが登場し、これをベースに1.1リッターエンジンを搭載したのがパジェロジュニアで、その後継モデルとして1998年にはパジェロイオがデビューするなど、続々と兄弟車が増えていきました。
クロカンブームが終了しても健闘
1999年にデビューした3代目ですが、このころから台頭していたSUVの人気に押され、クロカンブームは既に陰りを見せはじめます。
それでも持ち前のキャラクターを活かして正常進化する事を選んだ3代目は、ビルトインフレーム構造を採用し、ボディの剛性を確保しつつも約100kgもの軽量化を実現。
ボディは先代に引き続きショートとロングを選ぶことが出来ましたが、オープンのJトップは安全基準の面から無くなってしまいます。
エンジンは、3.2リッター直噴ディーゼルターボに加え、3.5リッターV6ガソリンエンジンを用意。
4WD技術はさらに磨きがかかっており、前後輪のトルク配分を3:7から5:5まで自由にコントロールできる「スーパーセレクト4WDII」が初採用されました。
熟成の域に達するも……
SUVの勢いに押されつつも、基本コンセプトを曲げずに我が道をゆくことを選んだのが4代目でしたが、2019年8月に惜しまれつつ生産終了を迎えました。
シャーシはモノコックボディの前後に貫通したラダーフレームを溶接する構造や、ボディへの高グレードな高張力鋼板の採用、さらには溶接箇所の拡大や構造用接着剤の使用などで、圧倒的な剛性を確保することに成功します。
エンジンは当初3.8リッターと3リッターのV6エンジンの2種類を設定し、2010年には3.2リッタークリーンディーゼルターボが追加されました。
さらに、後輪駆動モードへの切り替えもできるスーパーセレクト4WDIIを先代から引き継ぎ、新たにリアデフのロック機構も搭載。
加えて、スリッピーな路面や急ハンドル操作による車両の不安定な動きに対して、ブレーキを独立して作動させることで走行安定性を向上させるアクティブスタビリティコントロール(ASC)や、急勾配での発進時に駆動輪のスリップを感知するとスロットルの電子制御によりエンジン出力を最適に調整するアクティブトラクションコントロール(ATC)を組み合わせたASTC(アクティブスタビリティ&トラクションコントロール)を搭載するなど、更なる悪事走破性のアップに貢献しています。
まとめ
2019年の8月を持って生産終了となったパジェロは、1982年の発売開始から37年の歴史に幕を降ろすこととなりました。
しかし、パリダカでの輝かしい戦績もあり、日本が世界に誇るRV車とも言えたパジェロは、これからも人々の記憶に残り続ける名車であることには変わりありません。
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