誕生から37年、ついに日本国内向け三菱 パジェロの生産と販売が終了しました。2019年4月に発売された「FINAL EDITION」は700台限定で、すでに完売済みです。そんな国内累計販売64万5,984台を記録した、三菱 パジェロの歴史を振り返ります。
三菱 パジェロの生い立ち
三菱自動車はなぜ、4WDの開発に力をいれはじめたのでしょうか。
それは、第二次大戦中に軍用四輪駆動車の試作型「PX33」を開発したことに端を発します。
というのもPX33はただの4WDではなく、フルタイム方式でした。
日本で初めてフルタイム4WDを制作したのは、スバルではなく三菱自動車なのです。
さらに戦後、アメリカのウイリス社と契約を結びジープをノックダウン生産し、後にパーツをすべて完全国産化したことも、三菱自動車が4WD開発に注力し始めた理由の1つです。
三菱 ジープは生産当初、軍や警察に納入されてその後民生用といしても販売。
1970年代には多くのファンを獲得し、4WDの代表的車種となっていました。
そのような素地がある三菱自動車が独自の4WD車開発に乗り出し、三菱 パジェロという成果をあげたのです。
初代パジェロ
1982年2月から販売された初代パジェロは、生粋のオフロード車とはいえ三菱 ジープの利便性を一般用途向けに向上させたようなモデルでした。
シャーシのラダーフレームは元々、当時のトラックモデルのフォルテ4WDのものを改良しています。
(ちなみにフォルテ4WDのシャーシを使用したミニバンがデリカスターワゴン4WDで、現在のデリカD:5です。)
エンジンは重心をフロント車軸よりも後ろに置く、フロントミッドシップ方式を採用。
ラダーフレームとフロントミッドシップは、後のパジェロにもDNAとして引き継がれました。
また、エンジンは直4のディーゼルとガソリンを設定し、どちらも自然吸気とターボ仕様が用意されています。
モデルライフの途中にはV6エンジンも搭載されました。
現在でこそパジェロといえば押しも押されぬSUVの代表的ブランドですが、初代のころはまだまだマニアの車で、一般的な知名度を上げたのは2代目モデルです。
2代目パジェロ
1991年に発売された2代目モデルは、バブル景気の波に乗り大ヒット。
パジェロの名が、一躍世間にも知られるようになりました。
なぜならバブル時代に流行したアウトドアレジャーやスキーに最適とされたのがRV(Recreational Vehicle)で、この需要にマッチしたパジェロが乗用車並みに販売数を伸ばしたのです。
当時の苗場スキー場の駐車場は、ほとんどがパジェロで埋め尽くされ、愛車を見つけるのが難しいほどでした。
そんな2代目パジェロの特徴の1つに、パリ・ダカールラリー参戦車をモチーフにした「パジェロ・エヴォリューション」が発売されたことがあります。
戦闘的な前後フェンダーは迫力満点で、日本国内でのSUVやRVのエヴォリューションモデルは、パジェロのみです。
3代目パジェロ
1999年に発売された3代目モデルでは、ラダーフレームとモノコックボディを一体化し、軽量化が図られました。
海外需要の高まりもあり、ボディサイズを大型化して3ナンバーサイズ専用となり、販売の中心は5ドア車。
そのなかでも注目すべきは進化した4WDシステムで、後輪へのトルク分配を多めにして回頭性を高めています。
オフロードの走破性はそのままに、より豪華な仕様となったのが3代目です。
4代目パジェロ
3代目モデルのメカニズムを踏襲しつつ熟成させ、スタイリングは2代目モデルを現代風にアレンジしたのが4代目モデルです。
2006年に登場し、途中でエンジンの換装を含む大幅なマイナーチェンジが行われ、環境性能を磨き上げてきました。
しかし、今後さらに厳格化される歩行者保護法規に対応するには車体の構造変更が必要なのですが、4代目パジェロの低迷する販売台数では構造変更の資金が確保できず、2019年8月末で日本国内向けパジェロの生産が終了しました。
まとめ
三菱 パジェロは日本向けには生産を終了しましたが、依然として海外モデルは生産され続けています。
そのため、ルノー・日産アライアンスの一員となった三菱自動車が、国内向けパジェロを復活させる可能性は十二分に考えられます。
今回のパジェロの国内販売終了について、筆者は一時的な戦線離脱と考えており、いずれ復活すると期待しています。
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