原点にして頂点！初代ステップワゴンはFFミニバンのお手本だった！

2019/11/29

RVブーム真っただ中の1996年、遅まきながらホンダはステップワゴンを「クリエイティブ・ムーバー」第3弾として市場に投入し、大ヒットをおさめます。そしてステップワゴンの大ヒットを目の当たりにした他メーカーからは、続々とフォロワー車が生まれました。これほどまでに影響力の大きかった初代ホンダステップワゴンは、どんな車だったのでしょうか。

CONTENTS

初代ホンダステップワゴン誕生の背景
初代ホンダステップワゴンが名車たる理由
初代ホンダステップワゴン主要スペックと中古車価格
まとめ

初代ホンダステップワゴン誕生の背景

1980年代後半、スキーリゾートを題材にした映画のヒットが契機となり、当時放置状態だった初代三菱パジェロが大ヒットします。

改良資金を得た三菱も、初代モデルを改良したためさらに販売がうなぎ登りになり、2代目モデルの開発資金を準備できるほどでした。

そう、世に言う「RVブーム」の幕開けです。

他社は商用バンをベースにしたワゴンをここぞとばかりにアピールし、RV車は新車市場を席捲します。

ただ1社、ホンダだけはその波にのる事ができませんでした。

1990年前後、ホンダは多人数乗用車を製造していなかったのです。

新規に開発しようにも、ベースとなる商用車はアクティトラックのみ。

普通車枠のRVなど、作りようもありません。

そもそもスポーツカーやセダン、ステーションワゴンなど、車高の低い自動車ばかりを製造していたホンダは、車高の高い自動車を製造するラインを持っていませんでした。

そんな中、アコードの部品をベースに開発されたのがオデッセイで、ホンダ狭山工場で製造できる全高ギリギリの高さで開発されました。

販売までに紆余曲折ありながらも、オデッセイは市場で大ヒット！

このヒットにより、車高の高い自動車の製造ラインも制作できたようで、クリエイティブ・ムーバー第2弾のCR-Vを経て、ステップワゴンの誕生へとつながります。

初代ホンダステップワゴンが名車たる理由

初代ホンダステップワゴンを迎え撃つライバル車は、トヨタタウンエースノア/ライトエースノア/ダイハツデルタワゴン、日産バネットセレナなど商用バンベースのFR、セミキャブオーバーや、1BOX、FR、キャブオーバーのマツダボンゴです。

ライバル車は一様に室内フロアが高く、室内高が狭い上に運転席はほぼエンジンの上。

運転者は、トラック感覚の座席位置で、ステアリングを切るタイミングもほぼトラックと同じです。

しかしホンダステップワゴンは、FFレイアウトのセミボンネットワゴン。

運転席から3列席までフロアが低く（ついでにコラムシフト採用なので、運転席から2列目まで、がんばればウォークスルーも可能）、FR特有のドライブシャフトがないために室内高が高いだけでなく、ホンダの「MM思想」の成果で小さいボンネットにエンジンが収まり、運転席や運転感覚も乗用車そのものでした。

ライバル車が60年代を引きずった古式騒然としたレイアウトだったのに対し、ホンダはFF専門の生産設備を最大限に活かして、新世代のミニバンレイアウトを0から創造したのです。

2019年11月現在のミドルサイズミニバンには、FR車は1台もありません。

どの車種もFF、低床、セミボンネットとレイアウトはほぼ同一。

それだけ初代ホンダステップワゴンは、多人数乗用車としてのレイアウトや空間設計が巧で、他の自動車メーカーに多大な影響を与えたのです。

初代ホンダステップワゴン主要スペックと中古車価格

ホンダステップワゴン W FF 1996年式

全長×全幅×全高(mm)：4,605×1,695×1,830

ホイールベース(mm)：2,800

車両重量(kg)：1,460～1,520（仕様により異なる）

エンジン仕様・型式：B20B 水冷直列4気筒DOHC16バルブ

総排気量(cc)：1,972

最高出力：125ps/5,500rpm

最大トルク：18.5kgm/4,200rpm

トランスミッション：ODスイッチ付4AT（ロックアップ機構付）

駆動方式：FF

中古車相場：46～75万円（2019年11月現在）