色々な苦難を乗り越え、現在のポジションを確立してきた横溝選手。前編・中編とその道のりについてご紹介してきました。今回は、そんな日本のトップドライバーの1人である”横溝直輝”が考える、これからのレース業界について聞いてみました。
横溝直輝インタビュー
レーシングドライバーという個人
ーーー現在人気が低迷中のモータースポーツ業界ですが、どうしたら人気が高まると思いますか?
例えば、日本で一応人気と言われているスーパーGTは、GTAともっと協力してもらってプロモーション活動していきたいなって思う。
いろんな考えもあるんだけど…、例えばゴルフで優勝するとベンツとかBMWとか商品でもらえるじゃない?
だけど、レーシングドライバーがBMWに乗ってスーパーGTで優勝してもBMWもらえないんだよね。とか…。
海外だったら自動車メーカーのCMにレーシングドライバーが出たりするんだけど、日本はやっぱりタレント、アイドルが出てるじゃん。
そういうところも含めて、もっとレーシングドライバーが頑張らなくちゃいけない。
もちろん300km/hで走るスーパーGTも魅力的だと思うんだけど、200km/hしか出ないスーパーGTでも見せ方って絶対あると思う。
例えばこれ400km/h出たらお客さん増えるの?っていうと、俺は疑問に思っちゃうところがある。
これは語弊があるかもしれないけど、500km/h出るスーパーGT車作りました。それで国際Aマッチサッカー並みの人気が出るかというと、ちょっと疑問に思うんだよね。
でも200km/hしか出ないスーパーGTでもプロモーションの見せ方とか、レーシングドライバーがもっとかっこいいことすれば、もっと盛り上がるんじゃないかと思うんだ。
そこはもっとレーシングドライバーもやれることがあるかな、と思うんだよね。
ーーープロモーションのやり方や、レーシングドライバーの見せ方で、もっともっと人気が出るという事ですね?
あとは、日本って車を見に来てる人が多いと思うんだよね。
でも俺が子ども心にF1を好きになったのは、セナが好きで。セナのライバルのプロストが嫌で。
破天荒なマンセルがいて、とか。ドライバーのキャラクターがあったの。そのドライバーを俺は見に行ってたわけよ。
マクラーレンホンダを見に行ってたわけじゃなくて、セナを見に行ってたんだよね。
そういうとこを、もっと人間味あふれるとか、「横溝ってこういう人間だから俺、好きなんだよね」みたいな。
「ああいう考えのやつは嫌いだから…」みたいな。
そういうもっと人間をフィーチャーしてもらいたいなと思ってて。難しいんだけどね。
大事なのはレーシングドライバー1人1人の人間性やキャラクターを確立する事。
ただ車が好きで、その大好きな車を応援するのではなく、その車を運転し、勝利に導くドライバーのテクニック、そしてそのテクニックを持ったドライバーが一体どんな人物なのか。
そこにフィーチャーしていく事こそ、モータースポーツの人気を盛り上げる方法だと語る横溝選手。
そんな、横溝選手がファッション業界や色々な所に進出する理由。それこそが、横溝選手自身のブランディングなのだと改めて感じさせられますた。
レーサーという仕事
ーーー横溝選手がレーサーを続けている理由は?
俺、これ以上の刺激はないと思うんだよね。これ以上熱くなれる仕事を見つけられる自信もないし…。
プロ野球選手だと、野球やってるだけ!みたいなイメージが多いですけど、レーサーって全然違うじゃないですか。
お金を集めてマネージメントして、プロモーションして。
サーキットで走ってるのが究極の自己責任だし、でも、チームワークでしょ。
これね、やっぱり優勝したときとかの喜びっていうのを味わっちゃったら抜け出せないと思うんだよね。
俺はこれしかないね。
自分が熱中できること、熱くなれることを仕事にする事。それは誰もが1度は思い描く未来ではないでしょうか。
横溝選手はその誰もが憧れる未来を必死に実現し、苦しみや試練を何度も何度も乗り越えて勝利を掴んできたのです。
その経験が自信となり、現在の横溝選手の活動の原動力となっているのだと思います。
2017年・2018年シーズン
ーーーー 2017年、急遽出場を決め、見事優勝を果たしたブランパンGTシリーズ・アジアの富士ラウンドへはどういう経緯で出場する事になったんですか?
最初はCAR GUYレーシングとして、チームオーナーの木村さんとケイ・コッツォリーノのプロアマコンビで出る予定だったんですよ。
でも、木村さんはランボルギーニ・スーパートロフェオ・アジアシリーズとダブルエントリーしていて、急遽そのレースWEEKの木曜日の夜に、僕にブランパンの方に乗ってくれないか?っていう連絡がきたんです。
元々週末はコーチングというか、そのチームの監督的な立ち位置で行く予定だったんですけど、走る準備もしていたので、その依頼を受けて金曜日からいきなり走り始めたという感じですね。
金曜日のフリー走行が始まるというタイミングまで、エントリーの名前を変えられるかどうかというやり取りをしていたぐらい、ギリギリに決まりました。
ーーー そんなに急な参戦で、優勝?
そうですねー。バタバタの状態で金曜日は走って、そのまま土曜日に予選をやって、決勝で優勝したという感じでしたね。
といっても、レースのオフシーズンって訳ではなくシーズン中だったので、いつでも走れる準備は整っていたので自分としては特に問題はなかったし、チームもクルマもよく知っているところだったという事、あと富士も良く知っているコースという部分もあってすんなりフィットできました。
まさか、それで優勝まで出来るとは思いませんでしたけどね。
実は、急遽ドライバー変更したのでウェイトをプラス30㎏乗せる事になったんですよ。
なので、結構大変だったんですけど、みんなで頑張って日本人としてのブランパン初優勝、そしてチームとしても純日本チーム初優勝という記録を残せたので、自分としてもかなり嬉しかったですね。
ーーー 2018シーズンのレース参戦予定は決まっていますか?
ブランパンに関しては、スポットでの参戦の話は頂いています。
後は、チャイナGTというレースが今かなり盛り上がっていて、上海ではスタンドが満員になるぐらいのお客さんが集まる程の人気なんですよ。
出ているドライバーも、ヨーロッパのブランパンに出ているファクトリードライバーとアマチュアが組むという体制で、チームもヨーロッパからファクトリーチームが来るので、かなりハイレベルなカテゴリーなんですけど、今年はそれにスポットで参戦していて、来年はシーズンを通して参戦する予定です。
このシリーズは、賞金額も年間を通して1億2千万とか3千万とかで、中国の地上波で生放送される盛り上がりぶり。
主催も、元々GTアジアシリーズをやってた人たちで、オーガナイザーもシリーズもしっかりしていて、今かなり熱いシリーズなんですよ。
なので、そのフル参戦とブランパンの日本と中国のスポット参戦という話は現状あって、今盛り上がっているアジアの重要なポイントはおさえておきたいと思っています。
後は、2018シーズンはCARGUY RacingからNSX-GT3でスーパーGTへ参戦が決定しています。 今年はこのSUPER GTへの参戦をメインとして活動して行く予定です。
2017シーズンはSUPER GTには出れなかったんですけど、ドライバーとしてSUPER GTは走っていたいシリーズなので、SUPER GTでレースをするという事を1番のプライオリティと考えていて、そのプラスαとして、今決まっているチャイナとかブランパンとかをやっていきたい感じですね。
急遽レースを走る事になっても、走る準備はいつでもできている。
レーシングドライバーとして、この言葉を発することが出来る、そして優勝という結果でこの言葉を証明してみせる。
そんなドライバーが日本にどれぐらい存在するでしょうか。
これこそが、横溝選手が多くの人を引き付ける魅力なのです。
まとめ
今回話を聞くまでは、レーシングドライバーとしての才能と、モデルとしても活躍できるビジュアルを生まれ持った特別な人というイメージが少しありました。
しかし、自身がレースを続ける為だけではなく、レース業界全体をどうすれば盛り上げられるかを真剣に考え、そして自分自身で実践してきた結果、『レーシングドライバーはカッコよくなくてはいけない。』その結論に達し、『特別な人』というブランディングをしてきた。
その結果が、現在の『レーシングドライバー横溝直輝は特別』というイメージだったのです。
そんな前進し続け、色々な世界を開拓し続ける横溝選手の活躍にこれからも注目していきたいと思います。
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