2018年にF1デビューを飾ったシャルル・ルクレール。名門フェラーリのドライバー育成プログラムに所属する彼は、未来のフェラーリドライバーとして大きな期待を集めています。そんな彼が掲げる目標はもちろんF1チャンピオンなのですが、彼はこれまでどのような人たちに支えられ、レースを戦ってきたのでしょうか。今回はルーキーとして期待される彼のこれまでと今後の展望に迫ってみたいと思います。

 

©Shunsuke Kawai

低迷するザウバーに明るい結果をもたらした20歳

 

©Shunsuke Kawai

 

中堅チームとして長年F1に参戦するザウバーは、これまでキミ・ライコネンやフェリペ・マッサなど優秀なドライバーを輩出してきたチームとして知られています。

このチームからトップドライバーへと成長したドライバーは数多く、派手さには欠けていてもファンや関係者がその戦いぶりに注目することも少なくありません。

しかし、近年は苦戦を強いられており、成績も低迷。

レースでは隊列の後方で走ることも増え、チームとしてだけでなくドライバーが本来の力を発揮出来る機会も徐々に少なくなりつつありました。

そのなかで、今季はアルファロメオとの提携をきっかけに巻き返しを図り、フェラーリ・ドライバー・アカデミーに所属するシャルル・ルクレールを起用。

新人として起用された20歳のドライバーは、以前のザウバーの戦いを彷彿させるかのように中団での混戦を制して6位入賞!

チームに活気をもたらす活躍を見せたのです。

また、続くスペインGPでも元王者フェルナンド・アロンソと激しい戦いを繰り広げながら10位に食い込み、ルーキーながら着実に評価を高めています。

では、そんな注目の若手ドライバー、シャルル・ルクレールとは一体どんな人物なのでしょうか?

 

シャルル・ルクレール:プロフィール

 

シャルル・ルクレール

出典:https://www.sauberf1team.com/teammembers/charles-leclerc

 

英字:Charles Leclerc

生年月日:1997年10月16日

国籍:モナコ

カーナンバー:16

身長:179cm

 

F1での通算成績

デビュー戦:2018年オーストラリアGP

出走:5回

入賞:2回

予選最高位:14位

決勝最高位:6位

※2018年スペインGP終了時

 

オリビエ・ベレッタ以来24年ぶりとなるモナコ国籍のF1ドライバーとして、2018年にF1デビューを飾ったルクレールは、8歳の時に父親が管理するカート場でレースキャリアをスタートさせると、カート時代から才能を光らせ、フェリペ・マッサのマネージャーを務めることでも知られるニコラス・トッド率いるオール・ロード・マネージメントに、幼馴染であったジュール・ビアンキと共に加入。

それが現在までのキャリアに大きな影響を与え、F1ドライバーを目指す彼を大きく助けることになります。

そしてオール・ロード・マネージメントに加入した2005年からの8年間をレーシングカートで戦い、CIK-FIA KF3ワールドカップなど数々のタイトルを獲得。

レーシングカートの最終年には、CIK-FIA ワールド・KZ・チャンピオンシップでマックス・フェルスタッペンに次ぐシリーズ2位を獲得するなど優秀な成績をおさめています。

そんな彼がフォーミュラカーにステップアップしたのは2014年。

フォーミュラ・ルノー2.0で第2のキャリアとも言えるフォーミュラカーデビューを果たすと、その翌年にはF3、さらにその翌年にはGP3と1年ごとに上位シリーズへとステップアップを重ねていきました。

そしてGP3に参戦していた2016年にはすでに次代のF1ドライバーと称され、フェラーリのドライバー育成システムに当たるフェラーリ・ドライバー・アカデミーに加入。

それをきっかけにフェラーリとハースのテストドライバーを務め、この年18歳の若さにして自身初となるF1マシンでの走行を経験、昨年はザウバーに所属し計8戦のフリー走行に出場すると、2018年からはザウバー・アルファロメオのレギュラードライバーとして念願のF1デビューを飾りました。

ちなみに、本人はフランス語読みのシャルルと呼ばれるよりも、英語読みのチャールズで呼ばれる方を好んでいるようです。

 

フェラーリ・ドライバー・アカデミーを背負って立つ20歳

 

シャルル・ルクレール

出典:https://www.formula1.com/en/latest/headlines/2017/9/leclerc-gets-friday-practice-outings-with-sauber.html

 

多くのF1ドライバーは、デビューを飾る際にF1チャンピオンという大きな目標を掲げますが、ルクレールの目標も間違いなくF1でチャンピオンに輝くことです。

先日、バーレーンGPの4位入賞で話題となったトロロッソのピエール・ガスリーと同様に、ルクレールもデビューする以前から特定のチームの育成プログラムに所属し、F1への切符を手にしました。

そして今季、彼が所属するザウバーはフェラーリと関わりの強いチームとして知られており、フェラーリと同グループである自動車メーカー、アルファロメオから支援を受けることが決定。

その流れでレギュラードライバーに就任することは、自然な流れだったと言えるでしょう。

フェラーリとしては以前から支援を行ってきたルクレールに、F1でのチャンスを与えたかったという目論みもあり、今季のデビューが実現するに至ったのです。

 

©Shunsuke Kawai(デビュー前からテスト走行の機会が与えられていたルクレール)

 

これは先述のオール・ロード・マネージメントに加入した時点から、描かれていた未来図。

もちろん、いつどのように彼がF1デビューを飾るのかという具体的なところまではその時点で決まっている訳はありませんが、ニコラス・トッドとの結びつきが彼のレースキャリアに大きな影響を与えている事は事実。

ニコラス・トッドは以前フェラーリのチーム代表を務めていたジャン・トッドを父に持ち、長年フェラーリドライバーとして活躍したフェリペ・マッサのマネージメントを行っていました。

そのため、フェラーリとは深い関係にあり、ドライバーの起用に信頼のおける人物として知られています。

その彼に才能を見出されたルクレールは、わずか8歳の時点で”フェラーリドライバーとしてF1チャンピオンになること”を期待され続けてきたのです。

もちろん、手厚い支援を受けるには優れた結果を残し続ける必要がありましたが、彼はフェラーリが支援するに相応しい優れた成績を残し続け、貴重な逸材としてF1デビューを実現させました。

 

F2で見せたスタードライバーの資質

 

 

F1でもその速さに期待が集まっているルクレールですが、その要因にはF2で素晴らしい走りを見せたことが挙げられます。

2017年は、初参戦だったにも関わらず8度のポールポジションと7度の優勝を挙げ、総合2位のアルテム・マルケロフに72ポイントもの大差をつけてチャンピオンを獲得。

F2参戦初年度で王者に輝いた例は2010年のニコ・ヒュルケンベルグまで遡り(当時はGP2の名称)、とても高い適応力と速さを兼ね備えるドライバーだという事を証明する結果に。

また、その適応力はF1のテスト走行でも証明され、ハンガロリンクで行われたインシーズンテストではトップタイムを記録。

その際にはライコネンからも高く評価されるなど、F1参戦以前から有望視されていたのです。

また、F2に話を戻すと最終戦アブダビでは、ファイナルラップに驚異的なオーバーテイクを決めて優勝を飾る離れ業をやってのけました。

 

 

速さだけでなく、こうした接近戦でも勝負強さを見せ、時にはコース幅を目いっぱい使ってのバトルを展開できるのも彼の持ち味。

こうした印象的な戦いを見せた彼は、多くのファンにF1で走る姿を想像させました。

 

父とビアンキに支えられてきたレースキャリア

 

©Shunsuke Kawai

周囲からの期待も大きいルクレールですが、彼自身はどのような想いでF1を戦っているのでしょうか。

彼はそのキャリアにおいて2人の大切な人物がいたことを語っています。

1人目はかつてレーサーであった彼の父親の存在です。

彼にとって父はカートを始めるきっかけであり、共にレースを戦ってきた存在でもあり、また父の描いた夢を受け継ぐ形でレースの世界に足を踏み入れました。

そして、ルクレールは見事にF1デビューを果たすことになったのですが、残念ながら彼の父は昨年に亡くなり息子がF1で走る姿を見ることは出来ませんでした。

この父の死は彼にとって非常に辛い出来事だったのですが、当時F2に参戦していたルクレールは自身のヘルメットに父がかつて使用していたカラーリングを取り入れて、タイトル獲得時にそのヘルメットを被ることを宣言します。

迎えたシーズン最終戦ではその特別カラーのヘルメットで出場すると、ファイナルラップでトップを奪い取り優勝を飾るという、ドラマティックなレースを披露して見せたのです。

そして、もう一人はF1でも活躍したジュール・ビアンキの存在です。

ルクレールにとって幼馴染でありフェラーリ・ドライバー・アカデミーのライバルだったビアンキ。レースについての助言をもらうなど強い信頼関係を築いていたようです。/ ©Shunsuke Kawai

 

彼とビアンキは幼馴染であり、同時にオール・ロード・マネージメントに加入しただけでなく、フェラーリ・ドライバー・アカデミーにおいても常に共に戦ってきた仲間でした。

また、彼にとってビアンキは父親のような存在でもあり、レースにおいてのアドバイスをくれる人物であると同時に心から尊敬できる先輩だったと語っていて、「いつも彼のアドバイスを心に留めている。彼がするなといったことはしないように心がけている。」と話すなど絶対的な信頼を寄せる人物

同じフェラーリ・ドライバー・アカデミーから育ち、本当の才能を開花させる前にレースアクシデントがきっかけで帰らぬ人となってしまったビアンキに、誰よりも特別な想いを持つドライバーだと言えるでしょう。

本来であればビアンキはフェラーリドライバーとして活躍を見せていたはずだと語るルクレールは、自分自身の夢と共に2人のレースを戦った先輩からの教えを胸に、F1でチャンピオンを掴むことを誓っています。

 

まとめ

 

デビュー直後こそ苦戦を強いられたルクレールですが、徐々にマシンに慣れると彼はF1でも頭角を現し始めています。

F1はこれまで彼が戦ってきたカテゴリーとは違い、マシンの性能差が成績を左右するケースも多いのですが、早くも非力なマシンで結果を残す力をつけてきている彼は、フェラーリ・ドライバー・アカデミーを生き残ってきた逸材であり、その将来を背負って立つ貴重な才能でもあるのです。

特に時代の移り変わりが激しいF1の世界では、ここ数年のうちに彼が凄まじいドライバーへと成長している姿が見られるかも知れません。

そんな、厳しい世界で20歳の若手ドライバーは才能をどこまで示せるか、またフェラーリドライバーに相応しい活躍が出来るのか、どの視点から見ても今後が非常に楽しみなドライバーの1人です。

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