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鈴鹿F1史上に残る大逆転劇とは?キミ・ライコネンが魅せた、今も語り継がれる名勝負!

今年も鈴鹿サーキットで開催されるF1日本GP。今年で28回目を迎える日本での1戦だが、過去に11回のチャンピオン誕生をはじめ、数々の名勝負が鈴鹿から生まれてきた。以前、鈴鹿サーキットの公式サイトで「あなたが選ぶベストレースは?」というファン投票があったが、そこで堂々の第1位を獲得したレースが2005年のキミ・ライコネンが優勝したレース。17番手スタートから奇跡とも言える大逆転優勝を果たした1戦を、今回はご紹介したいと思う。

©鈴鹿サーキット

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不運の始まりは金曜フリー走行から

©鈴鹿サーキット

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この年、他を圧倒する速さを持っていたにもかかわらず、度重なるエンジン交換でグリッド降格ペナルティを受けたライコネン。チャンピオン争いを展開するが、フェルナンド・アロンソに一歩届かず第17戦ブラジルGPでチャンピオンが決まった。

迎えた第18戦日本GP。なんとか鈴鹿で一矢報いたいライコネンだったが、またしても不運に見舞われる。初日のフリー走行でエンジントラブルが発生。この年何度も悩まされたエンジン交換を行うことになってしまったのだ。

当時のレギュレーションでは、レースウィーク中にエンジン交換を行った際は10グリッド降格ペナルティを受けることになる。仮に土曜日の公式予選でポールポジションを獲得したとしても、11番手スタートとかなりのハンデになってしまうのだ。

実際にポールポジションや2番手タイムを記録しても10グリッド降格により苦しいレース展開を強いられることが何度もあったライコネン。今回も、全く同じ展開となってしまった。

 

予選でも不運発生…自分のアタック時に雨脚が強まる

©鈴鹿サーキット

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気を取り直して臨んだ土曜日の公式予選だが、ここでも不運に見舞われてしまう。

この年は1台ずつが1周のみのタイムアタックを行い、グリッドを決める方式。アタック順は前回のレース結果の悪かったドライバーからだ。

ブラジルGPで2位だったライコネンは最後から2番目となる。ドライコンディションであれば、路面のラバーグリップもよくなるなど、最後になればなるほど有利になることが多いのだが、この日の鈴鹿は朝から雨模様。予選前半はほとんど雨が降っていない状態だったが、後半になって少しずつ降り出し、ライコネンがピットアウトする頃には本降りになってしまう。

©鈴鹿サーキット

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これではタイム更新はほぼ不可能。なんとか1周は走るのだが、トップから16秒遅れのタイムでセッションを終えてしまう。

ここからさらに10グリッド降格。幸いにも予選ノータイムだったマシンがいたため、17番手スタートを手に入れることになったが、抜きにくいと言われている鈴鹿での17番手は、ほぼ負けに等しい位置とも言える状況だった。

しかし、今でも語り継がれる大逆転劇は、ここから始まった。

 

抜けない鈴鹿で豪快にオーバーテイク。早くも上位に進出

©鈴鹿サーキット

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前日の雨とは打って変わり晴天に恵まれた決勝日。17番手スタートのライコネンは、この年各サーキットで見せつけた最速っぷりをいきなり発揮する。

抜きにいくい鈴鹿。さらに序盤に起きたアクシデントでセーフティカーが導入されるなど波乱もあったが、そんな中で10周を過ぎたところでトップ10圏内に顔を出すと、レース中盤は7度王座に輝いたミハエル・シューマッハと激しくバトル。

1回目のピットストップを終えたところでついにオーバーテイクに成功。この他にも、追い抜きポイントが少ないと言われている鈴鹿で次々と前のマシンを交わし、終盤にはついにトップに浮上した。

今までの常識から考えれば、間違いなくありえないこと。銀色に輝く彼のマシンに、スタンドで観戦していたファンはただただ釘付けになるばかりだった。

しかし、ライコネンには給油のためにもう一度ピットストップが必要。できる限り後続との差を広げ、残り9周のところでピットに飛び込むが、ジャンカルロ・フィジケラの逆転を許し2番手でコースに復帰した。

 

鈴鹿F1史に残るファイナルラップでの逆転トップ

©鈴鹿サーキット

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残り周回数も少なく、5秒近い差もあったことから「今年の優勝はフィジケラか」という雰囲気になる。

しかし、最後の勝負はここから始まった。

このレースでのライコネンの走りは、まさに神がかっており、1周あたり約2秒速いペースでフィジケラを猛追。コースサイドで見ていても、明らかに周回を重ねるごとに2台の距離が縮まるのが分かるほどだった。

そして、残り3周で背後につく、チャンスを伺いながらプレッシャーをかけていく。

一方のフィジケラも優勝という千載一遇のチャンスを逃すわけにはいかない。一番のオーバーテイクポイントとなるシケインでは、イン側にマシンを寄せライコネンに隙を与えない徹底したブロックを敢行した。

それでもライコネンはうまく詰め寄っていき、残り2周のメインストレートで一瞬並びかける。

もちろんインはフィジケラが抑えているため、懐に飛び込めず失敗。ついに仕掛けるポイントも限られ始めるが、ライコネンは最後の最後まで諦めていなかった。

再び同じメインストレートをターゲットにしてシケインから間合いを調整。そしてファイナルラップに入ったところの1コーナーで同じくアウトから並びかける。

フィジケラも最後までラインを譲らなかったが、1コーナーの飛び込みではわずかにライコネンが上回り、ついにトップ奪還。

©鈴鹿サーキット

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この瞬間、鈴鹿サーキット全体が大歓声に包まれた。

そのまま逃げ切ったライコネンが優勝。チェッカー後も、各コーナーでスタンディングオベーションが起き、奇跡の16台抜きを演じた主役を祝福した。

 

まとめ

©鈴鹿サーキット

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現在も絶大な人気を誇るライコネンだが、特にこのレースを見て、彼を好きになったというファンも多かったのではないだろうか。

普段はクールな表情しか見せない彼だが、いざコックピットに座ってレースが始まると、本当に気持ちのこもった走りを見せてくれることが多々あった。

あれだけ「抜けない鈴鹿」「予選ポジションが重要な鈴鹿」と言われている中で、17番手スタートから見事な逆転劇。

しかも最後のオーバーテイクはファイナルラップの“ラストチャンス”をものにしたという、まさに映画のようなストーリーが、ここ鈴鹿で展開された。

あれから11年。現在はDRSのおかげでオーバーテイクの機会が増えている。その中で今年はどんな名バトルが生まれるのか。大注目だ。

 

Writer Introduction
Tomohiro Yoshita

フリーのモータースポーツジャーナリスト。サーキット取材は2011年からスタートし、最近ではSUPER GTスーパーフォーミュラを全戦取材。この他にもF1をはじめとする海外レースや、2輪レースもカバー。レースに関する記事だけでなく、サーキットに来場するファンに役立つ情報発信も展開しています。http://www.kansenzyuku.com

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